EP18〜全部無駄〜
この世界には数多の種族がいてそれぞれの種族には1人『王様』と呼ばれる存在がいる。わかりやすい例で言えばクレンのお父さんオースティン・キング・サイファーが人族の王様である。
「蟲人族の王、ベルゼブブ・モスキート………!」
「良い養分になってくれよゴミども」
そう吐き捨てると背中から轟音をたて大きな羽を広げ右掌からは30cm程の針を生やした。
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「来るぞ!警戒体制だ」
ベルゼブブ・モスキートは腰を落とし右手を引き、針を僕らに向け、いかにも突っ込んで来る姿勢をとっ
た。
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「スターキーあの魔法を頼む」
「良いじゃろう、皆わしの後ろに隠れとれ」
「何をするですかスターキーさん?」
「黙って見とれ………固有魔法『遠近掌握』」
ブブブブブブブブブブブブブッ
スターキーさんは左手でモスキートを握る潰す様な仕草をしたらモスキートとその周辺が崩壊した。
これは前にラロイが見せてくれた遠近掌握魔法じゃないか、なぜエルフの彼女が神の魔法を使えるんだ?
「……………結構痛かったぞ、ゴミ」
「な、なぜ生きてる、わしの50年分の魔力じゃぞ」
「生きてるもんは生きてんだよ」
モスキートは何もなかったかのようにまた元の姿勢に戻った。
「今度は私の番だ」
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「ステイ、ロック!土魔法で防御だ」
僕はロックさんと魔法を使い厚さ1mを超える壁を作った。
「ホントにゴミでバカだなお前らは」
気づいたらロックさんの脳天に土壁を突き破ったモスキートの針が貫通していた。
「スターキー‼︎」
「やってるのじゃ」
「回復か?させねぇよ、固有魔法『腐食蝕食』」
ロックさんの頭部が一瞬で腐りモスキートの針に吸収されていく。
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「ステイ!動け!」
僕はロックさんの隣にいたにも関わらずモスキートの攻撃になんの対処も出来ていない、ならせめてその腕はもらっていく。
僕はモスキートの右前腕に短刀を突き立てた。
ガキィィィン
「え?」
「とことんバカゴミだな、そんな鈍で私に傷をつけれると思っているのか?」
モスキートの腕にはかすり傷の1つついておらず短刀だけが折れた。
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「だったら私の刀なら問題ないです」
ミントさんが右前腕に刀を振り下ろす。
「だめだミントさん、それは単純な硬さじゃない何か別の何かが…」
「飛んで火に入るカスの猫ー」
やはりミントさんの攻撃はモスキートには効かなかったしそれに合わせ右前蹴りを喰らってしまった。
「………いったぁ、な、何これ」
ミントさんの腹部の傷からは白い液体が流れていた。
「あぁ蹴りと同時に私の卵を植えさせてもらったよ、30分もしない内に産まれるんじゃないか」
「………っやく」
「おっと動くな、動くと子供が出来ちゃうぞ」
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
最悪だ、ロックさんは頭部を完全に吸収され死亡し、ミントさんは事実無力だ。
「どうしたお前らもうお手上げか?」
「………ホニー、あの食物庫まで敵は何人だ?」
「2人です」
「俺が合図したらミントを担いで3人と逃げろ」
「リーダーは?」
「俺はこいつの足止めとしてここに残る」
「……………っわかりました」
「おいおい私が大人しく逃すとおもってるのか?」
「大人しくしてもらうさ」
「父さん、僕も残るよ」
「私も残るわよ」
「何言ってんだお前ら、死ぬぞ。ステイ、クレンちゃんお前らまで死んだら俺は天国で母さんに合わす顔がない」
「大丈夫だよ父さん、僕らは死なないから」
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「いいから逃げろ、お前たちはさっさと!」
「父さん、僕は今まで父さんを父さんとして見てなかったし見れなかったんだ」
「ど、どうした急に?」
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「今まで生きてきて僕は父と呼べる人間が居なかったし父という存在が怖かった。でも父さんは僕の父さんになってくれた、だから死んでほしく無いんだ。父さん皆んなと逃げてくれ」
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ
「ステ……
ブスっ
「話が長い、感動の別れなら済ませておけ」
僕の頭にモスキートの針が刺さった。
「………痛ってーなクソ害虫」
「!?なんで喋っ」
「固有魔法『脳内点検』」
気づいたら僕は真っ暗な空間にいた。
「なんだここ?」
「ようステイ」
「ラロイ、ここはどこなんだ?」
「ベルゼブブ・モスキートの脳内だ」
「モスキートの脳内か、この魔法はここで何が出来るんだ?」
「ちょっとついてこい」
ラロイが向かった先には1つのパネルがあった。
「これでモスキートの脳を弄れるぞ」
「すごいな、感情の起伏から記憶の復元なんかもあるじゃん」
気になるボタンが右上にあった。
「ねぇラロイこの『リセット』ってなに?」
「リセットはリセットだ脳が赤ん坊になる」
「なるほど………ラロイのおすすめとかある?」
「あーそうだな、この『信号遮断』なんかいいんじゃないか」
「脳からの信号を止める感じ?」
「あぁ、これならもう一生1人じゃ『何も』できなくなる、生き地獄だな」
「じゃあこれにするか」
「どこを遮断するんだ?」
「んーまずは首だろ、あと足、指、腕、口、目、性器、、、、、、、、、」
「なぁステイ思ったんだがこいつの脳になら事件の詳細があるんじゃないのか」
「確かに、そうだな」
「俺が言い出したんだが辛いんじゃねぇのか」
「いいんだよラロイ、真実を知りたいんだ」
5時間後
「……………無いぞ、事件のことが何も無い」
「おいおい、それじゃあなんだ、勘違いでお前らは殺し合ってたのか」
「………なんで?あの時確かにモスキートは『やった』と言った」
「『多分』って言ってたぞ」
「………意味がわからない、これじゃあ振り出しじゃないか」
しかも死人出てしまっている、あと戻りなどできない。
「どうしよう、取り返しがつかないぜんぶ僕のせいだ僕がここに来ようなんて言うから……」
「………今言うのもなんだが、こいつに偽の情報を本当の情報として改変することもできるぞ」
「ダメだ、なんの解決にもならない」
「だよな……」
こうなってしまったら
「……………リセットだ」
「ほう」
「モスキートには悪いが、もうこれしかない」
「そうか、なら早くしろこの魔法は魔力消費が半端ないから」
「……………うん」
本当に僕は悪い事をした、モスキートにも父さんたちにも。僕は多くの人の人生をめちゃくちゃにしてしまった。




