EP9〜2回戦〜
ジケイ大戦2日目の朝。
「朝よおきなさい、ステイ」
「おはよう、クレン。今何時だ?」
「朝の四時、日が出る前に早く準備して移動するわよ」
「うん、ありがと」
今更だがジケイ大戦は屋内闘技場で行うので、日光を浴びることはない。
「クレン、早く服着ろって」
「ここは暑いわ」
「そうだな、普段山暮らしだと余計な」
「ねー私のパンツ知らない?」
「ベットの下とかじゃないのか」
「んーあった」
コンコンコンッ
「クレン、人来たから毛布かぶっとけ」
「はーい」
ガチャ
「あ、師匠おはようございます」
「おはようステイくん、準備できたましたか?」
「あとちょっとです、すぐ行きます」
「では宿屋の入口で待ってます」
「はい、クレン聞いてたか?」
「わかってるわー」
「じゃあ師匠また後で」
「はい」
バタン
「ねーステイ、キリコさんとリリスさんってさどうゆう関係なんだろね」
「普通に、師匠と弟子だろ」
「でも昨日の夜、隣からすごい声聞こえてたけど」
「ただの発散じゃないのか」
という僕も半分は発散の為にしている。
「2人とも恋人とのいないかな?」
「さぁな、てか早く用意しろって」
宿屋入口。
「お待たせしました、行きましょう」
「はい」
「おい、お前ら昨日メチャクチャうるさかったぞ、特にステイ」
「ほんとですか……」
とても恥ずかしい。
「でもリリスさんも人のこと言えませんよ、途中叫んでたじゃないですか」
宿屋中に響いてたんじゃなかろうか。
「………………」
「そろそろ日が出てきますよ、走りますよ」
「……はい」
闘技場到着。
「到着っと」
「今日のステイくんの試合は10時からです、私たちは観客席に荷物を置いてきます。試合前にまた会いましょう」
「はい」
男選手控え室にて。
「なぁお前ステイ・セントだろ?」
「ええ、そうですが、あなたは?」
「俺は、ノウ・パークだよろしく」
「よろしくお願いします。で、なんの用ですか?」
「いやな、控え室前でなお前に会いたいって奴がいてな」
「どんな方ですか?」
「悪魔族の女だったぞ」
ミロ・マーチだろう。だが彼女が試合まえに俺に何の用だろうか?
「まぁとりあえず伝えたから」
「ありがとうございます」
控え室前。
「試合前になんですか?マーチさん」
「そう堅くなる必要はないステイ・セント、私はただお前に言いたいことがあるだけだ」
「八百長は無理ですよ」
「私をなんだと思っている、忠告だ忠告!」
「忠告?」
「そうだ、私は悪魔だ。悪魔は契約絶対主義なので私は、「勝つ」という契約をすることで極限まで能力が向上する。そして大戦の決着条件に気絶したら負けという条件がある、つまり私は気絶しても致命傷を受けても意識はないが死ぬまで戦い続けるんだ」
「だから諦めて辞退しろと?」
「そうだ、私にはお前は勝てない、一回戦を見てそう思っている。お前怪我は嫌だろ、だったら辞退するんだ」
怪我する事は問題では無い、問題は悪魔の契約だ。
契約内容は「勝て」だつまり死ぬことでしか負けることができない。つまり僕が勝つには彼女を殺すしかない、大戦のルール上なにも問題はないが出来るだけ殺しはしたくはない。
「マーチさん、僕があなたの忠告を無視した場合はどうするつもりですか?」
「どうするも何も普通に戦うだけだ」
「そうですよね」
「なにか言いたいのか?」
「ええ、マーチさんあなた卑怯です」
「なんだと!失礼な」
「なんでこの話を今したんですか?」
「なんでって忠告は後からしても意味ないだろ」
「まぁそうですがあなたが契約の話しをすることによって僕は辞退するしかなくなるんです。契約は「勝つ」こと気絶しても致命傷を受けても闘い続る、つまり僕はあなたを殺さないと勝てないんです」
「そ、そうだな」
「僕は当たり前のことですか、殺しをしたく無いです。なので私は辞退するしかないんです」
「…………」
「これは公平とは言えません、なので契約の内容と契約者はこちらで決めさせてもらってもいいですか?」
「…………………わかった」
