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(原案)バツライフ  作者: The kid 王
第一部:アバンチュールゼアー
27/58

EP25〜中堅戦(後半)〜

 「では…………………始め」


 流石にいきなり突っ込んでは来ないか。でもどうする、僕はステゴロ部にいる時一度もリリスさんにまともなダメージを与えたどころか勝負になったことすら無い。

 やばいな、何もしてないのに汗が垂れてきた。

 「はぁ……………………」

 改めてわかるリリスさんの強さ、圧倒的な強さ。リリスさんも警戒しているのか、さっきから攻撃しようとしてこない。

 ダメだ、このままじゃ僕のメンタルが擦り切れるだけだ。

 でもどうする、僕から仕掛けても攻撃どころかその前に止められて終わりだ。

 どうする。どうする。どうする……。

 

 「……なんだぁ?ステイ、ずっと突っ立ってるだけなのか?」

 「……………」

 「つまんねぇな、せっかく久々に戦えるってのに……」

 「………」

 「ハッもういいや、いくぞぉステイ構えろ!」

 結論から言えば僕はリリスさんのどんな攻撃でも死ぬことは無い、厳密に言えば死ぬことができない。でもこの時、僕は本当にリリスさんに殺されると思った。


 リリスさんのプレッシャーが先程の比じゃない、嫌でも分かる、リリスさんが来る。

 「シャァァァァァ」

 はやッ!?気付いたら目の前にリリスさんの右拳があった。

 「あばっっっツ」

 咄嗟に後ろに下がったが、僕の鼻頭に拳がかすった。

 「まぁこのくらいは避けるよな、当たっと思ったんだけど」

 「当たりましたよ、ちゃんと」

 「ん?そうか」

 ダラーーー

 ん?口元があったかい。

 口元を拭ってみると、血が出ていた。鼻血である。

 「うおっ!な!?」

 まじか、かすったとはいえ本当に皮一枚程度、なのに僕の鼻の血管が破られたのか。

 「出鱈目だな」

 「おいおい、早く血出し切れよ。このまま戦って服に血が着いたら落としにくいだろ」

 「へい」

 中々止まらないタイプの鼻血だ。

 

 「もういいよな?」

 「はい、続けましょう」

 リリスさんから攻められたら、僕は防ぐことしか出来ない、だがら今リリスさんが待ってくれてる隙に攻める。

 

 初手は目突きのフェイントからの左アッパーと見せかけ上に意識を向けさせての右ローキック。

 「ぐっ」

 よし、上手く入った。普通の人間なら足ごと吹き飛ばせる威力のはずだが………。

 「良いねーステイ、久々に痛ぇって感じれたぞ」

 痛いだけか。

 「なんですかそれ、いき過ぎたマゾみたいですよ」

 「ハッハ………シッ」

 リリスさんが目突きをしてきた。咄嗟に避けたが追撃の左フック、これもなんとか流せた。だが左フックに合わせての右ローキックが僕の左ももに入ってしまった。

 「ッッッッッたー」

 左大腿骨が粉砕した、幸い骨自体はヴァンパイヤの自己治癒力ですぐ治る。が、その隙を逃すほどリリスさんは甘くない。

 来た、顔面への右ストレート。

 「ぐぁっ」

 まだ大腿筋が治りきってなかったから上手く避けれず、思いっきりもらってしまった。


 突然だがヴァンパイヤを無力化させるには様々な方法がある、だがその方法は特殊な道具を使う方法ばかりだ。だが一つだけ何も使わずに素手だけでヴァンパイヤを無力化させる方法がある。それはヴァンパイヤの体に十字架を描くことだ。もちろんインクを使うわけではなく、打撃で描くのだ。簡単に説明すると最初に頭、次に右左どちらかの足の甲、次に右手のひら、左の手のひら、最後に心臓の位置をこの順番どうり殴るとヴァンパイヤは死ぬことはないが一時的に元の姿に戻ってしまう。僕の場合はただの人間に戻ってしまう。つまりこの勝負は僕がリリスさんを殺すか、僕が人間に戻り殺されるかだ。


 つまり、リリスさんが次に狙うのは足の甲。逆に言えばリリスさんは足の甲以外攻撃することが出来ない、他の場所に攻撃が当たるとまた一からやり直さなければならないからだ。

 「甘いなぁステイ」

 僕のみぞおちに前蹴りが綺麗に入った。

 「ゲェぁ!?」

 足の甲ばかり気にしていて他に意識がまわらなかった。

 「俺様があんなくどいやり方するわけないだろう、お前はヴァンパイヤのまま殺すんだよ」

 そうだ、リリスさんはこういう人だ。この豪快な性格こそがリリスさんだ。

 それにしてもこういう攻撃はどうしても自然に回復するのを待つしかないんだよな。

 「まだいくぞぉステイ!」

 僕の喉への左掌底。

 「ウッッッ」

 またこの苦しい系の攻撃、これはいくら受けても慣れないし、息ができない。

 「オラァァァァ」

 右脇腹への三日月蹴り。これにより肋骨が5本折れた。すぐ直ったが、今度は口に拳を突っ込また。

 「んあ!?」

 リリスさんはそのまま僕の舌を握り締め、壁まで僕を投げ飛ばした。

 ドッッバァァァァァァァン

 「ひ、ひおいへふお。ひひふはん」

 「あ?そんぐらい直してからしゃべれ」

 「びどいですよ、リリスさん」

 「ハッ戦うってのはこういうことだ」

 「…………」 

 「……………シッ」

 ガシッ

 僕は何が起きたのか一瞬理解できなかった。

 ここにきてアイアンクロー!?

