EP32〜いこう〜
ん?僕は今何をして………そうだ!リッキーと戦ってる最中じゃないか。
「リッキー!!」
「なんだ、もう起きたのか」
リッキーはクレンを大きな十字架に括り付けクレンの頭に銀の十字架を何度も打ち付けていた。
ゴンッゴッ
「やはり先端が尖ってないとなかなか刺すことは出来ないな」
「おい!クレンから手ぇどけろ!」
僕の体は縄で縛ってあった、ただの縄なら問題無いのだがおそらくこの縄には聖水が染み込まれているせいで僕は体が動かない。
ゴッ………ゴリッ
「ようやく頭蓋が壊れたか………」
グチャ
クレンの頭部に十字架が深く刺さった。
「ギィヤァァァァ」
さっきまで気を失っていたクレンが悲鳴をあげ顔面から血を吹き出した。
「あ……ぁあ゛、ぁああ」
クレンの叫びとも言えない叫びが響いてくる。
「おい!リッキーやめろ!こんな事して何になる」
「クレンを赤子に戻す」
「は?」
「言っただろう、俺は俗に言うロリコンだが体の小さい子が好きなんじゃない、心が純粋な子が好きなんだと」
「それと今テメェがやってる事と何が関係あるんだ!」
「特別にお前には教えてやろう、遥か昔ヴァンパイヤは奴隷としての価値が著しく高かった。それは何故か、ヴァンパイヤは身体能力が異常に高くそれに人間の血を飲めば一年は休まず働き続けられる燃費の良い生物だったからだ。だがヴァンパイヤも生きている以上奴隷としての生活は嫌気がさしたのだろう、ヴァンパイヤたちは叛逆を起こした。結果はヴァンパイヤの圧勝だった、当たり前だヴァンパイヤに普通の人間やエルフが敵うはずがない。だからいかに順従に働くヴァンパイヤの奴隷を作るか人間たちは考えた。それが俺が今やっている事だ、ヴァンパイヤの頭を十字架でかち割ることで再生を遅らせ脳を聖水で洗浄する事で記憶をリセットする事ができる。これを5年に一度程度やる事で体は大人だが脳はずっと幼い子供のままだ」
リッキーは満面の笑みを浮かべ、勃起していた。
「……………………」
僕はリッキーの狂気に何も言うことができなかった。
「では聖水でもかけるかな」
「やめろ……おいやめろって」
「ここまできてやめる奴なんていないよ」
「おい!タツヤ!タツヤ居るんだろ!早く僕たちを助けろ!」
「ん?あの人間ならさっき脳を焼いといたぞ」
扉の近くにはタツヤが倒れていた。
「クソッが…………やめろよクソが!やめろ!ぶっ殺すぞ!!」
ジャバー
クレンの頭に聖水が注がれていく。
「あ、あぁ……………嘘だ、クレン起きてくれ。あぁぁあ゛あ゛あ゛あぁあ゛あ゛あ゛ぁあ」
「このくらいでいいかな、それとステイお前は後でちゃんと殺すからな」
「ぶっ殺してやる、絶対ぶっ殺してやるクソ野郎!!」
「うるさいぞ」
リッキーは僕の顔に聖水をかけた。
「ぶっごろしでやる、ごのやろゔ。ぶっごろして………ぶっ殺して………」
「そろそろ目覚める頃かな、なぁ楽しみだなステイ」
「ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる…………」
ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる、ぶっころしてやる。
「だから黙れって」
再び聖水をかけられた、顔面は溶けるが僕は気にしていなかった。
「ぶっ殺してやる、ぶっ殺してやる………」
するとクレンの金色の髪の毛が黒く暗く染まっていった。
「ん?なんだこれは。まぁ黒髪のクレンも可愛いから構わないが………」
パチッ
クレンの瞼が開いた、その瞳には光輝く十字架の模様がうかんでいる。
「クレン??」
「……あんたに呼ばれる名前は無いと言ったはずよ」
「何!?」
「邪魔よどきなさい、クソ野郎」
