EP15〜案外やるやんけ〜
「ただいまー」
「おかえりー」
「父さんは?」
「いつもの飲み会よ」
「そう」
「お父さんが帰って来る前にお風呂入っちゃいなさい」
「うん、そうする」
…………………………………………
「⬛︎⬛︎⬛︎ーお父さん帰って来たわよ」
「はーい」
…………………………………………
ガチャ
「どうしたの父さん?」
「⬛︎⬛︎⬛︎ー、お前成長したよなー」
「急にどうしたの?」
「出会ったころの母さんとそっくりだ」
「そ、そう」
「最近はな、母さんとレスでな」
「…………?」
「ごめんな⬛︎⬛︎⬛︎、こんなお父さんで」
「ちょっと何すんの、離れて!」
「静かにしなさい、母さんに聞こえるだろ」
「イッッつあ」
「なんだ⬛︎⬛︎⬛︎まだお前まだ毛生えてないのか、……違うな剃ってるだけか」
「……………ちょっ………はなっ」
「……いい加減に黙っていろ!」
父が私に向かって拳を振り上げたところで夢から覚めた。
「…うっっ」
「どうしたのよ?」
「なんでもない」
「あ、そう。明日には到着するんだから早く寝なさいよ」
「そうだな、起こして悪かった」
ガバ街を出てもう3年位たったしまった、当初の予定より少し遅れたが問題ない。それにしてもなぜ今になってあんな夢を。
僕たちはドンイ国に着いた、ドンイ国はガバ街と違い異形の姿を人達が多く、使われる言語多様で独自の言語で話す者も多くいる。
「ガバ街とは何もかも違いますね」
「そうだな、俺が前に来た時よりごちゃついてるな」
「前はどんな感じだったんですか?」
「前はもっと貧しいながらも小綺麗な感じだったんだが今はもう全体がゴミ箱みたいだな」
こんな道の真ん中で堂々と悪口を言って怒られないのだろうか。
「父さんこれからどうします?」
「宿を取った後ギルドに登録してくる」
「…はい」
「あと、ここの水は絶対飲むなよ」
「なんでですか?」
「単純に汚いからだ、俺は前ここの水を飲んだんだがその中に寄生虫が入っていてな一ヶ月はトイレにこもっていた」
「うわぁ、じゃあ水はステイに頼むしかないのね」
「そうだ、魔法が使えるステイとロックとスターキーに頼んでくれ。よろしくな3人とも」
「はい」
「じゃあ各自宿を取り夜の8時にギルドに集合だ」
宿を取って部屋に入った僕とクレンは疲弊していた。
「いくら日光を通さないローブを着てても慣れないわねいつになっても」
「あぁおかげで血のストックもあとちょっとだ」
因みにこのローブは師匠から貰ったものである。
「あとどのくらいあるの?」
「2人分だ」
「じゃあ今夜にも献血センターに行かないとね」
「…………ここに献血センターあるのか?」
「…………さぁ?」
日が沈み宿の管理人に献血センターの有無を聞いてみたがまず献血センターが何なのかすら知らなかった。
「どうするのよ?」
「……………家畜か魔物の血を吸うしか…」
家畜はともかく魔物の血は最悪である、下水の方がましと思えるほどだ。
「それしか無いわよね、でも燃費悪いじゃない」
「仕方ないじゃないか」
「…………ねぇ、あの人達の血を貰うのは?」
クレンが指をさした方向には『安心安全の奴隷』と描かれた看板があった。
「奴隷か……」
ガバ街にはなかったがこの国では奴隷の文化がまだ根強く残っているようだ。
「…行ってみるか」
店は思っているより綺麗で売られている人たちも装飾や化粧で綺麗にされている。
「いらっしゃいませ、こちらの利用は初めてですか?」
「は、はい」
話しかけて来たのは褐色肌の綺麗なエルフのお姉さんだった。
「では軽く説明させて貰いますね。ここは基本的に週一のオークションで奴隷を売っていますのですぐ買取できるという訳ではないです。それと前科持ちや王族には販売できません。なぜかというとここで売られていた奴隷が犯罪を犯した場合こちらの責任問題にもなるからですね、それも王様クラスなると大変ですから」
