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Phase.70 『4人組 その2』



 佐竹茂(さたけしげる)戸村義男(とむらよしお)須田英樹(すだひでき)小貫久志(こぬきひさし)。『竜殺旅団(りゅうさつりょだん)』と名乗る、4人の男達に俺達の拠点の内側へ入る事を許可すると、早速各自自分達のテントを設営し始めた。


 翔太のテントと合わせると、敷地内に4つのテントがあり丸太小屋と合わせると、ちょっとした集落にも見えるかもしれないと思った。


 結局佐竹さんを中に入れた理由、それは佐竹さんともう少し会話してみて、彼らが危険ではないだろうと判断できたからだった。


 そして彼らは、俺達の拠点で一泊させて欲しいと言ってきた。その代わり、今日一日この拠点の強化を手伝ってくれるそうだ。おまけにこの世界で手に入れたという、立派な剣も二本ももらってしまった。


 更に佐竹さん達は、俺達の拠点を利用する条件として持っている武器を全て俺に預けると言い出した。


 そこまで言ってくれているのなら、必要はないと伝えた。更に理由として、この拠点がゴブリンに襲撃された事がある事と、柵の周囲には狼の群れなども現れるから、用心の為に武器は持っていてくれてかまわないと言った。


 こうして今日から明日まで、この拠点には7人もの人がいる事となった。


 翔太一人増えただけでも、賑やかになったと思ったけれど、これだけ人数がいればなんでもできる気になる。そんな気持ちになった。


 早速佐竹さん達は、何か手伝いをする為に俺のもとに来た。翔太は風呂作りに、未玖は洗濯したものを干せる物干し台を作ると言って作業しに行った。


「椎名さん、なんでも手伝うから言ってくれ」


 さて、どうしたものか? 色々と佐竹さん達にも聞いてみたい事はあるけれど、それはまた晩飯の時にでもいいだろう。今は、折角拠点作りを手伝ってくれるというのだからありがたく手伝ってもらおう。


「それじゃあ、この拠点を囲っている拠点の柵をもう少し拡張したい。それと、もっと柵の高さと強度もあげて、外には馬防柵を配置したい」

「よし、解った。全員で手伝おう。早速始めようと思うが、資材は何処にあるんだ?」

「周囲が森に囲まれているから、森に入って手頃な木を伐り出して欲しい。鋸は、持ってきているからそれを使ってくれればいいかな。その際に、森には当然狼などの魔物がでるから十分気を付けて。やばいと思ったら、拠点の中へ逃げ込んでもらって、それでも防げないような恐ろしい魔物が現れた場合は全員で丸太小屋に避難する。丸太小屋はかなり頑丈なつくりだから逃げ込めば、かなり安全だと思う」


 そう言うと、佐竹さん達はなぜか笑った。


「え? 何かおかしかったか?」

「いや、大丈夫。俺達は『異世界(アストリア)』に始めて来たのは一カ月位前なんだがな、その間何度も冒険をしてきたんだ。それで魔物に襲われる事も多々あったが、この4人『竜殺旅団』でかかれば勝てない敵はいなかった」

「そ、そうなのか?」


 戸村さんは剣を抜くと、見事にビュンビュンと振って見せてくれた。


「まあ、魔物が現れたら俺達に任せろって。駆除してやっからよー」


 須田さんが続ける。


「ハハハハ。どうせ出るなら、あの猪の魔物がいいな。あれは美味かったからな」


 猪。美味かった? この人達は魔物を狩ってそれを食糧にもした事があるのか。ジビエみたいなこと。俺もそれには興味津々だったので、また後でその事も是非聞いてみたいと思った。


「頼りがいがあるのは解った。じゃあ魔物が出たら、佐竹さん達『竜殺旅団』に任せるよ。それじゃ作業を始めようか」


 5人で柵を抜けると、森へ入った。そして木を伐る作業に取り掛かる。木を伐っては拠点内へ運び――という作業を繰り返す。当たり前の事だけど、俺一人でやっていた時や、長野さんに手伝ってもらっている時よりも遥かに作業効率が上がった。


 昼辺りまで休みなく作業を続けていると、唐突に狼の鳴き声が聞こえてきた。この人数で森の中、色々しているので気配を感じ取られたのかもしれない。


 アオオオーーーーーン!!


 俺は皆に「狼だ!!」と叫んで知らせた。すると、佐竹さん達はニヤリと笑みを浮かべると、剣を抜いてもう片方の手には、背負っていた盾を握った。戸村さんと小貫さんも剣を抜き、須田さんは槍と大きな盾を持って構えた。狼が襲ってくる気配なのに、どうやら彼らは戦うらしい。


 俺一人ならさっさと拠点内へ逃げていた、だけど……


 俺も剣を抜くと、佐竹さんがこっちへ集まれといったので作業は一旦中断し、佐竹さんのもとへ5人密集した。


 すると森の奥から、狼の群れがこちらに向かって駆けてくるのが見えた。スマホを向けて【鑑定】を使用する。




名前:ウルフ  

種類:魔物

説明:人を襲う危険な狼の魔物。群れで襲ってくる事が多い。食用にはできるが味はそれ程美味しくない。



 

 ううーーん、なんて簡単な説明。だけどこれだけでも、有益な情報だ。俺を襲った狼はやっぱり魔物で、未玖が言っていたように名前はウルフだ。


 ウルフ共は群れで一直線に森の中を駆けてくる。そして俺達に狙いを定めて飛び掛かってきた。その数は、十数匹。


 ガウウウウウウ!!


「須田!! 防ぐぞ!!」

「ああ、任せろ!!」


 佐竹さんと須田さんが飛び掛かってくるウルフ達に向けて、盾を構えた。ウルフが盾にぶつかると同時に佐竹さん達は剣や槍を突き出してウルフを攻撃した。ウルフの悲鳴。そして更に今度は、戸村さんと小貫さんが前に出てウルフ達に向けて剣を振り回した。

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