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プロローグ

 新緑の香りをたっぷりと含んだ爽やかな薫風が、頬にかかる亜麻色の髪を後ろへとなびかせる。


 わたしの視線の先、王立高等学院の中庭の一角にあるテラスでは、この国の王太子であるレイナード・アレクセイ・ウィンザムが穏やかに微笑んでいた。


 少しクセのある柔らかな金髪に、海の青さを思い起こさせる深いマリンブルーの瞳を持つ端正な顔立ちの彼は、幼いころから王位継承者として叩き込まれた洗練された所作で隣に座る彼女の、風に舞うハニーピンクの髪を一束そっと掴んで唇を寄せた。


 微笑み合う二人はあまりにも絵になっていて、通りかかった学院の生徒たちは皆、その光景に見惚れて足を止め見入っている。


「お似合いの二人ね」

 ほうっとため息をつくようにそう漏らした女子生徒は、友人に肘で小突かれてようやくわたしがすぐ近くにいることに気づき、気まずそうな表情を浮かべて友人とともにそそくさと退散していった。

 

 別に構わないわ。

 わたしだって、お似合いの二人だと思って見ていたんだもの。

 そんな風に気を遣われる方が傷つくじゃないの。


 頬をぷくっと膨らませ、唇を尖らせて正直にそう言えたらどんなに清々するだろうか。

 王太子の婚約者にはそのような振る舞いなど許されてはいない。

 


 万が一、レイナード様が振り返って、婚約者(わたし)が二人の様子を見ていることに気づいたら、優しい彼は罪悪感に苛まれるだろう。

 わたしは無表情のまま、静かにギャラリーから抜け出した。







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