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狩人

作者: 甜瓜

カーテンを開けるとそこにはうんざりする程の

青空が広がっていた。

文字通りの良い天気だ。

俺は素早くベットから降り、身支度を済ませ

トーストをかじり外へ出た。

新しい年になってからまだ1か月も経っていないが

世間はバレンタインなどという俺とは無縁の

イベントで盛り上がっていた。

通りかかったスーパーでもチョコレートの

特売をやっている。

バレンタインチョコなど、もう何年貰っていないだろう。

チョコが苦手な人間がこんな事を考えても仕方がないと言い聞かせ、散歩を再開させた。

まだ朝も早いというのに

ランドセルを背負った子供、

学ランに身を包んでいる学生、

駅へ急ぐサラリーマン、井戸端会議中の主婦たち。

「最近また“あれ”が出たらしいわよ」

「そう言えば最近よく聞くわよね」

「うちの子が巻き込まれなければいいけど」

聞きたくない会話の内容が右から左へと抜けていく。

主婦たちの言う“あれ”の見当はついている。

しかし、それを俺の口から公表する訳にはいかない。

さっきの会話の記憶を残らず消去し、また歩いた。

毎日の散歩コースももうすぐ終盤を迎える。

近所の公園までだが自転車を使えば15分も

かからない道を時間をかけゆっくりと歩く。

学校とやらに通うことを3年前にやめてから

毎日が退屈に感じていた。

その暇な時間を散歩で潰す。

それが日課だ。

今日は仕事の依頼が2件入っている。

俺は仕事を完璧に熟す(こなす)主義だと思っているが今の仕事はどうにも合わない。

人には向き不向きがある、今日の仕事を最後に

辞めようと昨日から考えていた。

くだらない考えに頭を動かしている間に

目的地の公園に着いた。

ブランコに腰掛け、目を閉じる。

真っ暗な暗闇が広がり吸い込まれそうになる。

この感覚が心地良い。

数分して目を開け、ブランコから降りる。

一瞬“あるもの”が視界の端に入った。

俺はゆっくりとあるものに近づいた。

膝くらい茂みに“それ”は仰向けになり腹部を

何ヶ所が刺された状態で手足をだらしなく放り出し

転がっていた。

特に恐怖は感じなかった。見慣れている。

「そこの君、どうしたんだい?」

不意に後ろから聞こえた若い男の声に俺は振り向いた。

そこには2人の警官が経っていた。

「こ、ここに、死んでます、人、ですよね」

恐らく警官には目の前の惨状に怯える青年として

映っただろうが、演技だ。この手は慣れている。

血相を変えて警官2人が駆け寄ってきた。

「君、これについて何か知らない……」

そこに俺の姿はもうない。

「おいおい、これで死んだのは幾つだよ、赤鬼」

「4つだ。だが、これは殺され方が違う。

どうやら相手もなかなかやり手らしい。

それに、臭ったなあいつは」

などとさっきの警官に扮した“奴ら”が話している頃だろう。

俺は暫く走ったあとそんなことを考えた。

今日の仕事のうち片方が勝手に片付いた。

許し難いことだが、殺ったのは同志だろう。

噂には聞いていたが本当に俺以外にも存在するとは。

俺はポケットから豆を取り出し、

奥歯で粉々に砕いた。

約半年ぶりの投稿です。

連載でなくてすみません。

昨年は私の事情やらがいろいろとあり、

途中から全く書けなくなってしまいました。

これをスランプと言うのかどうか定かではありませんがまた書く事ができ、嬉しいです。

さて、この短編の意味が少し分かりずらいかもしれませんが最後まで読んでいただきありがとうございます。

これからもほどほどに頑張ります。

待ってくれていた方々、ありがとうございました。(いるのでしょうか?笑)

質問、評価、感想等よろしくお願いします。

TwitterでのDMも歓迎します。

では、次は連載でお会いしましょう。

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