EP10〜性器にインプラントをつける奴は臆病者〜
「おやおやおや!ステイ君とクレン君じゃないか!」
ある日、俺とクレンがスーパーで買い物をしている最中に後ろから俺たちを呼ぶ声がした。
「あら、ダリちゃん」
「ダリさんも、買い物ですか?」
「うむ、そうだとも」
ダリさんとはネムさん経由で知り合った仲で、この人は俺たちに人間族の血を安く売ってくれるので大変お世話になっている。
「それにしてもステイ君、よくやってくれたよ」
「何がですか?」
「何って、キル・ベイビーのことだよ」
「あぁ」
「ネム君めちゃ喜んでいたよ。私からもお礼を言っておこう。ありがとさん」
「はい、俺もネムさんにはお世話になってるんで」
「ダリちゃん………そう言えばあれからネム君とは進展があったの?」
「…………………いやー」
「いくらネム君に女っ気が無いからっていつまでもウジウジしてたらどこぞの馬の骨に奪われるわよ」
「…………………………」
「なんの話だ?」
「ダリちゃん、ステイに言っていい?」
「……」
ダリさんは小さく首を縦に振った。
「この子ね、ネム君の事が好きなのよ」
「…へぇ」
「反応薄いわね……」
「わ、私だってぇ。それなりにアピールしてはいるのだけれど………」
「それでもダメなんでしょうが」
「ま、まぁ。そうとも言えるね」
「もう直ぐお互い三十路なんでしょ。良い加減くっつきなさいよ」
「………………そもそもネムさんはダリさんに気があるのか?」
「…………ちょっとステイ、さらっと最低な事言うわね」
ダリさんの方を見ると明らかに顔色が悪くなっていた。
「ご、ごめん」
「いや、ステイ君の言う通りだ。20年以上の付き合いだというのに何も無かったということはそういう事なんだろうね」
「………………ちょっと、あんたのせいでダリちゃんがやる気失ってるじゃないの」
「…………デートしたことはあるのか?」
「…………無いな。どっちも仕事とかで忙しいのだよ」
「おいおいマジか」
「嘘を言って何になるんだい?」
「じゃあまずはデートね」
「そうだな。ダリさん、次の休みはいつだ?」
「今週末だ」
確かネムさんに今週末飯に誘われてたな。
「良し。今週末ネムさんは俺との飯の予定がある。それを俺が断ればネムさんはフリーになるからデートに誘えるぞ」
「ナイスよステイ」
「そ、そうかい!とても助かるよステイ君」
「じゃあ早速誘いなさい」
「えぇ!?まだ心の準備が出来ていないのだよ……」
「何よ………早くしないとネムさん取られちゃうわよ」
「わ、わかったよぉ」
「ステイ………」
「あぁ、とっくにメールで断ってある」
「じゃあ後はこの文章を送って………」
ピコッ
「これで大丈夫よ」
「何て送ったんだ?」
ダリの携帯には『ネム君!今週末私とデートしないかい?実は私、君と結婚したいと思っているのだよ!この私と結婚出来るなんて幸せだろう?それと君との子供も欲しいな。私は何人でも構わない、君の思うがまま私を抱いてくれたまえ!良い返事をまっているよ』
「…………クレン、これお前が考えたのか?」
「そうよ、これが1番わかりやすいでしょ?」
そういえばクレンと結婚前にデートとかしたことないな。
「ま、まぁそうだけど………」
ダリの方を見てみると案の定目を丸くして固まっていた。
「……………あっ、既読ついたわ」
今週末、結局ネムさんとダリさんはデートをすることになった。ちなみにあの後ちゃんと誤解は解けた。
「で?なんで俺たちは隠れてるんだ?」
俺はクレンの提案で2人のデートをこっそり尾行している。
「面白そうだからよ」
「確かに」
「あっ、ダリちゃんが来たわ」
「まだ集合時間の30分前だぞ」
「流石に気合いが入っているわね。見てステイ、ダリちゃんの爪」
「爪?」
「えぇ、ネイルをしているわ」
「本当だ、いつもは仕事上ネイルをめんどくさがってしないのに」
ダリの爪は真っ赤なネイルが綺麗に光っていた。
それから20分後、待ち合わせの場所にネムさんが来た。
「ダリ、お待たせ」
ネムさんはいつも通りのスーツ姿だ。
「待ってなどいないよ」
「そうか、それで今日はどこに行くんだ?」
「前から気になっていたバーがあってね、1人じゃ入りにくいんだ」
