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(原案)バツライフ  作者: The kid 王
第二部:
44/58

外伝(其のニ)日美

 今回の外伝は俺が語り手だ。って言っても小説だから俺が誰かわからねぇよな。俺はネムさんでお馴染みの「ネム・エミオン」だ。

 じゃあ外伝スタート。

 

 

 その日は生憎の大雨だった。だが門を潜った先には一台の車と傘をさした男がいた。

 「お勤めご苦労様です!」

 ドレーが傘を持って迎えにきてくれた。

 「5年か……案外変わんないもんだな」

 「何言ってんですか、兄貴が居なくなってからこっちは大変だったんですからね」

 「悪かったな…………ところでグラミーは居ないのか?」

 グラミーとはドレーの後に組に入った俺の子分だ。

 「それがですね………グラミーは今日に限って二日酔いで………」

 「はぁ?」

 「すいません、明日が兄貴の出所日だったもんで浮かれてつい………」

 「嘘だろ…………」

 「本当に申し訳ないです」

 「じゃあ今日の出所祝いはどうする?」

 「……………2人でやりますか?」

 「………いや明日でもいいから3人でやろう」

 「そうっすね」

 「……………なぁドレー、親父は元気か?」

 「はい………ですが持病の腰痛が悪化して寝たきりなんですよ」

 「インプラントは着けないのか?」

 「それなそうなんですが大親父はもう歳なのでインプラントを入れるための手術に耐えられる体では無いと………」

 クソジジイ、まだ生きてやがるのか。

 「…………そうか」

 「じゃあ組に戻りましょう」

 「あぁ、頼む」

 ブブブブブーブーン

 エンジンの振動が懐かしい、俺は自由になったんだとこの時強く実感した。


 俺らの組『フーディーニ』の事務所に到着した。

 「親父は寝室か?」

 「はい」

 「後は俺だけで行く、ありがとうなドレー」

 「いえいえ、俺は兄貴に仕えるのが仕事ですから」

 「………………」


 俺は親父の寝室の前にいた。

 コンコン

 「親父、ネムです。ただいま戻りました」

 「入れ」

 ドスの聞いた声が俺の耳に響きわたる。

 「はい」

 ガチャー

 親父はドレーの言ってた通りベットに横たわっていた。

 「お久しぶりです、お元気そうでなによりです」

 「ハッハッハ、偉くなったもんだなぁネム。この俺に皮肉言うたぁー」

 「すいません親父!」

 「エンコォ」

 俺は反射的に体が動いた。

 「…………わ、わかりました」

 ゴスッ!

 「ッううー」

 俺は懐からドスを取り出し小指が無いので左薬指の第一関節を斬り落とした。

 「おめぇ、今回で指詰めんの何回目だ?」

 「ろ、6回目です」

 「多いなぁー、インプラントなしの生活は辛かっただろ」

 ムショはインプラントを全て外されるので俺は5年間両手の小指が無い状態で過ごしていたのだ。

 「へ、はい」

 激痛で呂律が上手く回らない。

 「ネム………おめぇ次の頭やれ」

 「え?」

 親父の突然の提案に俺は戸惑っていた。

 「嫌なら他にまわすぞ」

 「や、やります!やらせて下さい!」

 「おう、頑張れや。………それとこいつの世話頼むわ」

 親父は奥の部屋から若い男を呼び出した。

 「だれですか?」

 「二号とのガキだ」

 「はぁ…………」

 「わかったなら出てけ」

 「はい、失礼しました」

 俺は男と一緒に親父の部屋を出た。

 

