EP1〜いま〜
「おい!もっと速度上げろ!追いつかれるぞ」
「んなこと言ったってもう限界まで踏んでますよ」
「チッ、仕方ねぇな。おい!ジュース、土魔法で道路作れ!下まで降りるぞ」
「了解っす。で、先輩は何するんすか?」
「俺は奴らの足止めだ」
「わっかりやした」
高速道路の途中だが構わない。
「テスカ!弾はあとどんくらいある?」
「あと、200発ってとこですね」
「わかった」
俺は窓から上半身を乗りだしてライフルをぶっ放した。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
だが向こうの車両は止まらず更に詰めてきた。
「クソが、そっちも防弾使用かよ」
「どうするんですか、このままだと追いつかれますよ」
「ジュース、あと魔力はどのくらい残ってる?」
「あと上級魔法一発分ってとこです」
「……………充分だ。ジュース、俺が合図したらできる限り冷たい水で車を覆え」
「何するんです?」
「まぁ見てろ……………」
後ろの車から前方に手榴弾が投げられた。
「ジュース!今だ」
車の回りが水で覆われた。
「よし、これなら。…………炎天級魔法『火災旋風』!」
俺は車を火災旋風で街の中に吹き飛ばした。
「ちょっと何やってんですか無茶苦茶です!?」
「ハッ、これなら流石に逃げ切れるだろ」
「さすが先輩っす」
「馬鹿なんですか!?、結局修理するの僕なんですよ」
「いいだろ、捕まるより」
「チッ。………「グェス」の新作のTシャツ買ってもらいますからね」
「わかったよ」
「えー、テスカさんだけズルいですって」
「ジュースは何か欲しい物でもあるのか?」
「んー………じゃあ「リーバイズ」のジーンズ買って下さい」
「無理、高すぎだ」
「えー、じゃあ後でラーメン奢って下さい」
「そんなもんで良いのか」
「はい」
ガシャーン
車が運良くゴミ山に突っ込んだ。
「痛ってぇー」
「ジュース、血ぃ出てんぞ」
「うわガチじゃん。最悪、服汚れた」
「いててて、……じゃあ僕は車直さないとなんでこのまま帰ります。給料は明日もらいに行きます」
「わかった、毎度毎度ありがとうな」
「いやいや、あんたには貸しが沢山あるんで。こんくらいはさせてもらうよ」
「じゃあ俺は先輩とラーメン行くから。じゃあなテスカ」
「また明日なジュース」
俺とジュースはテスカと別れラーメン屋に向かった。
「ねぇ先輩」
「なんだ?」
「ネェさんも呼びませんか?」
「…………そうだな、野郎2人で食ってもだな」
「ハハッ、別に良いじゃないですか野郎だけでも」
「ちょっと待ってろ今電話する」
プルルルルプルルルルプルルッ
『もしもしー、どうした?』
『今日もう飯食ったか?』
『まだだけど』
『今からジュースと「ジミン」のラーメン屋行くんだけど来るか?』
『行く!今どこ?』
『もうすぐ着くから先入ってる』
『わかった、すぐ行く』
『はーい』
ブツッ
「来るって」
「やったー」
俺たちは一足先にラーメン屋に着いた。
ガラララ
「ラッシャッセー、何名ですか?」
「3人で1人は後から来ます」
「はい!じゃあそこのテーブル席にご着席して下さい」
「はーい」
俺たちは店の1番奥のテーブル席に座った。
「ジュースは何食う?」
「んー、せっかく奢って貰うんで1番高いこの「ティンベルとサハラ仕込みラーメン」ってやつで…………あと「ギョウザ」も」
「「ギョウザ」は別で頼まなくても良いだろ」
「そっすね」
ガララララ
店に金髪の女が入って来た。
「先輩、ネェさん来ましたよ」
「おーいこっち」
「あっ、いたー。2人とももう頼んだ?」
「今頼もうとしてたとこ」
「ジュース君は何にしたの?」
「俺は先輩に奢ってもらうんでこの1番高いやつっす」
「……………もう、また無茶したの?」
「え?」
「だってあんたが人に物奢るのって仕事が大変だった時だけでしょ」
「………そうか?」
「ええ……………まぁ良いわ………………じゃ私はこれにするわ」
「………「ガチガエルラーメン」?」
「ええ、美味しそうでしょ」
「そ、そうだな」
「ネェさんはゲテモンが好きですもんね」
「うっさいわね、料理は味が全てよ。……ねぇあんた達、今回は何を盗ってきたのよ?」
「これだよ」
俺はポケットから一枚の紙を取り出した。
