EP13〜Go home〜
この気持ちに気づいたのはいつだろう。今になってはわからないが気づいた時には俺はもう、先輩の事が好きになっていた。
この恋が叶うとは思っていない。当たり前だ、先輩には長年連れ添った奥さんもいるし第一に先輩は俺の事なんか眼中にないからだ。
あぁ、俺が女だったらもしかしてワンチャンあっただろうか。………無いな、浮気する先輩は先輩じゃないし。
人は手に入れられない物程手に入れたくなる。問題はいつそれを諦められるかだ。最初は時間が解決してくれると思っていた。出来るだけ先輩とネェさんといれば現実が俺を覚ましてくれるんじゃないかって。
でもそれは悪手だった。
一緒にいればいるほど好きになっちまうんだ。
…………もう終わらせよう、この俺を。
「先輩、好きです。俺と付き合って下さい」
「……………え?」
ジュースは何て言った?聞こえなかった訳じゃない、理解が追いつかなかった。
「……ジュース、それは……………そういう意味でとらえていいん…………だよな」
「はい」
「…………………」
ジュースはいい奴だ、優しいし俺の言うことを何でも聞いてくれる。顔も美形でスタイルも良い、俺が女だったら十分あり得るだろう。だが
「………俺にはクレンがいる」
「知ってます」
「子供もそろそろ出来ると思う」
「わかってます」
「…………………………」
「いきなりすいません先輩、困らせちゃって」
「いやっ………」
「俺、本気で付き合えると思ってませんから。適当にフってください」
「ジュース………お前………」
フラれる前提で告白したのか。
「…………本当優しいですよね」
そうだ、このまま渋っても何もならない。
「……………………ジュース、悪い。俺はお前の気持ちには答えられない」
「はい、ありがとうございます先輩」
ジュースは笑っていたが目元は紅く腫れ上がっていた。
俺たちは外にある喫煙所のベンチに座っている。
「先輩、そのタバコ下さい」
ジュースは俺が咥えているタバコの事を言っているのだろう。
「………………………あぁ」
「…………スゥー。………………甘っ」
「………なぁジュース」
「なんですか?」
「理由、聞いても良いか?」
「まぁ…………始めは父親のせいかもしれないっすね」
「父親?」
「はい、実は俺昔父親に………強姦されたんすよ」
「え?」
前世の俺と同じじゃないか。
「まぁ、俺金の為に父以外の多くの男と関係は持ってたんですけどね。…………その時は金稼ぎのつもりだったんですけど初めて女の子とヤッた時、勃たなかったんです」
「……………」
「最初はそれなりにショックだったんですけど。俺こうみえて物事とか深く考えないタイプなんで、早めに理解しました」
「……………」
「いやー初めて先輩と会った時はビビッときましたよ、その時から俺はもう好きだったかもしれませんね」
「………そうか」
「…………先輩、俺……評判良かったんですよ」
ジュースがニヤつきながら俺を見つめた。
「ハッ、辞めろよ。野郎のけつに興味はねぇよ」
「フッ、ですよねー………」
「……まぁ、明日からも頼むよ」
「はい、よろしくお願いします」
「………帰るか」
「………………今日、一緒に寝ても良いですか?」
「…………あぁ、てかっ前まではそうだっただろ」
「……そうでしたね」
俺たちは家までの道を歩き始めた。
「先輩っ歩くの速いす!」
「風初級魔法『颯々』」
「外で魔法はダメって先輩が言ったんすよ!」
これで良かった、先輩にはフラれたけど俺の好意が俺から消えるわけじゃ無い。これからも先輩とは一緒に生きて行くんだ、楽しくやっていこう。
「……………帰ろう!」