 「また指詰めさせられたんですか?」

 「あぁ、あのクソジジイいつかぶっ殺してやる」

 俺は自分の部屋でドレーに治療をしてもらっていた。

 「で?誰なんですかこのガキ」

 「ガキじゃねぇ、ラビットでさぁ」

 「親父がよこしたんだ」

 「はぁ」

 「それよりグラミーと連絡ついたか?」

 「はい、10時からならいけるそうです」

 「わかった………なぁラビット、良い酒が飲める店10時から4人で予約しておいてくれ」

 「なんで俺が…………」

 めんどくさそうな顔をしているがラビットは携帯を取り出し調べて始めた。

 「……………なぁドレー、そういやお前の嫁さんと子供はどうだ?」

 「………普通ですよ。変わった事と言えば1ヶ月前に長女が小学校に入学したことぐらいですね」

 「そうか、あの子がもう学校か……早いな」

 「早いですねー」

 「…………って言うか、2人目産まれたのか?」

 「はい。3ヶ月です」

 「頑張らないとな」

 「はい、兄貴も見に来て下さいよ。嫁さんも兄貴のこと心配してましたし」

 「あぁ、次の休日にでもいくよ」

 「わかりました」 

 「俺もついて行っていいすか?」

 「ラビット……………いいぞ」

 「いいのかドレー?」

 「はい」

 「あざっす」

 「ラビットは子供が好きなのか?」

 「……………まぁ……えぇ」

 「フッ」

 「なんで笑うんです?」

 「いや、お前は子供嫌いそうだからな」

 「偏見は辞めてくだせぇ、………それよりこの店でいいですか?」

 ラビットが選んだ店は下町にありそうな中華料理店だった。

 「おい、兄貴の出所祝いなんだからもっと良い所無いのか?」

 「夜の10時から予約取れる店なんてそんなありませんよ」

 「まぁ俺はぶっちゃけお前たち3人と飯が食えればどこだって良い。ラビットそこに予約してくれ」

 「了解でさぁ」

 ティコン!

 するとドレーの携帯に一通のメールが届いた。

 「…………兄貴、失礼します」

 「あぁ」

 メールを見たドレーは眉にしわを寄せた。

 「どうかしたか?」

 「ええ、またです」

 「また?」

 ムショに入っていた俺には伝わらなかった。

 「えぇ、『ヘルドックズ』にまた仕事を潰されたようです」

 「『ヘルドックズ』か……………」

 俺をムショ送りにしやがった連中、つまり俺が殺さなくちゃいけない連中だ。

 「兄貴、終わりました」

 俺の手の治療が終わった。

 「あぁ、助かったよドレー」

 「それとこれも用意しておきました」

 ゴトッ

 ドレーは俺に小指の代わりとなるインプラントを置いた。

 「おお、前のインプラントとはだいぶ違うな」

 「はい、5年でだいぶ進化しましたんで。兄貴には1番良い物を選びました」

 「助かるよドレー。まぁでも今さっき薬指とれたけどな」

 「ハハッ、それに関しちゃ兄貴が選んでください」

 「あぁそうする」

 

 

 夜10時、俺たちは中華料理店にいた。

 「ネムの兄貴!迎えに行けずすいませんでした!!」

 グラミーが俺の目の前で土下座した。

 「おい、机に乗るなって。店に迷惑だろ」

 「はい!すいませんでした!!」

 うるせぇ。

 「ネムの兄貴!それよりさっきから気になってたんですけど横にいるガキンチョは誰ですか?」

 「こいつはラビット。親父の息子で今日からお前の後輩だ」

 「後輩………フッフッフッ、おいガキンチョよく聞け今日から俺はお前の先輩だ!すなわち!先輩の言うことは絶対!親の葬式よりも優先すべき存在だ!わかったら今すぐ俺たちに水をつげ!」

 グラミーはコップをラビットの顔に押し付けた。

 「嫌だわ。テメェでやれ」

 「はぁ〜?おい!タメ口使うな!」

 「そんぐらい自分たちで出来るでしょ」

 「ぐぬぬぬぬ、ドレー先輩からもなんか言ってやって下さいよ!」

 「いやだ」

 「なんでですか!?」

 「だってお前今日が兄貴の出所日だってのに酔い潰れたから」

 「………………………………」

 都合の良い奴だ。

 「なぁグラミー、お前結構変わったな」

 5年前と比べインプラントが増えている。

 「わかりますか!先週も新しいインプラント入れたんですよ!!」

 そう言うとグラミーは髪を掻き分けうなじを見した。

 「見えますか?このインプラント、実は違法な奴なんですけど知り合いが持ってたんで勝手に入れちゃいました!」

 「へぇー………どんな性能なん?」

 「これはですね、脳から体に発信される信号のタイムラグを無くせる代物なんですよ!すごくないですか!!」

 チート級のインプラントだ。

 「…………宝の持ち腐れだな」

 「ひどっ!」

 「でも本当に凄い物っすよこれ」 

 ラビットが食い付いた。

 「おっ!ガキンチョ!お前にもわかるかこの凄さが!まだ沢山付いてるぞ!見るか?」

 「みたいです」

 「おうおう……」

 グラミーとラビットはインプラントの話で盛り上がり2人の世界に入ってしまった。

 「兄貴は指以外にインプラント入れて無いですよね」

 「まぁな……………」

 「なんでですか?」

 「………………………別にこだわりがあるわけじゃ無いしな」

 確かにインプラントは今の時代必要不可欠だ、だが何故か俺の中でインプラントを好まない自分がいる。

 「…………兄貴。じゃあもし俺が死んだら俺のインプラントもらってくれませんか?」

 「おいおい辞めろよ縁起でもない」

 ドレーの顔は冗談のそれではなかった。

 「……………わかった。一個位はもらっておくとするか」

 「はい、お願いします…………」

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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