「なるほどな」
「理解が早くて助かるよ、では早速行こうか」
「あぁ」
ちなみに今から行くバーは俺とクレンで決めた所だ。ダリさんには言って無いが少し変わっているバーだ。一向にくっつかない2人にはピッタリな場所だ。
歩いて5分そのバーはホテル街の地下にある。
ガチャー
「んなっ……………」
バーに入って来たダリの顔には唖然の文字が浮かんでいた。
「おいおい、すげーな」
このバーはいわゆる「ハプニングバー」というやつでお酒の提供はもちろんのこと、店内で客同志での様々な性行為が出来る特殊なバーだ。
もちろん俺たちは変装を済ませ2人より一足先に店内にはいっていた。
「アッ…………ダメ……アァーン!」
「イクっ………あぁイク!」
店内には喘ぎ声が響き渡り。全裸の男女が楽しそうにそこら中でプレイをしている。
「なぁダリ、本当にここで当ってるのか?」
ダリは携帯を取り出し住所を確認した。
「あっ、当ってる…………」
「そうか………確かにここは1人じゃ入りにくいよな」
「……………………」
やばいダリが何も言えなくなってしまった。
「まぁとりあえず酒でも飲もうぜ」
「う、うむ」
ネムさんは今どんな心境なのだろうか。
「かんぱーい」
「か、かんぱい」
キィン
2人が席に着いてから1時間くらいだろうか、2人は結局楽しそうに喋っていた。
俺たちは途中から暇になってきたので奥の方でセックスをしていた。クレンも変装をしているのでいつもと違うクレンを堪能する事ができた。
「ねぇ、ステイ。あの2人まだ話してるわよ」
「だな、流石にこのまま何もしないで帰らせる訳にはいかないよな」
「何か作戦ある?」
「………………安直だけど媚薬はどうだ?」
「いいじゃない、でもどうやって飲ますのよ?」
「任せてろ………風初級魔法『ソヨ』」
俺は粉末状の媚薬を風に乗せ、2人のコップの中に混ぜていった。
「良し、通常の5倍の量を入れてやったぜ」
「媚薬でオーバードーズってなるのかしら?」
「ハッ、なったら面白いな」
「ほぼキメセクね」
「でも2人にはそんぐらいが丁度良いんじゃねぇか」
「それもそうね」
そんなことを言っていると早速媚薬が効いてきたようだ。
「………………なぁ、少し暑くないかい?」
ダリはそう言うと着ていた服を脱ぎ下着姿になった。
「確かにそうだな、なんか急に……」
ネムさんに至っては汗が首筋を這っている。
「…………ネ、ネム君って彼女とかいるのかい?」
「いないな」
「じゃあ結婚とかって…………」
「もちろん、する予定も人もいn!」
ダリさんがネムさんに抱きついた。
「わ、私じゃダメかな」
「…………え?」
「……………私が彼女じゃダメかな?」
ダリさんの顔はネイルの様に紅に染まっていた。
「……よ、よろしく」
「……やったアアアアアアア!!!」
それほど嬉しかったのだろう、ダリさんはキャラに似合わず大声で喜んだ。
「じゃあ、早速ホテルに行こうか!」
「早くないか?」
「早い訳無いだろう!私は20年以上我慢していたのだよ!」
「そ、そうか」
「ちなみに、私は処女だから優しく抱いてくれたまえよ」
「………もちろんだ」
そう言うと2人は急いで支払いを済ませて店を出た。
2人が店を出て3時間位が過ぎた。俺たちはハプニングバーを楽しんでいた。
「そういえば、別にデート場所ハプニングバーにする必要は無かったわね」
「確かに、結局媚薬が決め手だからな」
「まぁ、何はともあれ2人がくっついて良かったわ」
「そうだな」
「ねぇステイ、私たちもホテル行かない?」
「さっきもヤッただろ」
「えー、またしたいー」
「わかった、わかった。じゃあ折角だし高級ホテルにするか」
「やったー。回転ベットはマストよね」
「いやいや拘束椅子だろ」
「じゃあどっちもある所ね」
「…………ここら辺だと両方あるのは一つだけだな」
「じゃあそこ決定ね、早速いきましょ!」
「イクのはクレンだけどな」
俺たちは足早にホテルに向かった。
「クレン何号室だっけ?」
「602よ」
「6階か………エレベーターの方が早いな」
チーンッ
ロビーにエレベーターが到着した。
ウィーン
自動ドアが開いた先には事後のネムさんとダリさんがいた。
気まず。




