表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost Re;collection  作者: 大根沢庵
Chapter3 遥かなる予兆
99/445

098  『予想外の再会』

「え、クロストルに、ラディ!? 何でここに、ってかその腕章は!?」


「順を追って話すと長くなるから詳しくは言わないぞ」


 詳しい説明を求めるのだけど、ラディは悪戯に舌を出すとその要求を断って来る。けれどリベレーターの腕章をしてるって事はリベレーターに入隊したって事だし、その為には少なくとも推薦試験とかをクリアする必要がある。そしてそんな話なんてここ数日じゃ一回も聞いていない。

 だからこそ詳しい説明が必要になるのだけど、ラディに話す気はない様子。


 そうしているとクロストルは前に出てユウの要求通り説明してくれた。と言っても、こっちも詳しくなく大雑把で簡潔にまとめた物なのだけど。

 その内容はあまりにも驚きの物で、ユウは目を皿にしながらも聞いていた。


「俺の身柄はリベレーターで預かる事になったって話は聞いたよな」


「ああ、一応。でもそれとこれがどうやって……?」


「実はその先で君のリーダー……リコリスに誘われてさ。どうせならリベレーターに入ってみない? ってね。そのまま流れるまま進んだらこうなったって訳だ」


「ちなみに私も一緒に入隊する事になったんだぞ」


「ほぇ~……」


 色々と飛んだ話に驚愕する。どこの組織にも属さなかったラディはともかく、クロストルは一時期とは言え暗部の組織に身を隠していたのだ。相反するリベレーターに入隊するどころかリベレーターの隊員に触れる事自体が不安なはず。それなのにどうして。

 そう思っているとまたもや思考を読んだかのようにバッチリのタイミングで話し始める。


「今、どうして俺がリベレーターにって思っただろ」


「ああ。だってクロストルは元暗部の一員なんだろ。なら、リベレーターに入るだなんて恐れ多いはず。なのに何で――――」


「この借りは必ず返す。そう言ったよな」


「……!!」


 確かにクロストルは病院から去る時にそう言っていた。ついでに命に代えてでもと。だからユウは死なずに返してくれればいいと言ったのだけど、まさかその借りを返す事がリベレーターへの入隊に繋がったとでも言うのか。

 ただそれだけの理由で入隊するだなんて凄い度胸だ。……なんて考えているとクロストルは宣言する。


「俺はずっとラディを探してたんだ。そして、君が俺達を引き合わせてくれた。それだけで俺が君に尽くしたいと考えるには十分なんだ」


「そうそう。私だって何年もガルにぃを探してようやく出会えたんだぞ。なら、少なくとも恩は返さなきゃいけない。それに、私達は君に救われた。ついでに頑固者もこう言うし」


「――借りっぱなしだけは、絶対に嫌だからな」


 二人にとってリベレーターに入る理由はそれだけで十分なのだろう。恩返しの為。ただその一言で、クロストルは本来避けなければいけない組織への加入を迷いなく出来る。きっとそれが彼の人間性なんだ。

 だからこそ彼は真剣にユウを見ると手を差し伸べながらも言った。


「手伝わせてくれ。俺は君に数え切れない程の大きな恩を貰った。……救われたんだ。だからこそ、今度は俺が君を助けたい」


「……分かった。じゃあ、お願いしようかな」


 そう言って彼の手を取った。するとクロストルは真剣な表情を明るい物へと変え、ユウがお願いしてくれた事を何よりも喜んでいるみたいだった。その気持ちが欠片でも分かるからこそ今彼がどれだけ喜んでいるかを肌で感じる。そして繋いでいる手からも。

 ラディも同じ感情を抱いていて、二人の手に自分の手を重ねて言った。


「常連がなんとかかんとかって言ってったっけ。でも、今はそんなの関係なく、君は私のお気に入りだぞ。だから、これから困った事があれば何でも頼って欲しい」


「ありがとう。なら困った時は絶対に頼らせてもらうよ」


 ――それに、一人じゃないって思い知らされたからなぁ。


 脳裏でそう呟きつつも答えた。

 前までのユウならこんな状況になっても何かあったら一人だけで何とかしようと考えるだろう。でも、今だけは違う。みんながいてくれるから、頼ってもいいと考えられる。

 今まで色んな人達と関わったけど、最終的にユウの方が変えられたって事なのだろう。最初ならこんな考え何て絶対にしなかったし。


 そう考えていたのだけど、いい雰囲気はとある事に気づいた瞬間に打ち崩される。二人を見た時はリベレーターに入っただけで驚いていたけど腕章を見て更に気づく。

 だから腕章に描かれている番号を見て問いかけた。


「あれ、そう言えばその腕章、【第十七小】って書いてあるけど……」


「そりゃそうだろ。だってリコリスが誘って来たんだから」


「……えっ!? って事は二人とも十七小隊に!?」


「と言っても直接関わる訳じゃなくあくまで支援役としてだけどな~」


 すると驚愕したユウを尻目にラディがそんな事を言う。けれど十七小隊に入っている事自体には変わりないし、まさか十七小隊に入って来るとは思わなかった。そんなユウの反応を見てラディは軽く吹き出し笑って見せる。


