第零話 幼少期の記憶
※注意 本作品で出場する人物、国、地名、財団名などは全て創作世界での話です。 実際の人物、国、地名、財団名とは全くの関係はございませんので、ご了承ください。
学校について悠人が妹と校舎前で話していると、何処からともなく男女5人組が近づいてきた。 その中の1人の男は熊のように大きな体を持ち、異様なオーラを身にまとっている5人組のリーダのようだった。
妹に近づくや否やリーダーの男は妹の荷物を空高く蹴り飛ばした。
「おいお前ら うちの妹に何してくれるんだよ!」
悠人が飛びかかろうとすると、リーダーの男はハエを見るような目で見つめてきた。
「なんじゃお前!?」
リーダーがそう言うと悠人はそいつに飛びかかった。 しかし、あっさりと負けてしまった。
しかし悠人はそれに怯まなかった 何度も何度もぶつかった 妹のために死ぬ気で戦った。
それでも敵わなかった。
ボロボロになった悠人は仰向けになり、床に倒れていた。
こうなった理由は昨日まで遡る。
「快晴の空 そしてイケメンな俺 今日も完璧だぜ」
この鏡の前でポーズを決めている中学3年の榊原悠人は根っからのナルシストである。
「たっだいまぁ」
夏の暑さが目立つようになってきた7月悠人は、もう3000年代なのに2000年代後半を思わせるような古い木造建築の家に帰ってきた。
3060年代、日本の7月は温暖化など様々な理由からとても熱く、2000年代の人にとってはサウナにいるような感覚であった。
「おかえり〜 おやつそこだよぉ」
キッチンに立って夕食の準備をしていた悠人の母は一瞬悠人を見て言った。
テーブルにはお決まりのせんべいが乗っていた。
3060年ではご飯は娯楽に過ぎず、栄養などはほとんどサプリに頼っていた。
席に座るや否や悠人は対話用コンピューター「アレケサ」に話しかけた。
「アレケサ 華美の場所は?」
シスコンの悠人は、華美の事が気になって仕方がないのだ。
ー小学校を出てから10分経過しています。
小学校から家までは約1キロ 3060年となった今移動手段は基本的に充電式キックボードであるため、10数分もあれば帰ってくることができる。
「そろそろか」
そんな事を呟きながらせんべいをかじり、妹の華美を待っていた。
少しすると、力無く家のドアが開いた。
「おっかえりぃ!」
帰ってきた華美に悠人は突き倒す勢いで飛びついた。
「ただいま… 離れて来れない?」
といつもなら言われるのだが 今日はその決まり文句がなかった。
心配になって顔を見てみると、ひどく怪我をしていて目には涙を浮かべていた。
「どうしたんだ その傷」
悠人は産まれたての子鹿のように震えている華美に聞いた。
「…クラスの子に… い…いじめられた…」
振り絞るようにして出した声でかろうじて答えた。
少し落ち着かせてからよく話を聞くと、数ヶ月前からクラスの女子男子五人組にいじめられてるとのことだった。
「けしからん… 実にけしからん!!」
悠人は妹がいじめられている事を許せなかった。
「よし 俺が この兄貴がそいつらをけちらせてやる!!」
とまあ粋がったのはいいもののこの有様である。
「こいつ弱!」
煽るように言われた悠人はもはや腹を立たせる元気もなかった
「そんじゃ この偽善者のお兄ちゃんの前でいじめてやろうじゃないか!」
五人組1人がそういうと皆笑って参戦し始めた。
許せない 自分が許せない妹を守れない自分が情けない 悠人は自分をそう責めていた。
「…やめ…ろよ」
振り絞った悠人の声は5人には届かなかった。 何もできない無力な悠人は目を閉じた。
「君たち その辺にしないか?」
何処からともなく男の人の声がしてきた。
「あ? 誰だおっさ………ん」
でかい1人が振り向くとそこには筋肉で身を包んだ巨体を持つ男が立っていた。
その男は、五人組のリーダーより遥かに大きく、1000年生きている大木の様であった。
「いじめは良くないぞ その辺にしなさい」
男が言うと でかい1人がぶつかりに行ったが軽々と手で止められた
「くそ! ずらかるぞ」
五人はその男には勝てないと思い、尻尾を巻いて逃げて行ってしまった。
「兄ちゃん大丈夫か? ひどい傷だこりゃ 保健室に行こう」
男は優しく悠人は抱かれて保健室に連れて行かれた。
「お兄さん 誰?」
悠人は気になって聞いた 聞いたところによると軍に入っているがそれ以上は言えないらしい。
妹を守ってくれた人… 僕もそこにいけば華美を守れるかも!!
希望を感じた悠人は軍に入りたいと思うようになった。
「僕 お兄さんと同じ軍に入る!」
そう言うと 男はそうかそうか頑張れよと言ってくれた。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
作者の安馬内棋位です!
第零話 幼少期の記憶と題しましてお送りした 連作シリーズ 地底戦争第一作目 いかがだったでしょうか?
いじめられて助けに行く悠人しかし負けてしまいます… そこに通りすがりの 軍人さん
熊のような男を手で抑えるってどんなに強いんでしょうねぇ
是非一度あってみたいものですね!
さて いかがだったでしょうか? 是非感想やアドバイス書いていただけると嬉しいです!
では 第二作 第壱話でお会いしましょう!
作者の安馬内棋位でした!