表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/81

鑑定2

 お兄様たちにさっそく報告しなくっちゃ!

 喜んでもらえるかしら。

 それともうらやましがるかな!?


 そんなことを考えながら足取り軽く学院の廊下を歩いていると、レイナード様と、ご学友のカインが向こうから歩いて来るのが見えた。

 わたしの姿に気づいたレイナード様が笑顔で手を振ってくれている。


「レイナード様、鑑定はお済みになりまして?」

「ああ、今終わったところだよ。シア、何だか嬉しそうだね、いい結果が出たの?」


 言ってしまいたい。

 言ってもいいのかな?

 

 思わず「んふふっ」と笑った後で、レイナード様がじっとわたしの顔を見ていることに気づいて、表情を正した。


 危ない危ない、いくら学院内でも無礼講でも、わたしは王太子殿下の婚約者であることを忘れてはならないと、お妃教育の先生たちに、何の呪文だ?ってほどに言われ続けたのだ。


「こっちで話そうか、シア」

 レイナード様はわたしの手を引いて中庭へ行き、ふたり並んでベンチに座った。

 カインはベンチには座らずに隣に立っている。


「俺、鑑定で宰相って言われたんだよ」

 カインはどこか複雑そうな表情で笑っている。


「あら、最高の結果ではありませんか」

 

 カイン・ルーカスは筆頭公爵家の長男で、父親は現在国王陛下の宰相をしている。

 レイナード様と「ご学友」になったのも偶然ではないだろう。

 

 そしてゆくゆくは、国王となるレイナード様の片腕となることが保証されたのだ。

 こんな喜ばしいことはないと思うのだけれど?


 小首をかしげるわたしに、カインはさらに苦笑して続けた。

「だってさ、一生レイナードとべったりってことだろう?ちょっと濃すぎるっていうか、覚悟が必要っていうか」


 カインはとても気さくな性格で、自分の身分を笠に着ることもしないし、誰に対しても平等な態度で接している。

 少々軽いな、と思うこともあるけれど、きっとそのほうが本音を吐き出しやすい頼れる側近になるだろう。


「どういう意味だ。いいじゃないか『宰相』なんて、なかなか聞かない鑑定だ」

 レイナード様がそう言うと、カインは上半身を傾けて親し気にレイナード様の肩に手を回した。


「レイナードの鑑定結果なんてもっと聞いたことないけど?というか、もしもほかにも同じ結果をもらっているヤツがいたら権力争いが勃発するだろうな」


「まあ、差し支えなければ、結果を教えていただいても?」


「王子だ」

 レイナード様がボソっと言った。


 ええ、あなたはレイナード王子ですよ、知ってます。

 そう思いながら「え?」と返すと、もう少し大きい声で言い直してくれた。


「鑑定結果が『王子様』だったんだ。そんな職業あるのか?」


 あははっ!と大口を開けて笑いそうになるのを、奥歯をぐっと噛みしめてこらえた。 


「まあ、素敵」

 若干声が震えてしまったのは許してほしい。


「ステーシアちゃん、笑っていいんだよ?まんますぎてウケるだろう?」

「おい、俺の婚約者を馴れ馴れしく『ちゃん』づけで呼ぶんじゃない!」

「何言ってんだよ、無礼講だろう?」


 微笑ましい二人のやりとりに、ついに我慢できなくなって「あははっ」と笑ってしまうわたしだった。


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