「あれ、そこまで以外だった?」


「そりゃそうだろ。だって二人は情報屋なんだから、ついてっきり別の部門に就くんだとばっかり……」


「それもアリだな。俺達の長所的にも潜入捜査とかできそうだし。でも、それでも俺達は君のいる所を選んだんだ」


 まぁ、ここまで来てとやかく言うつもりはない。リコリスも常時隊員募集中と言っていたし、ユウも断るつもりはない。最終的に戦力が拡大されるのならそれでOKだ。

 だからユウは手を腰に当てて二人を歓迎する。

 だって、これが彼らの選択なんだから。


「情報屋二人を仲間に加えるって、どんだけ強欲なんだか……。ようこそ、リベレーター第十七小隊へ。歓迎する」


 本来なら情報屋と言うのはリベレーター全体の戦力として加えられるべきだ。そうする事によって情報屋を中心に様々な事件に対応する事が出来るし、あわよくばラナの様な位に駆け上がる事が出来る。それなのに二人の情報屋を個人の部隊に入れるなんて強欲以外の何物でもないだろう。まぁ、ある意味ではリコリスらしいといった所か。


 するとクロストルはガッツポーズを決め、ラディは握り締めた拳を天高く突き上げた。それ程嬉しいんだろう。

 でも正規のルートを通って来てない所を見るに扱いも多少なり変わるはずだ。詳しくは言えないけど、正規の任務は受けられないはず。


 そう考えているとまたもや予想外の人物から声をかけかけられる。だからその方角を向くと、こっちに歩いて来ているネシアがいて。


「お~い、ユウ君。何してんの?」


「え、ネシア!? 何でここに!?」


「何って、ただ立ち寄っただけだけど」


 彼女がここにいるだなんて思えずに問いかけるのけど、返って来たのは何も知らないと言う様な言葉。まぁ彼女はどこの隊にも属してないし当たり前と言えば当たり前か。見た所ここで招集が行われていた事も知らないみたいだし。

 でもこの際そこはどうでもいい。そう振り切ってユウは話題を変えた。


「……そう言えば、アリサとは?」


「まだ会えてない。色々忙しいってのもあったけど、何より、少し怖くて」


「そっか」


 まぁあれからまだ数日しか経ってないし、その間にも戦闘に関しての事情聴取やネシアの記憶を元に過激派を追跡していたと聞く。そんなにドタバタしていれば会えなくて当然だろう。だからこそ今が会えるチャンスになる訳なのだけど、どうやらそう言う訳にもいかなさそうで。


「今すぐにでも会いたい。でも、まだやらなきゃいけない事が沢山ある」


「過激派について?」


「いや、今度は暗部の組織についてだって。全くリベレーターも人使いが荒いんだから。こっちの事情も知らないで」


「そこら辺はベルファークと交渉すればいいのに」


「そう言う訳にもいかないのだよっと」


 色々と事情があるのだろう。ネシアはそう言って肩にかけていたG41の位置を治して歩き始めた。最初は少しでも会う事を進めようと思ったものの、会うと話が長くなる気がしたから何も言わずに手を振った。それに落ち着けばまた会えるし急がなくたっていいだろう。

 するとラディは彼女を見つつも呟き、クロストルがそれに答えた。


「ネシアってあんな感じだったっけ?」


「ユウに変えられたんだろう。俺達も変えられた事だしな」


「むっ……」


 そう言われるとニヤリとした視線を向けられて目を逸らす。確かに最初はもっとツンツンしていたというか、ノリに全てを任せる感じだったけど、今はそれ以外の何かを見出している気がする。――――言うならば、戦う以外の何かを。

 きっとアリサとの戦闘を通して何かを見付ける事が出来たのだろう。それが何であれ彼女に変化をもたらす事が出来たのなら良かった。


「それで、この後はどうするんだ?」


「この後って?」


「準備についてだよ。何か手伝う事があるのなら手伝うから」


「あ~」


 問いかけられてから考え始める。準備と言われても武器の調達とか清掃は整備士とか機関士がやってくれるし、ユウがやる事と言っても体力づくりとかそれくらいしかないはず。

 だから残念だけど顔を左右に振る。


「特段……」


「なさそうか」


「うん」


 すると二人はピクリと反応して残念そうな顔をする。まぁ、二人は手伝う為に十七小隊へ入隊した訳だし、入って早々やる事がないと言うのは驚きなのだろう。ユウも入ったばかりの頃はそうだったなと今になって振り返る。

 しかしある事を思い出して指を鳴らした。


「あ、でも出来そうな事ならあるかも知れない」


「本当か!? なんだ!?」


「情報収集」


 その瞬間に二人の時間が停止する。そりゃ今までと何も変わらないんだからそうなって当然……なはずだ。と言ってもそれくらいしか出来そうな事がないのも事実。

 故に二人は時間が動いたのと同時に残念そうな表情をした。


 ……でも、二人の本領が発揮されるのはここからだ。ユウがある存在と出会う、その時から。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