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Phase.161 『バウンティ その1』



 ツルギさんは、今日あった日常の何でもない出来事でも話すかのように坦々と話し始めた。


「それでは皆さん、それぞれがこの場にスマホを持ってきておられると思うのですが、それを手に取り『異世界(アストリア)』へ転移する事のできるアプリを起動して頂けますか?」


 ツルギさんの言ったように、スマホを取り出して転移アプリを起動させた。すると聞きなれないピヨっという音がした。なんだ?


 画面を見ると、バウンティという表示が出ている。バウンティってよく漫画やゲームなんかで聞く、バウンティハンターとかのバウンティだろ? って言う事は賞金とか報奨金みたいな意味か。


「はい、そちらが本日の21時スタート……たったさっき開始したばかりの新サービスです」

「し、新サービス?」

「そうです。察しの良い方がいらっしゃれば、もうそうなんじゃないかって思われていると思いますが、つまり賞金稼ぎサービスです」

『しょ、賞金稼ぎサービス!?』


 今度は翔太と、鈴森が二人でハモって言った。


「そうです。端的に申し上げれば、このサービスをご使用頂ける方には、こちらが指定する標的を狩って頂いて、見事成功すればそれに見合った賞金をお支払しますといったものです」


 え? 標的を狩る? もちろん、気になっている事を聞いた。


「そ、その標的って魔物だよね」

「ええ、そうです。そのサービスを利用する為には、アプリを起動したうえで、そのバウンティと表示された文字をタッチして頂く必要がります。そしてそこから新たに表示された画面で、バウンティハンターとして登録して頂きます。その時に必要なのは、本人の名前と写真画像。住所や電話番号などは転移アプリご購入の際に頂いていますので、必要はありません。それともう一つ、本人の現在ご使用中の銀行口座、もしくは郵貯や信用金庫などの情報です」

「もしかして、俺達がその……魔物を倒した時に、その報酬が俺達の口座に振り込まれるって事なのか?」


 そ、そんな事……でもそうだとしたら、凄いぞこれは――


「おっしゃる通りです。このバウンティサービスに登録すれば、標的の居場所の情報は送られてきます。サービススタートしたばかりで、あまり痒い所に手は届かないかもしれないですが、それでも『異世界(アストリア)』で自分のいる場所の、比較的近い場所にいる標的の情報が表示されると思います。情報は方角や距離など、極めてアバウトなものですがそこは、他の転移者との情報交換や調査などで補ってください。お話は以上です。何かご質問があれば伺いますが?」


 翔太が最初にツルギさんに向かって言った。


「ツルギちゃんが何者なのかーーもっと詳しく教えてよーって言う質問には、とうぜん答えてはくれないんだろーな?」

「おっしゃる通りです。それは、個人的な内容も含みますし答えられません」


 今度は、俺が聞いてみた。


「ツルギさん、あなたは俺達にとって魅力的なサービスだと言ったけれど」

「ええ、言いました。銃が必要なのですよね。だけど、お金がない」

「そ、そんなにこのバウンティサービスっていうのは稼げるのか?」


 ツルギさんはにこりと笑った。


「それはあなた方の実力次第でしょう。『異世界(アストリア)』は非常に危険な世界です。これからはこのサービスで、お金を稼ぐことを目的に危険な魔物を倒そうと試みて、逆にやられてしまう可能性も大いにあります。でも、それは全て自己責任という事になります。それだけはしっかりと理解して、バウンティハンターになれば、実力次第で短期間で大儲けする事はできるかもしれません」


 北上さんと、大井さんは二人で顔を見合わせて少し怪訝な顔をした。もしかしたら、ツルギさんをあまり信用していないのかもしれない。それとも俺達を、金で釣りあげて、危険な事をさせようとしている事に対して、何かを感じているのか。


 だけどツルギさんが言ったように、俺達は大人だ。『異世界(アストリア)』も魔物も危険だという事は既に十分に理解している。


 ツルギさんは、おもむろにたちあがり俺に近寄ってきた。そして手に持っていた俺のスマホを覗き込む。ツルギさんの顔が近くてドキッとする。しかもいい匂い……


 はっ!! 我に返ると、北上さんと大井さんが俺の方を見て少し睨んでいたので、俺は頭を摩って誤魔化した。


「えっと……お名前は」

「椎名幸廣です」

「俺は秋山翔太ね! 翔太って気安く呼んでくれていいからねー!」

「うるさい! お前には聞いてないって!」

「あんだと!?」


 翔太と睨み合っていると、ツルギさんが俺に向かって手を差し出してきた。


「椎名さん、少しそのスマホをお借りしていいですか?」

「え? あ、はい」


 するとツルギさんは、俺のスマホを操作する。そして開いた画面を俺達全員の方を向けて見せた。


「椎名さん達がいつも『異世界(アストリア)』に転移している場所、そこにある女神像から近い位置にいる目標を検索してみました。ここを押せば、検索してヒットした名前が画面に並んで表示されるのですが……こちらを見てください」


 画面には、コボルトリーダーという名前の表示と、その横には数字が――え? 50万!!


「コボルトリーダーがいるようです。おそらくコボルトですと、他に通常のコボルトもいると思いますので、こちらをタッチします。するとカメラが起動するのでそれで確認してください。当たりなら、名前と金額が表示されます。あと倒した魔物は、ここを押してカメラを起動しこの青い部分をタッチしてください。するとカメラから青い光が照射されますので、それを魔物に向ければ転送完了。魔物は送られて、送った者の口座に報酬の入金がされます」

「お、送るって何処へ?」

「それについては、お答えする事ができません」


 うーーん、コボルト。コボルトって人型の犬の魔物でゴブリンと同列位の奴だっけ? そのリーダー一匹仕留めるだけで50万円手に入るって事か。


 どうするか……とりあえず、考えてみようと思った。

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