「何これ?」
「これは『マネネ』っていう神器で一回だけ死者の名前を書くことで生き返らせる事が出来るんだ」
「へぇー、すごいわね」
「だろ」
「先輩はこれなんに使うんすか?」
「まぁそれは人を生き返せる為にだけど………」
「じゃなくて、誰を生き返らせるんですか?」
「………………候補は2人いるんだ……」
「2人?」
「あぁ、ジュースには何度か話しただろ」
「あぁ!先輩の妹と先輩の先輩のことですね」
「そう、こればっかりは選べないな」
「まぁ私もあの2人の内どっちかを選ぶのは無理だわ」
「だよなー…………」
「お待たせしましたー」
ラーメンが運ばれて来た。
「まぁこの話は後でも良い、今はとりあえず食おうぜ」
「っすね」
「「「いただきまーす」」」
俺たちはラーメンをすすった。
ガララララララ。俺たちは食べ終わったので外に出た。
「先輩ごちそうさまでした」
「おう、次の仕事も頼むぞ」
「はい!で、次は何狙ってんすか?」
「次に狙う神器はな………『黒のレガリア』だ」
「それってあれよね!確か………」
「そう、キシャさんが使ってた神器だ」
「そう、それ!」
「キシャって誰すか?」
「ザカート・キシャ。お前でも名前くらいは知ってるだろ」
「あぁ、古代の英雄ですよね」
「そうそう」
「先輩たちが長生きなのは知ってるんですけど、まさか知り合いなんすか?」
「まぁな、何度か一緒に冒険したぞ」
「すげぇ」
「そのときはホーキンさんも一緒だったわよね」
「あぁ、あの時のパーティは今考えても最強だったな」
「……………楽しそうっすね先輩」
ジュースは少し寂しそうな目をしていた。
「ハハッ、昔の事を思い出すとつい………な」
「じゃっ俺も帰りますわ」
「おう、またな」
「はい、ネェさんも来てもらってありがとうございました」
「ええ、じゃあね」
ジュースはそこら辺にあった自転車の鍵を破壊し乗って行った。
すると雨がパラパラと降ってきた。
「俺らも帰るか………」
「そうね」
俺たちは雨に打たれながら帰路についた。
プシュー
玄関には飼い猫の「キッド」が待っていた。
「ただいま、キッド」
「ニャー」
頭を撫でていたら、部屋の奥に戻っていってしまった。
「ねぇ、昨日買ってきた私のピアス知らない?」
「それなら洗面台の上にあったぞ」
「……………ホントだあった!」
「………………なぁ、俺たちって死ねると思うか?」
「思うわよ、いつだってね。太陽の下に出れば一発よ」
「まぁそうなんだけどさ、いざ太陽の下に出ようとすると体が動かない事があるんだ」
「……………それはまだあんたが幸せって証拠よ」
「………そうか、そうだな。悪い急にこんな話して」
「別にあんたの「死にたい病」は今に始まったことじゃないしね」
「ハハッ」
「それより「黒のレガリア」は今どこにあるのよ?」
「世界警察の本庁」
「ヤクザの次は警察って、また指名手配は嫌よ」
「大丈夫だ、仮にも俺は「神」になった男だぜ」
「何が「神」よ、ただあんたを神だと勘違いした連中がそう言ってただけじゃない」
「まぁ、なんにしろ今回は大丈夫だ。何事もなく盗ってこれる」
「そう、なら良いわ。頑張ってきてね」
「なに言ってんだ?今回はお前も一緒に行くんだぞ」
「えー!嫌よ」
「そこをなんとか、頼むよー」
俺は後ろからやさしく抱きしめた。
「……………………………はぁ………「シェネル」」
「………の?」
「香水」
「わかった」
「とスニーカー」
「…………わかった」
まぁ、給料と考えれば安いもんだ。
「じゃあ、今日はもう寝ましょ」
「そうだな」
「それで…………私のおしりに当たってるこれはなに?」
「……………」
「一回だけよ」
俺たちはそのままリビングのソファーの上で愛し合った。
1時間後。
「はぁ、一回だけって言ったのに………」
「……………ちょっと煙草吸ってくる」
「待って、私も」
ベランダから見るこの街の景色は汚くも美しかった。
「火」
俺は指先から火を出した。
「………………ねぇ、私たちちゃんと死ねるかしら」
「死ねるさ」
「………そうよね」
「あぁ」
「………………………そろそろ寝るわ」
「おう」
俺を置いてリビングに行ってしまった。
「おやすみステイ」
「おやすみクレン」




