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Phase.112 『レベル上昇 その1』



「ちょっと聞きたい事があるんだけど……」


 不死宮鬼灯(ふじみやほおずき)さんだった。不死宮さんは、黒く長い髪で肌の白いとても可愛い女の子。だけどミステリアスな感じが漂っていて、見つめられると少し怖いような感じもした。


「何かな、不死宮さん」

「早速この拠点を色々と見せてもらったんだけど……沢山畑があった……」


 畑と聞いて、未玖がビクッと反応を見せる。畑は、薬草とジャガイモ、サツマイモを今は育てているんだっけ。もしかしたら知らない間に、何か他にも作物が増えているかもしれない。畑は全面的に未玖に任せている。


「ああ、あるね。薬草、ジャガイモ、サツマイモを育ててみている。だよね、未玖?」

「は、はい!」

「薬草……薬草っていうのは、どういった物なのかしら……」

「キュアハーブっていう名前の薬草だ。『異世界(アストリア)』の植物で、森に入ればちょくちょく生えているのを見るけど、それを俺と未玖で採取してきてこの場所に植えたんだ。ひょっとしたら、薬にもなるかもしれないと思ってね」

「…………」


 俯いて何かを考えている不死宮さん。彼女の真意がなんなのかちょっと解らないので、成田さんに視線を送ってみたけど首を左右に振っている。どうやら不死宮さんは、成田さん達にとってもちょっと変わった子のようだ。


「それじゃ……椎名さんと未玖ちゃんは、それで薬を作るの?」

「いや、作れたらいいなっていうだけの話だよ。実際に怪我をしたりした時に、キュアハーブをすり潰して傷口に塗り込む程度はしたし、そこにいる小貫さんの治療にも役立った。だからこうやって育てれば、いつでも拠点内で薬草を採取できるし、もっと何か発見ができるかもしれないと思って」

「……発見とはなに?」

「それは解らない。実際、俺なんてもとの世界じゃデータ入力の仕事をしているだけだから、薬に関する知識なんてないし、どうしていいのかも解らない。だけど、始めてみなければ解らない事もあるだろうし、何か発見があったらいいだろ?」

「……確かに」


 あれ、何か納得している。


 不死宮さんは、俺との会話で何度も頷いてブツブツと何か呟いていた。そんな彼女をどう扱っていいのかまだ解らない俺は、ちょっと動揺していた。すると不死宮さんは、何か思いついたように俺に詰め寄ってきた。


 近い近い近い!! ちょっと怖い……だけど、不死宮さんの肌は真っ白で整った顔はまるで人形のように見えた。日本人形。だけど、とても綺麗な顔。


「あの……それ、つまり今は未玖ちゃんが畑仕事をしているって事なのね」

「そうだよ。俺や翔太も手伝ったりするし、他の人にも頼むかもだけど、今畑の管理は未玖にお願いしている」

「そう……それならお願いがあるんだけど、私にも未玖ちゃんのお手伝いをさせて欲しいの。あと、薬草とかそういうので薬を作るとか、そういうのに興味があるのだけれど、それもやらせてほしいの」

「え? それはいいけど、もしかして不死宮さんは薬剤師とかで、そういう薬の知識とか植物の知識があったりする?」

「ない。だけどやりたい……」


 うーーん。不死宮さんは、とても綺麗な人だけどとても独特で変わった雰囲気の人だと思った。でもまあ今はもう俺達の仲間なんだし、やりたいと言われて断る理由もない。


「それじゃ、薬草の研究とかそういうのを不死宮さんに任せるよ。あとさっき言ってた畑仕事も、不死宮さんの可能な範囲で未玖を手伝ってやって欲しい」

「勿論……ありがとう。じゃあこれからよろしくね、未玖ちゃん……」


 そう言って不死宮さんは、未玖と握手をした。未玖は翔太や鈴森と初めて会った時よりも、緊張しているように見える。


 そう言えばもう一つ気になっていた事があった。今、丁度クランのメンバー全員が集まっているし確認しておくといいと思ってその事も話す。


「皆、聞いてくれ。そう言えば、俺達皆にはこの『異世界(アストリア)』ではレベルがあるみたいなんだ。知っている者もいると思うんだけど、俺はこの世界に来たのはつい最近だし、アプリを見れば確認できる事もこの間知ったばかりなんだ。それでさっき何気に自分のレベルを確認してみたんだが、知らない間にレベルが2になっていたんだ」


 俺の言葉を聞いて、翔太と鈴森も確認をする。北上さんや大井さんは既にその事を知っていたようだけど、スマホを取り出して確認していた。


「ユキー、すげーぞ!! 俺もだ! 俺もレベル2になっている! 孫いっちゃんもだ! なんでだ? あのブルボアをやっつけたからか?」


 確かにブルボアを俺と翔太と鈴森、そして北上さんでやっつけた。もしかして……何と言うか、ファンタジーゲームみたいに魔物を倒したから経験値が入っていて、知らず知らずのうちにレベルアップしていた。そういう事だろうか。


 ふと北上さんに目をやる。


「私と海は、揃ってレベル4。私達の前にいたクランでもよくは解らなかったんだけど、魔物を倒す以外にも色々な事でレベルはアップするみたい。そしてレベルは、アップするにつれてより上がりにくくなるみたいだよ」

「それで北上さんは、あのブルボアを俺達と一緒に倒したのにもかかわらず、レベルが大井さんと変わらないままなのか。目に見えるものじゃないし、アプリに表示もされなきゃ感じる訳でもないから何とも言えないけれど、あのブルボアを倒して経験値を稼いでいたとしてもレベル4が5になる程ではない……そういう事か」


 するとここで、翔太が思い付いたかのように言った。


「それでさあ、思うんだけど……レベルが上がってなんになんのかな? 感じないけど、力が上がったり賢くなったり素早さがあがったりしてんのかな? まったく感じられんけど」


 確かに――このメンツで、その事を一番詳しく知っていそうな北上さんと大井さん、そして小貫さんと成田さんに皆の視線が向いた。もちろん、俺も――

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