「なるほど、次のオークションはいつなんですか?」
「2日後です」
「ここは奴隷以外にも何か売ってます?」
「ええ、体のパーツや血液なんかも売ってますよ、こちらは即時に買取が出来るようになってます」
「よかったわね」
「あぁ、これで一安心だな。お姉さん、血はいくらで買えますか?」
「種族によりますが大体1ℓあたり銀貨一枚です」
安いなこれならだいぶもつ。
「じゃあ人族の血を10ℓ下さい」
これでとりあえず太陽の下にいてもローブ姿なら2ヶ月はもつだろう。
「では金貨2枚ですね」
「え?ちょっと高くないですか」
「すいません、この付近では人族があまりにも少ないので高くなってしまうんです」
こんなことなら前の国で買いだめしておくんだった。
「は、はぁ」
「ねぇステイ、別に人族の血じゃなくてもいいんじゃないの?」
「それがだめなんだ、僕たちは元が人族だからそれ以外の種族の血を飲むと副作用が起きるんだ」
「へぇそうなんだ、例えば?」
「獣人の血を飲むと全身から毛が生えてきて最悪死ぬ」
「でも私達なら死なないんじゃ」
「まぁ死ぬことは無いが副作用が何かわからない限り下手に他種族の血を飲むことはやめた方がいい」
「ふぅん、あんたなんでそんな詳しいのよ」
「師匠が言ってたんだ前に有翼人族の血を間違って飲んだら背中から羽が生えてきたんだって」
「なにそれ、もしかして飛べるの?」
「飛べたらしいけど、その後尻から卵が出てきたらしいよ、超痛かったって」
「それは嫌ね」
「だろ」
「……お、お客様お支払いを」
「あ、はい」
夜の8時になったので僕たちはギルドに集まった。
「遅刻ですよ2人とも」
「すいませんミントさん、皆さんもお待たせしました」
「よし、じゃあ集まったからこれからの話をするぞ。まずここから蚊人がいると思われるナマス森には半日かかる、俺も昼の内に蚊人について色々聞いて回ってみたが詳しい情報は出てこなかったがここまで情報が出てこないとなると逆に怪しい、行く価値は十分ある」
「いつ頃出発します?」
「そうだな………三日後だな」
「もし蚊人と戦うことになったらどうしますか?」
「奴らの弱点というか蟲人族全般そうなんだが炎と煙だな、だから魔法で遠くの敵を倒して近くに来たら俺とミントで対処するって感じだな、ホニーは弓で援護を頼む」
「わかりましたわ」
「クレンちゃんはどうする?」
「………私も少々戦えますのでついていきますわ」
「…ちなみに武器は?」
「いりませんわ」
「………そ、そうか」
父さんがなんとも言えない顔をしている。
「おいお前本当に戦えるのか?」
「ステイも私をなんだと思っているの?私なりにあそこでは色々やっていたのよ」
「そ、そうなのか」
「信じてないなら今度手合わせする?」
「今にでも、不安だからな」
「……………ハッ」
超至近距離からの顔面への右ハイキック、普通の人なら今のでやられていた。
「だが初手で蹴りとは選択をミスったな」
蹴り技はどうしても拳と比べて隙が大きくなってしまう、決まれば強いが外せばやられるハイリスクハイリターンである。
僕は蹴ってきた足をかわし軸足である左足を掴みそのままクレンを持ち上げた。
「…ちょっと離して、パンツ見えちゃう」
「ふっまだまだよの〜」
荒削りだがクレンは大分強いと思う。
「2人ともいい加減にするんだ」
「「すいません」」
「でもクレンさんの蹴りも凄かったですよ」
「さすがミントさんわかってるわね」
こんな露骨に嬉しそうなクレンは久々に見たな。
「じゃあまぁクレンちゃんも問題ないだろう、3日後の朝5時にギルド前に集合な」
「はい」
奴隷屋はその国では奴隷が禁止されている小金持ちがわざわざドンイ国に来て買うくらい人気があるので儲かるんですね。




