EP11〜3回戦〜
3回戦の相手は両手剣使いの日本人。
「ステイくん、始まる前に1つアドバイスがあります」
「なんですか師匠」
「今から戦うコバヤシ・タツヤは両手剣部に入ってたったの2年で予選トーナメントで優勝した猛者です、気をつけてくださいね」
「はい、では行ってきます」
向こうの入り口からタツヤが入って来た。
「よう、さっきぶりだな」
「そうだな、本気でいかせてもらうよ」
「俺に勝てると思ってんのか」
「もちろんだよ、負けてもごねんなよ」
「ほざけ、女」
「うっさいわ、童貞」
「なんで、知ってんだよ俺が童貞ってこと!」
「さっきからイカ臭ーんだよ」
「お前、死んでも文句言うなよ」
「あぁ」
なぜだろうか、こいつと話していると口が悪くなってしまう。
「ではこれより3回戦、ステゴロ部所属ステイ・セント対両手剣部所属コバヤシ・タツヤの試合を始めます」
アナウンスがなった。
「両者構えて………………始め」
始まったか、今回の試合の肝はコバヤシがどのタイミングで未来視を使うかだ。
「おい、お前色々考えてるみてぇだが、来ないなら俺から行くぜ」
さすが転移者、身体能力はヴァンパイヤの僕と同じくらいだ。
「そんなものか、隙だらけだぞ」
予選トーナメントを勝ち上がったとはいえ両手剣部に入ってまだ2年、動きが所々雑になっている。
僕は振りかぶった腕を蹴り上げ、そのままその足で腹を思いっきり蹴った。
「グホッッッ」
だいぶダメージが入ったな、コバヤシはうずくまったまま苦しんでいる。今の内に顔面にサッカーボールキックを決める。
「なめんなゴラァ」
うずくまった体制から斬りかかってきた。
「あぶね」
間一髪で避けれたが、半歩前に出ていたら顔面が真っ二つになっていた。
「効いたぜ、このやろう」
相手が回復する暇を与えない、潰すなら今。足に大量に血を回し一気に距離を詰める。
「おせーんだよ」
まじか、なんとか首をガードしたが左腕を斬り落とされた。血液操作で血を止める。
「イッツゥゥゥゥゥゥゥゥ、未来視か?」
「使ってねぇよ」
「そんな……」
「負けを認めろ、もう戦えないだろ」
「お前こそなめんな」
まだ勝機はある、むしろ腕が斬られた事である事を思いついた。
「負けを認めねぇんだったら、全力で潰すだけだ」
「あぁ来いよ」
来た、両手剣による刺突。避けるのは容易だが2の手3の手と連続で攻撃されるとさすがに避けきるのは難しい、これ以上大きな傷を受ければヴァンパイヤとバレるかもしれない。
「まだまだいくぞ、ステイ」
左腕が無いので体のバランスが不安定だ、その隙をつかれた。腹に両手剣が刺さり貫通した。
「ゴプっ」
そのまま横に剣が引かれた。さすがにこれは人族にとって致命傷である。
「未来視を使うまでもなかったな」
「……だからなめんなって」
僕は倒れないようコバヤシに抱きついた。そしてそこからコバヤシの顔面に血を吐きかけた。
「うっ、目が」
狙いは目潰しである、もとの計画とは異なってしまったが結果オーライである。
「これで未来視は使えないよな」
僕は頭突きでコバヤシを倒れさせ、マウントをとった。
「負けを認めるか?コバヤシ」
「だまr」
僕はまた頭突きをした。相手が起き上がれないよう右手は髪を掴んでいる。
「降伏しないならやり続けるだけだ」
僕はそれから頭突きをし続けた、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、25回、26回、27回
……………………………………………………59回目。
「ま………参った」
「勝負あり、勝者ステイ・セント」
会場は静まり返っていた。
「大丈夫か、コバヤシ?」
「だ、だいじょうに……みえるのか?」
「だな、ほら立てよ」
「お、おう」
「僕さお前と会えたことでちょっと浮かれてたんだ」
「あ?急になんだよ」
「なんでもないよ」
「あっそ」
僕は明るく日本人ということで元彼とコバヤシを重ねて見ていたのだ。
「お前、元彼に似てるんだよ」
「あんま嬉しくねぇなそれ」
「ハハッ」
「お前は日本に帰りたいか?」
「いや、今はいいかな十分楽しくやってるよ」
「そうか………」
観客席に戻ってきた。
「師匠、回復魔法をかけてください」
「はい、では……『この者に再び戦う力を与えたまえ、エレクペラティオ』」
もちろんこれは回復魔法のふりである。師匠の詠唱に合わせて腕とお腹の再生をする。
「さすが師匠ですね」
「ええ、回復魔法は私の得意技ですから」
「ステイ、準決勝出場ね」
「ああ、あと2回で優勝だ」
「今戦ってるのは魔術部でエルフのアキネリ・バン・ビーと戦斧部で多腕族のビーニー・スターよ」
「魔術部が勝ち上がってくると厄介ですね」
「でも魔術使ってる奴なんて接近戦に持ち込んだら雑魚だろ」
「そうでしょうかリリスさん、僕もそこそこ魔法を使えますが接近戦でも戦える自信はあります」
「そうか?今までやってきた奴等は全員瞬殺だったけどな」
「それはリリスさんが速すぎるんですよ」
リリスさんの言ってる事は9割正しい、魔術師が接近戦で勝てる確率は限りなく少ない、だからこそ魔術師はなんらかの対策をしているのだ。
まぁどちらが来ても僕は対策してあるので大丈夫である。
「師匠3回戦やってわかったんですか僕はリリスさんや師匠に比べて圧倒的に遅くて力もありません、どうやって師匠はそのスピードとパワーをつけたんですか?」
「私の場合は長年の肉体改造ですよ」
「肉体改造?」
「ええ、例えば血管の巨大化による体の器官全ての能力向上とかですね」
「何年くらいかかるんですか?」
「全部の血管を強化するのには200年かかりましたね」
「あー………………」
「頑張りましょう」
「は、はい」
「あっ、決まったわ」
勝ったのは戦斧部のビーニー・スターだ
「ビーニー・スターか………」
「ビーニー・スターは多腕族であり多種多様な斧を使い長、中、近どの間合でも戦えるのが強みですね、それに当たれば一撃で致命傷になり得る攻撃力、厄介ですね」
「はい…………ちなみに師匠は多腕族と戦ったことはありますか?」
「もちろんありますとも、彼らはスピードが無いのでやりやすかったです」
「そうですか」
「コバヤシ・タツヤの方が強いんじゃないですかね」
じゃあいけるか、だが油断は禁物だな。
「師匠じゃあ僕は宿屋に戻ってます」
「はい、わかりました」
「ちょっと待ってよステイ」
「クレン、今日もよろしくたのむよ」
「いいわよ」
にしても今日は疲れた。明日は準決勝と決勝、ビーニー・スターはいいとして問題は決勝だな。
「あれ、まだ太陽出てるわね




