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(原案)バツライフ  作者: The kid 王
第一部:アバンチュールゼアー
32/58

EP29〜間違った選択の先にある代償〜

 「父さん!」

 僕は今、元シーラン薬局にいる。

 ブブブ

 かすかに聞こえる羽の音。

 1人は無事のようだ。だが父さんからの返事がない。

 「父さん、いたら返事してくれよ!」

 「…………………」

 返事がない。

 ブブブブブブ

 僕は母さんの寝室以外の部屋を探してまわった。

 「父さん………」

 この部屋にいなかったらどうする。今は朝の3時だ、出かけるには早すぎる時間だ。

 ガチャー

 「あっ、お兄ちゃん!ただいま!」

 「ただいま、モスキート」

 そこには父の姿は無く、居たのは僕が10年前赤子にしたベルゼブブ・モスキート、彼女だけであった。


 「モスキート、父さんは?」

 「パパはね兵隊さん達に連れてかれちゃったの」

 「いつ?」

 「一昨日」

 一昨日か……早く助けに行かないとヤバいな。まてよ、ということはモスキートはもう2日も何も食べて無いのか、一大事だ。

 「モスキート、腹減ってるよな?」

 「うん」

 「じゃあ何か作るから一緒に朝ご飯にしよう」

 モスキートは父さんが隠し通したのだろう。良かったモスキートに何かあれば僕は罪悪感で潰される所だった。もちろん父さんが連れて行かれたのも僕のせいである、だから今日の内に助けてに行かないとな。


 「できたぞ、モスキート」

 朝飯といったらやっぱサンドイッチである。僕とモスキートは鉄分の多い食材が好みなので、考えることが少なくて助かる。

 「…………なぁモスキート、この家から離れることになったら嫌か?」

 「………嫌……だけどひとりぼっちはもっと嫌」

 「………明日から僕とお父さんと一緒におでかけしないか?」

 「する!ベル、パパとお兄ちゃんたちと一緒におでかけしたい!」

 蟲人族は人生の大半が幼少期である、僕がモスキートの脳を赤子にして10年以上たっているが彼女の今の精神年齢は3歳くらいだ。

 「わかった。モスキート、おでかけにもって行きたい物全部もっていけるよう食べ終わったら準備しておいてくれ」

 「うん!分かったー!」

 「じゃあ僕はちょっと出かけてくるから、ここに居るんだぞ」

 モスキートはまるで自分の惨めさを写す鏡のような眩しい存在だ。


 父さんがいるとするならやはりキング・サイファーの城だろう、土魔発でスターキーさんのように穴を掘って行けば侵入できるだろう。魔法自体僕は10年前からあまり成長していないのだ、時間はかかるが地道にやっていこう。


 僕はキング・サイファーの城から少し離れた人通りの無い場所に来た。

 「ここからなら行けるな」

 土魔法で穴を開け、進んでいく。


 ガキィン

 掘り進めていると何か光の様なものに魔法が遮られた。

 「なんだこれ?」

 触れることはできないが通ることはできる。

 「まぁ進めるなら行くか」

 持っていた短剣で掘り進んでいった。 


 「ふぅ」

 出た所は食料庫であった。

 「寒いな」

 ここは城の地下か、父さんがいるとするなら牢屋だろうか。ホニーさんがいればここの構造がわかるのだが………。

 とりあえず音をたてないよう、外に出て牢屋を探さないとな。

 ガチャー、キョロキョロ

 よし、誰も居ないな。

 でも食料庫の外にあるのは上に続く階段だけだ。

 仕方ない、また土魔法で………あれ?発動しない。もう一回…………魔力切れか?しかし僕はまだ魔力の2割程しか使っていないはずだ。

 

