Phase.308 『仲間とカレー』
小早川、カイ、和希、小田君、茂山君、門田君、十河君、成子君、蟻群君。皆、もう集まっていた。
そこにはテントが増えていて、三ヵ所も焚火が作られていた。そして皆、楽しそうに会話をしながらももう何かを調理している様子。いや、何かって言ったけれど、それが何かは漂ってくる匂いで解る。カレー。
「おお、やっと来たでござるな!! って言うか、珍しい組み合わせでござるな!」
「これは確かに珍妙なり。まさか大谷氏と陣内氏、キャラの完全異なる二人が、まさかこれ程仲良くこの場に登場するとはな!! 激レア的展開!!」
僕と陣内君が揃って仲良く登場した事に、カイと小早川は凄く驚いている。だけど君達だって、小田君達とこんなにも楽しそうにカレーを作ったり和気あいあいとしている。
陣内君は、横からわざと僕にぶつかってくると、そのまま肩を組んできた。そして二人に言った。
「俺達もう親友だからな、当たり前だろ! もちろん、おめーらもだけどな、なあ小田!!」
「ああ、その通りだ! 俺達は、仲間だ!!」
カイも小早川も照れ臭そうだけど、嬉しそうな顔をしている。陣内君達がまさか、僕達の事を親友だって……仲間だって言ってくれる日が来るなんて……今まで想像もしなかった事だから。
全ては『異世界』のお陰。ミケさん、椎名さんのお陰。僕達を助けてくれて、仲間にしてくれた皆、ここにいる仲間達のお陰だと思った。
そう噛み締めるようにして改めて思うと、ちょっと嬉しくて涙が出そうになった。だからそれがバレないように、誤魔化して皆に言った。
「それはそうと、今日はカレーなんだね!! 凄く美味しそうな匂いが、向こうまで匂ってきていたよ」
焚火の前に座っていた小田君が、ポンポンと自分の隣を叩いた。
「行こうぜ、大谷」
「え? うん」
陣内君と一緒に小田君の座っている隣、焚火の前に座る。小早川やカイは、向こうの焚火で他の仲間とはしゃいでいる。
僕の隣には、小田君と陣内君、そして和希が座っていた。
「よーし、そろそろ飯が炊けた頃だから、食べ始めようぜー」
「カレー、いいよね。早く食べたいな」
「俺が精魂込めて作り上げたカレーだからよ、ぜってー美味いよ。それに肉は、椎名さんが狩ったアルミラージの肉。あれを使ってみたんだけどよ。アレ、確かスープに合うんだろ? ならカレーに入れてもぜってー美味いぜ」
「こっちの焚火のカレーは、小田君が作ってくれたんだ」
「おう、俺と和希で作った! 米は和希が全部やってくれたけどな」
和希に目をやると、ちょっと照れている表情をする。
「椎名さんにご飯の炊き方を教わって、やってみたんだよ。上手く炊けているか解らないけれど、とりあえず食べられればいいよね。うん、重要なのは栄養素」
「食べられるに決まってるだろー。それに味もだろ。大丈夫だってー」
和希と小田君もすっかり仲がいい。ここは凄く居心地がいい。
「まあ大谷、遠慮せずに食ってくれよ。こう見えて俺、料理人の直系だからよ。こういうの、結構素質とかそーゆーのあんのよ、俺」
小田君の言葉に陣内君が笑い転げる。
「な、なんだよ」
「料理人の直系って、お前んちラーメン屋じゃねーかよ。あっはっはっは」
「なんだと、てめー。ラーメン屋を馬鹿にしてんじゃねーぞ!! ラーメンだって、お前が驚くくらいにこだわりとか手間暇かかっているんだぞ!!」
「まあ、確かにそうだけどよ……ぶふふふ、確かに料理人である事は間違いないな。ボロい店ではあるけど、あれ年季っつーんだよな」
「ちくしょー、てめー!! 今に見てろよ。このカレーは言わば前哨戦よ。これからのこの異世界生活でラーメンも作るつもりだったんだけどよ。陣内! お前にはぜってー食わしてやんねーからな!!」
「おい、それは待ってくれ!! お前が大谷に、さも自分は高級店のシェフみてーなノリで言って偉そうにしていたからよ、それを笑ったんだよ! お前んちの店はボロボロだけど、ラーメンは美味いからな。ここで作れるなら、俺にも作ってくれよ」
「どーしよーかなー」
小田君と陣内君のやりとりを聞いていた、僕と和希は大笑いをした。そうなんだ。小田君家は、ラーメン屋さんなんだ。僕があのままいじめられっ子を続けていて、小田君とも仲良くならなければ知らない事だった。ふーん、そうなんだ。
「なんだよ、大谷。もしかして、俺んちのラーメンに興味津々か?」
「え? あ、うん。実はラーメン、大好きなんだ。小田君家、ラーメン屋さんなら僕も是非食べてみたいなー」
「そうかそうか、じゃあ食わせてやる。あの親父の味をこの世界で再現するには、もう少しばかり時間がいるからよー。大谷と和希は、もしよかったらもとの世界で俺ん家来いよ。美味いラーメン食わしてやるぜ」
「ありがとう、小田君」
「うわー、僕も誘ってくれるんだ。嬉しいな」
「やったなー!! 俺も5杯は食うぜ!!」
「おい、陣内! お前はちゃんと金を払えよ」
「え? なんでだよー!!」
こんな感じで、凄く僕達の焚火の周りは盛り上がっていた。これだけ盛り上がっていたら、小早川やカイもこっちに来るかも――そう思って彼らのいる焚火を見ると、二人も僕達に負けない位に盛り上がっていた。
「よっし、和希!! かなりこれ、上手く炊けているぜ!!」
「本当だね、良かった!」
「それじゃあ、食べようよ」
「うしゃーー、カレーだあああ!!」
小田君と陣内君が作ってくれたカレー。それは、今まで食べたカレーの中でも、最高に美味しかった。
こんな場所で焚火を囲んで食べるカレーだからというのもあると思うけれど、やっぱり仲間と食べるカレーだから最高に美味しいんだと思った。