 「おらよッ」

 膝蹴りによる金的。

 「ッッッッ‼︎‼︎‼︎」

 痛い。痛い。痛い。痛い。潰れた!?僕はたまらず寝転んで転げ回ってしまった。


 ここで金的か、前世では無縁だった痛み。学校で男共がデカいリアクションで笑いをとっているだけだと思っていたあの痛み。転生して痛感した、金的は他の痛みとは違う純粋すぎる痛み、これをくらったらそれ以外なにも考えなれなくなる。

 「蹴り安くなった」

 「………へぇ?」

 バッッッコォォォン

 サッカーボールキックである。

 「ポコェ」

 変な声が出た。


 ん?なんだ、体が動かないぞ。あっ動いた、僕が立ち上がると、周りがざわついている。

 「ん?なんだ」

 リリスさんの方を見てみると足元に何か転がっている。

 そこにあったのは僕の首なしの体であった。

 「ヤバっ」

 ヴァンパイヤだとバレたか?

 「……………悪いステイ、力加減ミスっちまった」

 「そこまで、ステイ・セントの回復魔法使用により中堅戦はリリス・アクリアの勝利としステイ・セントには死刑を執行します」

 会場の混乱を避ける為とはいえヴァンパイヤの僕にとってありがたい解釈をしてくれたようだ。

 「勝手に勝負終わらすんじゃねぇ!」

 リリスさんが怒っている。

 「いいか、こいつは死ねねぇんだ」

 「は?どういうことですか?回復魔法でいきかえったんでしょう?」

 「違ぇ、こいつはな死ねなくなる呪いがかけられてるんだよ。………なぁステイ!」

 「は、はい。そうです」

 リリスさんの勢いに押されて返事をしてしまったがさすがリリスさん、謎の説得力がある。

 「………………はぁ?それは本当なのですか?」

 「本当だっつってんだろ」

 「……ならステイさん、証明することはできますか?」

 「ま、まぁできますけど。リリスさん思う存分殺して下さい」

 僕に出来るのはこのくらいだろう。

 「おう」

 僕を殺しまくるリリスさんは少し楽しそうだった。


 リリスさんが僕を殺し始め1時間。

 「………もう、いいです。わかりました信じましょう、ステイ・セントが呪いによって死なないことがわかりました。ですがどうするんですか?ステイ・セントが死なない以上この勝負、リリス・アクリアが死ぬ以外決着がつきませんが」

 「おいおいおい、俺様をなめてるのか?」

 リリスさんの眉間がしわくちゃである。

 「い、いえ、そういうわけでは」

 「ハッ俺様なら呪いなんて関係ないね」

 「そ、そうですか、では死合いを再開します。それとステイ・セントさん服着て戦って下さいね」

 「あ。はい」

 案外あっさりしている審判だな。

 そういえば僕全裸だったな、だが僕のちんこは日々のトレーニングにより通常時でもコ◯・コーラのビンくらいの大きさなのでなにも恥ずかしくない。いや普通に包茎だから恥ずいな。


 「では再開します。………始め」

 僕が死なないと認知されたので僕がこれ以上ヴァンパイヤだと隠さずに戦う必要は無い。

 ヴァンパイヤの不死力を最大限利用して戦える。全身に血液を速く、多く流し肉体の性能を極限まで高める。

 「フー…………………シッ」

 右のストレートからの裏拳、右ハイキックから着地した足を軸足として後ろ回し蹴り。

 「グハッ」

 よし、全部入った。さすがのリリスさんでも少し下がった。

 このまま一気に攻める、顎への左掌底、右膝への関節蹴り、顔面への右鉄槌、股への前蹴り、左鎖骨への手刀、みぞおちへの貫手、鼻へのかかと落とし、後頭部への肘打ち、ラストに右頬への子安キック。

