EP17〜はじめてのさつがい〜
本拠地らしき所に来たはいいものの、入り口には警備兵がいて入ることが出来ない。
「スターキー、またトンネルを作って建物の地下に繋いでくれ」
「わかったのじゃ」
トンネルを出た先には見慣れない食料がたくさんあった。
「食物倉庫でしょうか?」
「それにしても寒いわね」
食べ物を腐らせないよう地下に倉庫を作ったのだろう。
隣でホニーさんが見に覚えがある物を持っていた。
「ホニーさん、なんですかそれ?」
「これはガチガエルだよ、肉がさっぱりしててうまいんだよ」
いつぞやのガチガエル、あの時は原型がほぼ無かったからな。
「あら、ガチガエルじゃない。ステイこれ持って帰りましょう」
「あ、あぁ。終わったらな。それとなめろうにはしないぞ」
「なによ、美味しいのに」
料理は見た目も大事である。
「リーダー、こちらに2人近づいて来てます」
「わかった。いいか、もしこの部屋に入って来たら殺すぞ、やるのは俺と………ミント頼めるか?」
「ええ、任せて」
「いいか、殺すのは1人だ俺がやる、ミントはもう1人の方は喋れないようにしてくれ、出来るか?」
「勿論です」
足音が近づいて来るのがわかる。
「…………………来ます」
僕たちは入ってきてもバレないよう食物箱の後ろに隠れている。
ガチャ、ギーーーー
「そういえばお前の息子って今何歳なんだ?」
「来月で3歳っすよ」
「災難だったな、こんな時に敵が攻めてきて」
「まぁそうなんすっけど、先輩こそ明日結婚式じゃないすか」
「まぁーでもこんな状況じゃ延期になっちまうな」
「そうっすよね……奥さんは元気ですか?」
「あぁ最近は特にな」
「何か良いことでもあったんすか?」
「チビができた」
「まじすか、おめでとうございます」
「だから俺が頑張って支えねぇとな」
「何かあったら言って下さいね、自分子育てに関しては先輩より上手いですから」
「ハッハッハ、なまいきだなお前は」
「何持って行くんでしたっけ?」
「あぁここのガチガエ…………」
「先輩?………うわぁぁぁぁな、なん…ゴエッ」
父さんが1人の首を斬り落とし、それに動揺している隙にミントさんがもう1人の喉を掻っ斬った。
「……………フー……フーゴポエッ」
「聞いたことに答えろ、お前らのボスは何処にいる?もし嘘を吐いたらお前の家族も殺す」
「……………」
「この建物の地図と居場所を書け」
「………」
「リ、リーダー筆と墨が無いですが」
「筆は無くても、指と血は沢山あるだろう」
「……………」
震えた指で地面にこの建物の地図を描き始めた。
「…………………ゴップっん゛」
「出来たか、ここに居るんだな」
首を縦に振る。
「楽にしてやる」
地面には血が一面に広がって首が2個転がっていた。
「いいか皆んな、相手のボスの位置がわかった。奴らは鼻がいい他種族がいればバレる可能性が高いから全身にこいつらの血を塗って匂いを誤魔化すんだ」
そう言われ掬い取った血はまだ少しぬるかった。
「お゛ええぇぇえゴホッオエッ」
「クレン、大丈夫か?」
「ちょっと気分悪くなっちゃって」
無理もない始めて人が死ぬとこを見たし、この部屋に拡がる鯖の不快な臭いはキツイ。
「クレンちゃん、この先来る来ないは自分で決めるんだ」
「と、父さん」
「も、もちろんいくわ」
「おい、無理すんなって」
「いいのよ、この先何年生きるのかわからないからね」
「……そうだな」
蚊人族のボスは建物の最上階に居るとあの地図には書いてあった。
「上の方は人が全然居ませんね」
「そうね、このまま一番上に着くんじゃないかしら」
そんなことを言っていたら本当に最上階に着いてしまった。
「この扉の向こうに……」
本当に母さんたちを殺した奴のボスが居るのだろか?
「ホニー向こう側はどんな感じだ」
「1人だけです、その場から動きませんね」
「了解………行くぞ」
コンコンッ
「はーいどうぞー」
ガチャー
扉を開けた先はただただ広い空間があり全身黒のスーツで室内なのにサングラスをした女の蚊人族がいた。
「ん?なんだおまえ達は?」
「俺たちは5年前にガバ街で起こった事件を捜査している者たちでな」
「なんだそれは?」
「白々しいな、50人の血が一夜にして抜かれて殺された事件だ。まだ説明が必要か?」
「あぁ必要だ、何故お前らは私の所に来たのだ?」
「……事実確認しにだ」
「………事件のか……………………んー多分やった」
「多分だとふざけてんのかテメェ」
「5年も前のことなどいちいち覚えておらんがガバ街というのは聞き覚えがある」
「じゃあ俺はお前を殺すぞ」
「それは嫌だな、だから公平にしよう」
「公平?」
「あぁ殺されたのは確か50人だったか、だからお前らもここの村人50人殺すがいい」
「なに言ってんだよ、気色わりーな」
「もちろん、1人でも殺せば私は黙って無いがな」
「じゃあこのまま帰れってか」
「ああそうだ、だがさっきから気になってたんだがお前らは何故血まみれなんだ?」
「……………」
「しかもこの血は私の子供の血の臭いだ」
「……………」
「そうか、もう殺したのか」
「お互い様なんだろ」
「……言ったぞ、黙ってないと」
「そう言えば自己紹介してなかったな、俺はマースメロ・セント」
「私の名は『ベルゼブブ・モスキート』全ての虫の頂点に立つ蟲人族の王ベルゼブブ・モスキートだ」




