EP7〜キル・ベイビー〜
俺はネムさんとネムさんを心酔してる子分2人と「ヘルドックズ」の事務所前に来ていた。
「兄貴!誰なんですかこいつ!?俺たちだけでなんとかなりますって!」
ネムさんの子分の1人が俺を指しながら怒鳴った。
「やめろドレー、俺の友人だ」
こいつはドレー・ダクター。ネムさんの右腕としてネムさんの付き人をやっている人間だ。
「ネムの親父、俺もドレー先輩と同じでさぁ。友人とはいえヤクザの世界にカタギは入っちゃならねぇ」
「……………お前もかラビット……」
もう1人の子分はラビットと呼ばれているが本名はジミー・スイス、悪魔族だ。
「ネムさん、早く行こう」
「お前は黙ってろ!」
俺が喋ったのが気に食わなかったのだろう、ドレーが俺の胸ぐらを掴み上げた。
「テメェ!誰の友人に手ぇ上げたと思ってんだ!」
「…………………兄貴……すいません」
「わかったら、手ぇどけろ!」
ドレーは投げ捨てるように俺を下ろした。
「ステイ、すまなかった」
「いいよ別に………」
「おいドレー、後で謝っとけよ」
「は、はい…………」
ドレーは俺を睨みつけた。
「……………ネムの親父がそこまで言うなら俺はもう何も言いやせん。よろしくお願いしさぁ、ステイさん」
ラビットの方はドレーと比べ感情的では無いようだ。
俺は出された左手と握手した。
「よろしく、ラビット…………」
「チッ」
微かに聞こえた舌打ち、心の中では俺の事を殺したくてたまらないのだろか。
「挨拶が済んだら、行くぞ」
「あぁ、行こうネムさん」
よくもまぁ、何で俺たちは今から殴りこむ相手の事務所前で味方同志で喧嘩してんだ?
「じゃあステイ、デカいの一発頼む。でも全部壊すなよ、ジュゼッペに当たるかもしれねぇからな」
「わかってるよ………………神聖魔法「遠近掌握」」
バリバリバリッバリッ
俺は「ヘルドックズ」の事務所の屋根をひっぺ剥がした。
「…………お前…………………やりすぎだ」
「…すまん」
久々に使ったから力加減が…。
すると事務所の方から怒号が聞こえてきた。
ウオー!ドドドドドドドドドドドド
徐々に怒号と足音が大きくなる。
「来るぞ…………構えろよ3人とも…………………」
バギャーン!
事務所の全ての窓やドアから「ヘルドックズ」のヤクザが飛び出してきた。ざっと見た数は200人以上いた。
「おいおい数多すぎるだろ」
「なに弱気になってんすかドレー先輩。このままじゃステイの野郎に遅れとりますよ」
「シャァ!」
ドレーは肩のインプラントを変形させバズーカーを出した。
ドガーン!!
肩から発射された2発のミサイルが「ヘルドックズ」のヤクザ半分を吹き飛ばした。
「兄貴!見ましたか俺の活躍」
「あぁ、よくやったドレー!」
「ナイスです、ドレー先輩」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
ラビットはドレーに続き、足のインプラントで加速し「ヘルドックズ」に接近して腰に下げていたサブマシンガン2丁を乱射した。
2人の攻撃が終わる頃には「ヘルドックズ」のヤクザはあと1人だけになっていた。
「すげぇ…………」
俺はつい口から声が漏れてしまった。
「だろ、ステイ程じゃないが2人とも俺の自慢の部下だ」
「でもあと1人残ってますよ」
「だな…………」
その男は周りのヤクザが全員血だらけで死んでいるのにも関わらず無傷でタバコをふかしていた。
「ネムの親父、あいつって………」
ラビットとドレーがネムさんの所まで戻ってきた。
「あぁ………」
「誰なんですかあの人?」
「……………あいつはな………『ヘルドックズ』の幹部の1人で昔俺の部下を殺した「キル・ベイビー」って奴だ」
「キル・ベイビー……………」
可愛らしい名前だな。
すると向こうからベイビーが近づいてきた。ベイビーは丸腰で無造作に俺たちに向かってくる。
「ラビット撃て」
「はい」
ラビットは左腕のインプラントをスナイパーライフルに変形させベイビーの頭に標準を合わせた。
ダァン!
発射された弾はベイビーの脳天を撃ち抜いた。
「あっけな…………」
「ラビット……念の為もう2、3発くらいぶち込んでおいてくれ」
「…………はい」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
倒れていたベイビーにサブマシンガンを乱射した。
「………………ドレー」
「はい」
ドレーはベイビーの生死を確認しにベイビーに近づいた。
「ドレー!どうだ?」
「………………………………………!ネムさん!こいつ生きt
バゴーーン!!
ベイビーの胸部から大きな爆発が起きた。
「ドレー!!」
「……………だ、大丈夫です生きてます」
俺は爆発する瞬間脚の血液を大量に回すことで爆発より先にドレーを回収することが出来たのだ。
「………ほう、速いな。なんのインプラントを使っているんだ?」
「うえ!?」
ベイビーが喋った。脳天にトンネルが出来ているというのに。
「今の時代そんなに驚くことじゃ無いだろう」
ベイビーは何も無かったように立ち上がり俺に向かって銃を撃ってきた。
ダンッダンッダンッ
俺はドレーを庇ったので頭と首に銃弾を受けてしまった。
「………ッテ」
俺はヴァンパイヤなので痛覚はあるが死ぬことは無い。
「……………………何故死なない」
「今の時代そんな驚くことじゃ無いだろう」
「…………それもそうだな」
自分のセリフをパクられたのがムカついたのだろう、ベイビーの眉間にシワが集まっていく。
「シッ」
俺はベイビーの顎に右アッパーをかました。
バキッ
「グゲッ」
吐血に欠けた歯が混じって地面に降り注ぐ。
続けて横腹に三日月蹴り、喉に貫手、人中に一本拳を入れた。
「ガバァッ!」
ベイビーは地面に倒れ込みのたうち回った。
「………………凄っ。ベイビーをこんな簡単に………」
俺はトドメに心臓の場所に隠し持っていた短剣を刺そうとした。
「待てステイ!殺すな!」
ネムさんが俺の腕を掴み取った。
「……ネムさんがそう言うなら俺は従います」
「何故殺さん?俺はお前の部下を殺したんだぞ」
嘘だろ、まだ気を保って居るのか。
「…………お前にはまだ価値があるからな」
「……………………」
「…ジュゼッペという女は居るか?」
「…………さぁな」
「そうか………」
ネムさんは俺の腕を離した。