根は真面目なのか、彼女は本当に忠告のつもりで僕に話しかけたのだろう。
「では、ちょっと来てください」
「了解した…」
白い灯台が見えているはずだった人通りのない場所に来た。
「師匠、急に呼んでしまいすいません」
「大丈夫ですよ、私たちは暇ですから」
「紹介します、こちら2回戦で当たるミロ・マーチさんです」
「はじめましてミロ・マーチです」
「はじめまして。で、なぜ私を呼んだのですか?」
「師匠にはこの子と契約して欲しいんです」
「なるほど、契約ですか」
さすが師匠だ話がはやい。
「で、契約内容はどうしますか?」
「契約内容は「全力を出せ」で」
「ステイくんはそれでいいんですか?」
「はい、これなら気絶や致命傷を受けたら素直に負けてくれるはずです」
「ずいぶんなめられたものだな」
「これならマーチさんも納得でしょう?」
「まぁな」
「では師匠お願いします」
「はい、では…これは契約であるミロ・マーチ、ジケイ大戦二回戦全力で戦え」
「わかりました、これにて契約完了しました」
「よし、これでいいでしょう」
「ありがとうございます師匠、マーチさんも二回戦よろしくお願いしますね」
「よろしく頼む、あと悪かった。忠告とはいえあんたを脅すような真似をしてしまった」
「もう気にしてませんよ」
「そうかありがとう」
これで一件落着だ、だか僕がもしこのままマーチさんと戦ったらどうなったのだろうか。
二回戦が始まろうとしていた。
「ではこれより二回戦、ステゴロ部所属ラロイ・セント対片手剣部所属ミロ・マーチの試合を始めます」
「よろしく頼むよ、ステイ」
「ええ、全力でやり合いましょう」
「ハハッ」
笑顔が可愛い。
「指定の場所に戻ってください…両者構えて…………………始め」
今回は僕から距離を詰める、盾の持っている左手の方から回り込み攻撃をできなくさせる。
「まぁそうくるか」
片手剣同士の戦いは基本的に正面にしか相手がいない、なのでスピードで撹乱しマーチの後ろをとる。
「が甘い!」
振り向き様に剣による薙ぎ払い。さすがに対策はしているか、だったら盾に突っ込む。
「何⁉︎」
盾に突っ込むことで相手を下がらせる、盾の方から攻める事で相手は盾が邪魔となり攻撃をしにくくなる。
「一気にいかせてもらいます」
「なめるなよ、ステイ」
盾と拳が触れた瞬間横に弾かれてしまった。
横に流れた瞬間をマーチは見逃さなかった、左肩から右横腹への袈裟切り。
「ッツつうう」
これは大ダメージだ、回復再生は出来るがヴァンパイヤということがある以上無闇に回復できない。
「続けて大丈夫なのかステイ?」
「心配ないさ、それよりマーチの肩は大丈夫なのか?」
「肩?」
マーチが肩を見た。
今だ。
僕は一直線に殴りかかった。
「わかってるわ」
盾で防がれてしまった、不意打ちが効かないのは恥ずい。
「あんた、人のこと言えないな」
「そんなことないですよ」
こうなったら頭と目、足にも大量に血を流し、最短で決める。
全力で踏み込んだ。
「はやッ
まずは盾を弾くそして、体制を変えそのままの勢いで押し倒して剣の持っている右手を左足で踏み潰す。
マーチはもう動けない、ならこのまま締め落とす。
マウントをとられたら人は馬の様に暴れる、だから押し潰すのは胸から上。
「まだダ………」
マーチは空いている左手で殴ってくる。
「いやもう終わりです、マーチさん」
「クゥッッゥ……………………………………」
落ちた。
「…………勝負あり、勝者ステイ・セント」
途中ひやっとしたがなんとか勝てた。
「勝ちましたよ、みんな」
「ええ、お疲れ様でした」
「大丈夫なのその傷?」
「ああ、もうふさがってるよ」
「よかった」
「今は次の試合を見ましょう、私達は観客席に戻ってます」
「はい、ありがとうございました」
選手控え室前。
「あ、マーチさん。早いですね」
「まぁな、今回私は負けたが次は負けんからな」
「はい、腕は大丈夫ですか?」
「ああ、半年で元に戻るだろう。では私は帰る、次も頑張るんだな」
「ええ、もちろん」
なんだかんだで応援してくれるのは嬉しいものだ。




