EP19〜ダメゼッタイ〜
ベルゼブブ・モスキートの戦いから10年後。
「ねぇステイ、結局なんの依頼を受けたの?」
「商人の護衛、これなら移動費がかからないで次の国に行ける」
「私たちなら一っ飛びじゃない」
「まぁそうなんだがお金がそろそろ厳しくてな」
僕たちは今冒険者をしている。
「次の国って何処だっけ?」
「ピルカ国、宗教色が強い国だ」
「私たち無宗教よね」
「あぁだから価値観の違いやそれによるいざこざがあるかもしれないから気をつけろよ」
「ふーん」
何故今僕が冒険者をしているかというと、僕は戦いが終わった後ベルゼブブ・モスキートが犯人では無いことや固有魔法のことを皆んなに話し今回の事件の真相がまた闇になってしまったことを伝えた。そこから3年まだ事件の捜査はしていたが流石に解決のめどが見えないということでホニーさんとミントさんが事件の捜査から手を引いた、スターキーさんもその後2年後にやることができたと言って手を引いた。3人とも何かあったらすぐ動いてくれると言っていたが、まだ事件のことについては何もわかっていない。このままではただの未解決事件として人々の記憶から風化され本当に謎になってしまう。なので僕たちは父さんと別れ冒険者として事件のことを知っている人を探している。
「護衛人数は?」
「1人だけだ、だがピルカまでの道は魔物が多いらしいから気をつけて行くぞ」
「はーい」
「3日後の朝9時に門前に集合だ」
「朝かー、太陽消えてくれないかな」
3日後朝の9時
「よろしくお願いします、俺はプッシャーのチャリ・コークです」
彼は犬の獣人族である。
「今回の護衛をさせてもらいますステイです」
「クレンですわ」
「早速ですが護衛の依頼報酬をもらえますか」
「ええ、護衛任務は前払いが主流ですしね」
「はい、ご理解助かります」
護衛任務が前払いなのは冒険者のモチベーションに繋がるかららしい。まぁ確かに気持ちは上がる。
「じゃあ行きますよ」
「はい、ちなみにピルカ国までどれくらいかかりますか?」
「んー……一ヶ月ちょっとですかね」
「わかりました」
血はなんとか持ちそうだ。
それからちょくちょく魔物を倒し続けて半月程がたった。
「ねーコークさん、ここの荷物って何が入ってるの?」
クレンがコークさんに質問した。
「煙草です、煙草。最近は貴族の間で嗜好品として高く買い取ってくれるんですよ」
「煙草か……」
僕も前世で吸ってたな。
「ステイ、知ってる?煙草って」
「あ、あぁ聞いたことぐらいなら」
「なんなのかしら」
「まぁ娯楽の一種みたいなもんだ」
「ふーん……ねーコークさんちょっと見ていいかしら?」
「ええ、なんなら吸っても良いですよ」
「え?良いんですかなら僕もいいですか?」
「はい」
やった久しぶりの煙草だ。
「ねぇこれただの草じゃない、どうやって吸うのよ」
「隣の小さい箱にキセルが入ってるんで使って下さい」
キセルか前世では時代劇とかでしか見たことがないがまぁ大体わかる。
「この先端に草を詰めるんだ、それでこっちを咥えて火をつける」
「ステイ、火」
「おう」
僕はクレンの煙草に魔法で火をつけた。
「吸ってみろ」
「………ゴホッゲホッ……な、何これ」
まぁ最初はそんなものか。
「じゃあ僕も………」
確かに結構強いな、ていうかこんな味だったか?
「よく吸えるわね」
「まぁ…………………」
「ん?どうしたのステイ」
なんだこれ頭がクラクラする、意識が。
「………………」
「ちょっとコークさんステイが」
「あーこりゃキまってますね、まぁ少しすれば大丈夫ですよ」
「そ、そう…」
「………はっ」
僕は気を失っていたのか。
「おはようステイ」
「あぁおはよう、今何時だ?」
「夜の1時よ」
「結構寝てたな」
「ええ、心配しちゃたじゃない」
「悪い」
まぁヴァンパイヤはこのくらいでは絶対死なないが。
「コークさんは?」
「寝てるわ」
「そうか」
仕事中に倒れるとは不甲斐ない。
「それにしてもあんたあんなんで倒れるって肺弱いんじゃないの」
「クレンは何も無かったのか?」
「ええ、少し頭がスッキリした程度ね、まぁもう別にいいかなって」
あの草は多分前世でいう大麻だろう、明らかに効果が強いし味もおかしかった。
「あぁ、僕もあれはおすすめしない」
「倒れたしね」
「ハハ」
次の日。
「コークさんガバ街って知ってます?」
「ええ、地名くらいなら」
「そこで15年前に50人が全員血が抜かれて死んだ事件のことは知ってますか?」
「いやー流石に知りませんね、15年も前となると覚えてる人いないんじゃないですか」
「………まぁそうですよね」
「そういえば、今向かってるピルカ国でも結構大きな事件があったって聞きましたよ」
「へぇどんな事件なんですか?」
「それがだいぶ酷くて、2000人以上が死んだって」
「何が起きたんです?」
「戦争ですよ戦争、あの国は宗教が沢山あるんだが主な宗教はナタス教って言って国民の4割が信者なんだ。でも最近ピルカ国は物資が足りてなくてね、それに腹をたてたもう一つのアイワナ教って宗教の信者がナタス教の教会に物資を奪うために乗り込んだんだ。で、それに怒ったナタス側はやり返しに行ったんだ。こんな感じで始まり、いざこざが大きくなり戦争にもなったんだ。元々宗教上意見が合わない人達だったからいずれこうなるとは言われてたけどね」
「ふーん、コークさん詳しいですね」
「まぁプッシャーは売る場所の情報は調べておかないといけないですからね」
「今はどうなってるんでしょうか?」
「知らないな、この話しも出発前に聞いた話ですから」
「収まってるといいですね」
「あぁそうですが流石に一ヶ月じゃどうしようもないですよ」
「……ですね」
でもこの大麻はピルカの国の貴族に売るんだよな、大麻を買う金がある貴族と物資が足りない市民か、格差社会だな日本みてぇ。




