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Phase.251 『人は見かけによらない?』



「あれーー? どっちだー? 陣内は、解るか?」

「解らねッス」


 コボルトとの戦闘後、魔石を一つゲット。それから引き続き、秋山君達を探して草の生い茂る中を移動していると、早速その捜索している両名の声が聞こえた。秋山君と陣内君。


 アッキーが声をあげそうになったので、「しーーーーっ」って言って聞かせると、こっそりと二人に近づいた。忍よって、そして二人のいる近くの草むらから――


「わああああっ!!!!!」

「ぎゃああああっ!!」

「ひえええええ!!」


 驚いてひっくり返る二人。それを見て私とアッキーは、笑い転げた。


「みみ、美幸ちゃんか!! めっちゃ驚いたよ。やめてくれ、もう少しで漏らしちゃう所だったよーう」

「あっはっはっは、ごみんごみん。こういうシチュエーションってさ、ついやっちゃいたくなっちゃうんだよねー」

「えーー、心臓に悪いからやめてくれよー。あと、孫いっちゃんには、間違っても絶対やっちゃ駄目だからねー。魔物だと思って銃で撃たれるよ」

「確かに。それは気を付けるね」


 アッキーがほっとした顔をする。私がそれなりに頼りになるのは、証明してみせたつもりだけど、でもやっぱり私と二人だけじゃ心細いよね。でもこれで4人。


 私は、秋山君に言った。


「それじゃ、ユキ君の後を追おうか」

「りょーかい! 何処までも美幸ちゃんの後をついてくよー。ってそう言えば、小田は、大丈夫なのかい?」


 彼と友達の陣内君も、秋山君が小田君の事を尋ねると、少し前のめりになった。彼もかなり心配している。


「それなら大丈夫かな。ヨッシーとカイ君、それに蟻群君が彼を拠点まで連れ帰ったはずだから。ここへは直線的に歩いてきたし、きっと迷わずに戻っているはず。そして海やホウっちに手当してもらっているはずだよ」

「そうか、それなら良かったー」

「っふう。小田も蟻群も大丈夫だったのか。良かった。しかしあの蟻群や小田が、大谷や有明と一緒だなんてな。俺達もあいつらも変わったな」


 陣内君のセリフを聞いて、アッキーも頷いていた。私はそんな二人の肩を叩く。


「さあさあ、遠い目をして黄昏ていないで、歩く歩く。ユキ君達は目標のコボルトと、コボルトリーダーを今も追っているから、私達も追うよ」


 秋山君が唸った。


「うーーん、でもさーー。なぜだかわかんないけど、今日は起きたら拠点も拠点の外も、草がボーボーになってたじゃん。それで、今いるここも昨日までは、もっとすっきりしていたはずなのに、草だらけで何もよく解らないだろー? そんな中、どうやってユキーを探すんだ? もちろん、探しには行くんだけどよ、計画を立てないとコボルト共と鉢合わせするかもしれないしさ」


 私はフフフと笑って、自分のスマホを取り出して画面を3人に見せた。


賞金首確認表(バウンティーサービス)。私ももう登録しているんだー。だからこれで、懸賞金のかかったコボルトの位置が解るよ」

「なるほどー、流石美幸ちゃんだぜ。そのコボルトのいる方へと行けば、ユキーや孫いっちゃん、それに小貫さんやトモマサとも合流できるって訳か」

「そういう事。でも周囲は、昨日までとは打って変わって草木に覆われちゃってるから、十分に警戒して前に進むようにしてね。何が潜んでいるかも解らないし」

「う、うっす」


 陣内君は頷くと、鉈を手に構えた。


「小田を襲ったでかい蛇が、また出てくる可能性もありますもんね」

「そうね。それにさっきの蛇よりも、もっと危険なのがいるかもしれない。兎に角、視界は最悪だから、皆気を付けて」


 コボルトの位置をスマホで確認する。うん、コボルトの位置は、ここから近い。そして拠点を出る時に確認した時から、あまり動いていない。っていう事は、ユキ君もそれに従ってそのまま真っすぐにそこへ向かっているはず。


 再び歩き始めると、秋山君と陣内君が先頭に立った。


「よーっしゃ! それじゃ、ユキーの応援に行こうぜ。とりあえず、何が潜んでいるか解んねーっつーのなら、俺と陣内が先頭に行くよ。美幸ちゃんと小早川は後ろからついてきてくれよな」

「無理しちゃって」

「美幸ちゃんの前だもん! 無理もするよーう」

「アハハ、頼もしいね。ありがとう」

「それに射手っていうのは、RPGじゃ後衛じゃんか!」


 ユキ君が翔太翔太ってよく言っているけど、その気持ちが少し解ったかもしれない。不安な気持ちが一気に明るくなるし……でも油断は、禁物。気を引き締めて行かないといけないね。


 秋山君と陣内君が先頭を歩く。


「美幸ちゃん、方向的にはこのままこっちへ真っすぐでいいんだよね」

「うん、オッケー! 私とアッキーは、ここに来るまでに、既に4匹のコボルトと遭遇して戦って倒してきたからね。だからこのあたりにもいるかもしれない。気を付けてね」


 コボルト4匹を倒した。それを聞いた前を歩く2人が、足を止めずに振り返りアッキーの顔をまじまじと見た。


「やるねー、アッキー。人は見かけによらないな。これからも頼りにしているからな」

「小早川……正直、今までお前の事をなめてたわ。実はやるやつだったんだな」

「え? え? いや、その我は別に……実際、コボルトを倒したのは美幸姫で……」

「さあさあ、ほらほら!! 手を休めないで、草を刈って前に進むよ! スマホを見る感じ、おそらくそろそろ先行したユキ君達に合流できるよ」


 草を刈ってかき分けて、秋山君達が作ってくれた道を進む。そしてついに、少し拓けた場所に出ることができた。


 ここも木々は豊富だけど、草の背が低くてあたりを見渡せる。この辺りに、懸賞金のかかったコボルトが生息している……はずなんだけど……

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