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【書籍化】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語  作者: 時岡継美
本編

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風のブーツ2

 ルシードが棚から取り出した「魔力を計測する計器」とやらを手のひらに乗せられた。

 丸くて平べったい手のひらサイズの石板だった。

 これも魔導具なんだろうか。


 そのままじっとしていると、石板がじんわり熱くなって、水色の線と黄緑色の線が浮かび上がる。

 どちらの線も細くて、角度にすると水色が10度、黄緑色がそれよりも少し幅広の15度といったところだろうか。


「なるほど…ステーシアさんは、走ること以外に泳ぎも得意ですか?」


 まあ、そんなことまでわかるの?

 こくこく頷いた。


「水の魔力と風の魔力を持ってるんだな」


 まあ!知らなかったわ。

 筋肉しか持ってないと思ってたのに!


 この魔力を測る石板は、魔法系の家門は当たり前に持っていて、子供たちは幼いうちから頻繁に計測されているらしい。

 我がビルハイム家は脳筋武闘派集団のため、魔力など測ったこともなければ興味すらない。


「でも、この程度の魔力であんなことにはならないはずなんだけど、風と水っていうのがカモと相性がいいんでしょうね。あとは、風の使い方が上手いのかな…すごいな、ステーシアさんは」

 ルシードが感心したように言った。


 騎士団と魔術師はその性質上、あまり仲がよろしくない。

 大型の魔物の討伐のときだけは連携して編成を組むものの、慈悲深く献身的な回復役(ヒーラー)を除き、騎士たちが前衛、魔術師は後衛とくっきり分かれているという。

 個人的な雑談をすることもないし、情報交換もしない。


 他国には「魔法騎士(マジックナイト)」と呼ばれる職業も存在すると聞いたことならあるけれど、我が国でももしかしたらそれが実現するかもしれないとは考えたこともなかった。


 だから、わたしのように魔導具と上手く組み合わせて飛躍的に能力を向上させることができるかもしれないと気づいている騎士は少ないんじゃないだろうか。

 例えば、もしもレオンお兄様に火の魔力があったとして、炎を帯びることのできる魔剣を持たせたら――ゴリラに炎の魔剣……すごいことになるだろう。



 ルシードとディーノの魔力測定も見せてもらった。 


 ルシードは6色が均等に分かれてぐるっと円になった。

「僕はいろんな魔法を使えるので魔導具師に向いていると言われているんです」


 なるほど、すごいわ!


 そしてディーノはなんと、石板全体が真っ赤に染まったのだ。


「これは火ってこと?」


「ああ、俺は炎一辺倒だから、魔導具師には向いていない」

 

 ディーノは拗ねたように言うけれど、全部赤ってすごいんじゃないの!?

 昨日、おしゃべりなんてしてないで早くぶっ放せばいいのにとか思ったけど、至近距離から魔法を当てられなくてよかったわ。

 火だるまになっていたに違いない。


「ねえ、ルシとディーノの二人がいれば、ものすごい火炎放射器が作れるんじゃないかしら!素敵!」


「いや、それは…」

「だから、そういうの作っちゃいけないつってんだろ!」


 無邪気にはしゃぐわたしと、困ったように複雑そうな顔をするグリマン家の兄弟がいたのだった。



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