EP28〜元カレ(ロリコン)と今カレ(元女)〜
逃亡生活3日目。ピルカ国南部。
道沿いには僕らの手配書が貼られている。
「もうこんなところまで、手配書が」
「あらかじめ用意してたっぽいな」
「そうですね………」
僕らは今、ブロー町のステゴロ部に向かっている。僕とリリスさんの関係はジケイ会館ステゴロ部の先輩後輩だ、調べたらすぐわかるだろう。だからこうなってしまった以上、一刻も早く帰り師匠に事態を伝えなければならない。
「リリスさん、だいぶ移動してきましたけどあと何日くらいでつきますかね?」
「んー本気で行けば半年ってとこだな」
「間に合いますかね?」
「大丈夫だ、俺様たちより速く動ける人は居ないはずだ」
「ですね」
クレンはあれからずっと眠ったままだ。それと途中で聞いたのだが、ナタスとアイワナの戦争は大将戦が無効試合となり、後日大将戦をやり直したそうだ。戦ったのはキシャさんとタン・タンでキシャさんの圧勝だったそうだ。
半年後。クレンはまだ眠ったまま。
僕らは予定どうりブロー町ステゴロ部に着いた。
「師匠!帰りました」
「師匠ー!いねぇのか?」
返事が無い。
「師匠ー」
「寝室行ってくる」
「僕も行きます」
キリコ師匠は弟子が誰もいない時は地下の奥深くで死んだように眠るのだ。
地下室に着いた。
そこにあるのはたった一つの棺だけだ。
「師匠、起きろー。ステイとクレンが帰って来たぞ」
たがそこには師匠は居なかった。
「やぁやぁ、そろそろ来る頃だと思ったよ。ステイ・セント。リリス・アクリア。初めてまして、クレンは元気かい?」
「な、なんで…………………お前がここに居るんだよリッキー・グランド・ケーキ!」
そうそこにはクレンを強姦し、僕の人生を変えた張本人、リッキー・グランド・ケーキであった。
僕は驚きのあまり腰が抜けてしまった。
「なんで、ここにいるんだ?」
「うーん………最初から説明しようステイ・セント、まず約20年前にクレン王女が失踪、いくら探しても見つからなかった。当時彼女は俺のフィアンセだったんだ、あぁ、可愛かったなあの頃のクレンは」
「このロリコン野郎が………」
「…………ロリコン?それは俺に対して言っているのか?」
「あ?そうだよ」
「ふむロリコンか……」
自覚の無いロリコンほどタチの悪い奴は居ないな。
「………おい…話の続きを聞かせろよ」
「そうだな………えー、そうだクレンが失踪して20年、つい1週間前に俺の耳にある情報が入ってきた。クレンと、クレンを連れ去った犯人が見つかったと……国王と国民は驚いていたよ、国王に関しちゃ泣き崩れていたな」
「…………………」
「でだ、その犯人たちを調べてみると、まぁー嫌なこと、2人ともあのキリコの弟子とは、世界は案外狭いものだな」
「なぁそれより師匠は何処だよ?なんでお前がここにいんだ?」
「まぁ急かすなリリス・アクリア、だから俺は2人のことを聞こうとキリコを尋ねたんだ、だが俺が来た時にはもうあいつは居なかった」
「居なかった?」
「あぁそうだ、建物の汚れ具合からみて居なくなったのは1年前くらいだろう」
「リリスさんが師匠と最後に会ったのはいつですか?」
「3年前くらいだな」
どこに行ったんだ師匠は。
「で、なんで師匠の棺にお前が入ってたんだよ?」
「お前たちを待っていたからだ」
「は?」
「とりあえず、道場に行こう。ここは寒くてたまらん」
今ここで抱きついて「脳内点検」して殺してもいいのだが僕はとりあえず話を聞くことにした。
久しぶりの道場はあの頃と変わらなかった。
「少し埃っぽいな」
「師匠も誰も居ないらしいからな」
「では話の続きをしよう、だがその前にクレンはどこだ?成長したとはいえ久しぶりに顔をみたいな」
「あんたに会わすわけ無いでしょう」
クレンは離れの宿に置いてきてある。
「何故だ?」
「………………言う必要あるか?」
「…………まぁいいだろうステイ・セント、話を続けてよう。俺が何故お前たちを待っていたか………それはな………それはな…………………えー………なんだっけ?」
「え?」
「忘れちゃたわ」
案外ポンコツなのか?
「じゃあ俺もう帰るわ」
「え?」
「思いだしたらまたここにくるわ、クレンによろしく」
「それは嫌です」
「じゃ」
そういうとリッキーは出て行ってしまった。
「なんなだったんだあいつ?」
「さぁ?……………あっ」
「どうした?」
「いやなんでもないです」
「脳内点検」使えばよかった。
「それにしても師匠はどこ行っちまったんだ?」
「わかりません、とりあえず掃除しながら何かないか探してみましょう」
「だな」
掃除を初めて30分後。僕はあることに気付いてしまった。
「父さんはどうしたんだろう………」
「ん?どうしたステイ」
「いや、父のことを思い出して。リッキーの耳に僕の情報が入っているということは父は何かしら取り調べを受けると思うんですよ」
前世で父が嫌いだった僕は今更父の存在を思い出した。
「まぁそうだな」
「リリスさん、僕ちょっと父に会いに行って来ます」
「そうか、気をつけろよ」
「はい」
「2日間帰って来なかったら、俺様はここを離れてクレンと一緒にどっか遠くに行く」
「わかりました、じゃあまた」
ガバ街までは約5時間、〈2人〉とも無事ならいいのだが。




