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介護士の小話

介護士のドラマについて

作者: HOT-T

 職業もののドラマというものがあります。

 医療現場が舞台となるドラマは結構あり、漫画原作の『ラジエーションハウス』や映画の後にドラマもやった『ジェネラルルージュシリーズ』。

 海外でも『ER緊急救命室』やら『グレイズアナトミー』やら人気ジャンルですね。

 私は毒のある『ドクターハウス』が好きでしたが。


 介護現場が舞台となるドラマというのも少しながら存在します。

 パッと思いつくものは『任侠ヘルパー』ですよね。

 後は有村架純さんが出演された『いつ恋』でしょうか?


 まあ、いずれも未見だし見る気も無いです。

 あっ、今日の話終わってしまいますね。


 まあ、医療ものでもそうですがやはりドラマとなると本職からすると失笑ものらしいです。

 『任侠ヘルパー』放送当時、職場の人達が見た感想は『おっ、移乗の仕方がしっかりしてるね』くらいだったらしいです。

 

 さて、中々ボロクソですが職場の方がこんな事を言っていました。


『介護現場のドラマが放送されればそれを見て介護士を志そうとする人が増えるのにね』


 イメージ戦略というやつですね。

 ただ、これについては怪しい所があります。

 介護がテーマのドラマは時々出ているらしいですが介護を志す人は増えていない印象です。

 ウチの施設なんかもう3年新卒が来ていない状態です。


 何だか今だと介護現場と言うと芸能人の『禊』の場として使われるイメージがあったりします。

 しかもそこそこの知名度がある人のものがニュースで放送されるものだから益々マイナスイメージが付いてきます。


 どうせなら『介護事業所を立ち上げてそこの経営をします』みたいな芸能人が出てきたらいいのに、ですよね。

 焼肉屋とかしないでそっちの方とかどうでしょう?

 あ、でもそれはそれでイメージ悪くなるかも……


 話は戻りますが大学時代に聞いた話ですがドラマの影響での入職ブーストはかつてあったらしいです。

 どのドラマかは定かではありませんが多分NHKの連続テレビ小説あたりが怪しいです。介護についても触れられていたらしいし結構見てた人も多いのでブーストがかかったものと思われます。

 

 それで、ブーストの結果どうなったかと言うと……結構な割合の人がすぐ退職したらしく酷い所だと入った職員の倍、辞めた職員が居たところもあったそうです。


 現実はドラマと違うって事でしょうがそれにしても何でここまで減るのか。

 それはどうしても介護職というのが『就き易い職業』だからでしょうね。

 医療ドラマや刑事ドラマを見て憧れを抱いても実際になるのは難しいです。

 専門の勉強をして資格を取って……中々ハードルは高いですね。

 それに対して介護職はまあ、簡単になれます。

 

 私は元々違うジャンルの福祉を専攻していましたが仕事が見つからず仕方が無いとヘルパーの講習を受けてヘルパー2級を取り専門外だった高齢者福祉の世界に足を踏み入れました。

 まあ、予想以上に入職しやすかったです。


 例えば昔居た施設なんか面接に行くといきなり『いつから来れる?』ですからね。

 お断りした施設の中には面接官が居眠りをしていて『はい、それじゃあ採用』みたいなところもありました。

 全てがそうでは無いですがやはり他の業界に比べても入りやすい感は否めません。


 ちなみに今の職場でも本当か嘘か。

 採用試験の答案を白紙で出して合格した猛者が居たらしいです。

 一応面接のときに人柄が気に入られてとの事でしたが後々に色々やらかしたことを考えると普通にヤバイ奴だったので白紙の段階で弾いておくべきだったと思います。


 ブーストの話に戻りましょう。

 驚くほど人が集まってきて施設はウハウハですが適性があるかどうかはあまり考えず採用したところも多いでしょう。

 介護職にもやはり適性があります。


『おじいちゃんやおばあちゃんが好きです』

 

 では務まりません。

 まず、排泄介助が出来ないという事で詰む人がいます。

 生理的に無理って人は一定数いるんです。

 

 従事されている方はわかると思いますが紙パンツを降ろすと独特の臭いがします。

 加齢によるものとやはり毎日入浴しているわけでは無いので鼠径部が臭ったりするんですね。

 そして便ですが薬のせいで臭う人もおりダメな人にとっては失神モノの臭いです。

 実際、私の隣で倒れた職員も居ました。

 

 更に人と話をすることが苦手な方にも結構きついです。

 利用者とコミュニケーションを取るだけでなく、どこの職場でもそうですが職員間のコミュニケーションも結構大切です。

 この職場は何処でコミュニケーションを取っているのか、見極め最低限参加しないと詰みかねません。

 自分は職人だみたいにやってても職場によっては変なレッテル貼りがあったりして正当な評価もされず職場を去っていった人も居るでしょう。


 後、日勤と夜勤を繰り返すので体内時計が思いっきり崩れます。

 私なんか今でもそうですが1時や3時に目が覚めてとか普通にあります。

 そう言う感じで体調を崩しやすいです。

 更には肉体労働なので身体を壊して退職という方も少なくありません。


 他にも色々ありますがこんな感じで適性が無い人にはきつい仕事です。

 加えて『ドラマと違う。辞めた』って人も居るでしょう。

 中には適性があるうえでドラマの理想を追い続ける人も居ます。

 理想を追う事は悪い事ではありません。

 ただ、現実とのすり合わせも重要です。

 理想に辿り着くまでにはいくつもステップがあるものですがこの手の人はステップを踏み飛ばして来る方も少なくありません。


 結果として職場がギスギスしたり色々あって元々いた職員も辞めていくという悪循環が起こったりするんですね。

 だから何というか、今後介護がテーマのドラマが作られてAKBとかジャニーズとかあの辺りが主役してとか話題をかっさらう様なことがあっても人員不足とかは特に解決しないと思います。


 一応断っておきますが『反対』ではありません。

 ドラマを期に介護に興味を持ってくれる方が居てその人が長く続いたならそれはそれでいい事だと思います。


 ただ、そうですね……私個人の意見としては『特に期待はしない』といった感じですね。

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