 「っっっグエッ……………………いてぇ………」

 「………………はぁはぁ」

 流石のリリスさんも僕の乱撃を受け、ひるんでいる。

 「………もう……来ないのか?」

 「……………………」

 「………そうか……ステイ…正直こんなもんかって思ったよ。10年以上会わなかったんだ、もっと強いと思ってた、師匠に会ったら馬鹿にされるぞ」

 「……………すいません」

 「ハッ別に貶してるわけじゃねぇよ、でもお前ならもっと強くなれたんじゃねぇのか」

 「…………………」

 「もしかしてお前、まだ渋ってんのか?」

 「どういうことですか?」

 「だーかーら、優しい先輩である俺様を殺すことに遠慮してんじゃねぇのか?」

 「…………………」

 「ハッ馬鹿にするなよステイ、お前は俺様に勝たねぇといけねぇんじゃねぇのか?」

 「…………………」

 「本気でこいよ、殺す気で来い、じゃないと俺様も本気になれねぇ」

 「…………………」

 「黙ってんなよ!ステイ!」

 「…………………」

 そうだ、僕は託されたんだカインさんに。クレンをこの死合いに出させない為に傷つけさせない為にこの中堅戦、絶対勝たなければならない。

 「すいません。リリスさんあなたを殺します」

 「ハッ謝るなよ、萎えるだろ」

 「………いきます」

 「おう、クライマックスだ」

 僕とリリスさんは同時に飛び出した。

  

 リリスさんに先手を取られてはならない。僕は自分の舌を噛み切り、出た血を吹きかけ目隠しをした。

 「くっこのッ」

 リリスさんが血を拭い、目を開けた瞬間、左一本指目突きで確実に片方の目を潰す。

 グチュッ

 「グァっっ」

 よし、潰れた。これでもうリリスさんの右目は機能しない。

 「やってくれたなぁステイ!」

 リリスさんが目を突いた方の腕を掴んだ。リリスさんは指が目に入ったまま僕の腕をへし折り、僕の顔面へ右ハイキックを打ってきた。

 まじかよこの人、普通あの状態から反撃はしないだろ。 

 だがリリスさんの右目は潰した、右側からの攻撃には対処がしにくくなる。だから僕はひたすらリリスさんの右側を攻めまくる。

 「ハッいいぞステイ、そうだやるならとことんだ!相手が嫌がることを徹底してやれ!」

 リリスさんの構えが変わった、さっきまでは右半身を前に出していたのに今は左半身が前に出ている。

 そうか、右目が潰れたから今までの構えだと視野が狭くなってしまう。左構えにすることで少しでも見える範囲を広げたのか。

 ならば足に集中的に血を流し、機動力で掻き回し死角に入る。

 良し、死角に入った。

 「シッ」

 こめかみへの一本突き。

 この勢いとこめかみへの攻撃、いくらリリスさんでも致命傷になる。

 ゴチャッ

 「なっ」

 「わかりやすいぜステイ、俺様もそうする」

 肘で防がれたので逆に僕の拳が壊れた。

 「シャァァァァァ」

 リリスさんの裏拳が僕の側頭部にモロに入った。

 「あっ…………」

 ヤバっ意識が……視界がゆ………れ…て……ぼや……

 

 


 「はっ…………」

 「フーーーー………」

 目の前には滝のように汗を流しているリリスさんがいた。

 「勝負あり、勝者アイワナ教陣営、リリス・アクリア」

 は?どういうことだ僕はまだ戦えるぞ?

 「え?なんで?…………」

 「お疲れ、ステイ、リリスさん」

 クレンがタオルと水を持って立っていた。

 「あ、クレン、どうしてここに」

 「試合が終わったからよ……」

 「せ、説明してくれよ。僕はまだ戦え………」

 「あんた何時間死んでたと思う?」

 「何時間?」

 ほんの一、ニ分じゃないのか。

 「5時間よ5時間、リリスさんはあんたが再生した瞬間、ずっと殺して殺しまくったの」

 「……………」

 「それで審判達がもうキリがないってことで勝敗をつけたの。あんただって、5時間も死んでたのよ納得でしょ」

 「で、でも僕が負けたら、ク、クレンが死合いに出ることに、カインさんとの約束っ………」

 「いいのよ私のことは、それより今は休んで」

 クレンはこんな僕を優しく慰めてくれた。

 「……………わかった」

 「リリスさん立てる?」

 「お、おう余裕だ………なぁおいステイ、楽しかったぞ」

 「…………良かったです」

 「…ハッ俺様の目ん玉潰しておいてクヨクヨしてんじゃねぇよ………」

 「そうよステイ、リリスさんにも失礼よ」

 「そうだな、すいませんリリスさん」

 「おう、それより早く飯にしよう。腹減った」

 「そうね、もう皆んな今日は死合いって雰囲気じゃないし3人でご飯に行きましょ」

 「……………ありがとう、クレン、リリスさん」

 

ナタス・アイワナ戦争、中堅戦、アイワナ教陣営、リリス・アクリアの勝利。

 

 「肉が食いてぇ」

 「じゃあギルドにいきましょ」

 「この国には肉の専門店があるらしいですよ」

 「まじでか!」

 「ええ」

 「リリスさん奢ってー」

 「もちろん良いぞ」

 「やったー」


 ナタス教、勝利まであと2勝。

 


 

 

 


 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

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