クレンは僕と同じの聖水を染み込ませた縄を引きちぎりリッキーのみぞおちに右アッパーをかました。
「グへァッ」
リッキーは吐血し倒れ込んだ。
「クレン!大丈夫か?」
「ええ、それどころか調子が良いの」
「それよりなんでそんな姿になったんだ?」
「ん?どういう事?」
「いや、髪とか目だって………」
そう言われてクレンは自分の髪を持ち上げた。
「ほんとだ!なんで?」
「いや、僕がわかるわけ………」
「まぁいいわ」
「いいのか?」
「ええ、ステイは金髪の方がよかった?」
「…………いや別にどっちでも」
「でしょ、それよりリッキーよ」
クレンは聖水の染み込んだ縄を軽く引きちぎった。
「あぁ、そうだな」
リッキーはまだうずくまっていた。
「グッ、やるじゃないかクレン゛ッ」
クレンはうずくまっているリッキーの顔面を蹴り飛ばした。
「グハッ」
リッキーの顔面から出る血飛沫がまるでゴッホの『星月夜』のようだ。
「まだよ」
クレンは吹っ飛ぶリッキーより速くリッキーの着地点に回り込み右拳を後ろに引いた。
「クソが、なめるなよガキども。水神級魔法『ヤンガードリアs
「言わせないわよ」
クレンはリッキーの口に親指と小指以外の三本の指を突っ込み顎を掴んだ。
「ステイ!パス!」
クレンは僕の方にリッキーを投げてきた。
「ちょっクレンまじか!」
クレンの顔には笑顔がはりついていた。
「…………ッつくづくなめおって、炎天級魔法『火災旋風』!」
リッキーを中心とし炎が竜巻を作った。
「くそっ見失っちまった」
「ステイの魔法でなんとかならないの?」
「やってみる、風上級魔法『バアユ』」
リッキーの竜巻と逆方向に風を流し相殺する。だが僕の魔法は直ぐに打ち消されてしまった。
「やっぱリッキーには魔法じゃ敵わないな」
「………………ステイ、突っ込むわよ」
「だな」
僕たちが竜巻に突っ込もうとすると「火災旋風」が消えた。そこにリッキーの姿は無かった。
「いない………」
「逃げたのかしら」
「………………」
あいつが逃げるなんて思わないが、いつになってもリッキーは現れなかったし、探しても見つからなかった。
僕たちは日が昇る前にステゴロ部の宿に戻っていた。
「はぁ、殺せなかったわね」
「そうだな………」
クレンの髪と目はあの後徐々に元に戻っていった。
「それにしてもクレン、なんでお前聖水かけられたのに無事だったんだ?」
「わからないけど多分ビーニー・スターね」
「ビーニー・スター?」
「ええ、大将戦で戦った時ビーニーの剣に聖水が塗られてたでしょ、でもそのせいで私半年以上寝る羽目になっちゃったし。まぁ慣れって奴でしょ慣れって奴」
「慣れってレベルの話しじゃないだろ」
「いいのよ細かいことは、今ステイと生きていれるならなんだって良いの」
クレンはそう言うと僕の太ももを枕にした。
「そうか…………」
「おい、ステイ!クレン!帰ったんなら一言言えよ」
「リリスさん………」
「それで、終わったのか?」
「はい…………一応」
「クレンの方はどうなんだ?」
「………まだ何も終わって無いわ」
「そうか、じゃ行くか!」
「まだ準備してないわ」
「ベルはちゃんと寝れてます?」
「おう」
「じゃあベルが起きたら行きますか」
「そうね」
僕はこの世界に生まれ変わりここまで生きてきた。正直苦しい事が多い気がする。あの時森に行かなかったらもっと楽しい人生があったのかもしれない、だがクレンはもうぼくの一部だ。今更別の選択があったなんて考えても何もならない。
私の人生はまだまだ続くが中々悪く無かったな。
第一部はこれで終わりです。ここまで読んで頂きありがとうございました。まだステイ・セントの物語は続きますので今後とも「バツライフ」を応援よろしくお願いします。 The kid 窪田