 すると階段を降りてくる足音がした。

 ヤバっ隠れないと。僕は食料庫に戻り食料の後ろに隠れた。


 ガチャー

 入って来た。できるだけ息を殺せ。

 「………………何やってんだお前」

 バレた!仕方ない、もう殺すしか。

 僕は懐に持っていた短剣を声のした方に振った。

 「あっぶな…………」

 嘘だろ、避けられた。

 「おいおい待て待て、俺だって俺。コバヤシ・タツヤ、覚えてるか?」

 「あっ………………」

 そこにいたのは僕がジケイ大戦3回戦で戦った、元地球人のコバヤシ・タツヤが居た。

 「落ち着いたか?それにしてもあの頃と何も変わらないなお前は」

 「………………僕を殺さないのか?」

 「……まぁな」

 「なんでだよ、お前にとって僕はなんでもないだろう」

 「おいおい、そんな風に思ってたのかよショックだぜ」

 「…………………」

 「元日本人同志のよしみってやつだよ、俺もお前に会って話したいことがあるからな」

 「そ、そうか」

 「じゃあ単刀直入に聞くわ。お前本当にクレン嬢を誘拐したのか?」

 「違う!」

 「………だよな」

 「僕はただ助けっ…………守っていただけだ」

 「信じるよ」

 「そうか……」

 「で、なんでお前ここに居るんだよ?」

 「お前ならわかるだろ、父さんの事だ」

 「…………そうか」

 「『そうか』ってなんだよ?」

 「……………………」

 「おい!なんか言えよ!タツヤ!」

 「……………ついてこい」

 タツヤの顔は酷く怯えたような顔になっていた。

 「…………………っ」

 嘘だ、父さんまで何かあったら僕は、僕は。


 タツヤは、食料庫の端にある箱をどかし一つの石板を押した。

 ギギギギギギギ

 すると更に地下に続く階段が出てきた。

 「こっちだ」

 僕は従うことしか出来なかった。


 「………………」

 「もうすぐ着く」

 「……………」

 「いいか、ステイ。次の角を右だそこに居る」

 「…………………」

 僕は右に曲がった。

 

 「………あっ…………あ゛あ゛……………あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁああああぁぁぁぁああああああ゛ぁ」

 「ん?…ステイか?久しぶりだな元気そうでなによりだ」

 そこにいたのは両足と右腕、右目が欠損した父さんだった。


 「父さん、父さん!父さんごめんごめん。僕のせいでこんな、ひどいことに………っ」

 「気にするなステイ、俺はお前がそんなひでぇことする奴じゃないって事ちゃんと分かってるから」

 「でも、父さんがこんな………………タツヤ‼︎‼︎テメェこの野郎‼︎」

 僕はタツヤを思いっきりぶん殴った。

 「ぐはっ…………………」

 「お前ぇ!!わかってたんだろ!!!なんでぇ!!!なんでぇ!!あんなヘラヘラできたんだよ!!!」

 「やめろステイ、彼は逆らえなかったんだ」

 「……………………」

 「ステイ、本当にすまない。俺は最初お前に嫌われたくなくてあんな態度をとっていたんだ。自分でも吐き気がしたよ」

 タツヤはベソをかいていた。

 「……………………っ」

 「ごめん」

 「そ、そうだ父さん!早く一緒に帰ろう。モスキートも待ってる!クレンだって、そう!僕とクレン結婚するんだ。式もするんだ!父さんは出なくちゃいけないんだ」

 「…………………そりゃ良いな、おめでとう2人とも。だが俺はもうここから動けねぇ」

 「そんなことっ無…」

 「ごめんなぁステイ、お偉いさん達にお前の潔白を伝えきれなくてな………結局お前の罪を消せずに、お前の足引っ張っちまった。そうだこのまま生きてたってお前の足を引っ張っちまうんだ」

 「謝ら無いでくれよ父さん………」

 「俺は昔からお前に何もしてやれなかった、ダメな父親だった。結局母さんを殺した奴だって見つからなかった。でも最後の最後でお前に会えて良かった。俺は向こうで母さんと一緒に見守ってるからよ、元気でやれよ。ベルには遠くに旅に出たとでも言っておいてくれ、小さいあの子には苦だからな」

 「父さん待って、まだ」

 「ステイ、お前は何も間違っていない。俺はそれを知っている……………………………シーラン今行くよ」

 ガリッ

 父さんは自ら舌を噛みちぎった。

 「な、なんでだよぉぉぉぉ」

 なんで父さんが死ななきゃならないんだ。


 「そ、そうだラロイ!ラロイ早く出てきて父さんを治せよ!早く‼︎」

 「ステイ、誰と話して………」

 「早く治せよ!!!!」

 「無理だ」

 「は?」

 「死は絶対であり平等だ、死んだ人間は生き帰ら無い」

 「ま、まだ死んでないだろ!!」

 「いや、さっきお前の親父さんの魂は天に昇っていった」

 「…………………」

 僕の心は終わってしまったようだ。

 

マースメロ・セント。体の欠損による重度の失血と衰弱により11月26日5時12分死亡。


 プツッ


 

 

 

 

 


 

 


 

 

 


 


 


 

 

 

  

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