寿命縮めず歩いた少年?
「仕方が無い。先ほどホモかと疑われた小日向野郎の、弁解を聞いて差し上げましょう」
「待って?! なんで鷹野がいうのそれ?! おかしくない、お前も疑われてるのよ? ねぇ、ウクルン!」
「ウクルン言わないでください」
「ウクルン冷たいっ」
今のは心にズサーッときましたぁぁ、と、胸を抑える小日向先輩。
「小日向先輩……おねえ、でしたか」
「新人君よ、君は大いなる間違いをしている! この超絶イケメン小日向栗兎は、オネエでもホモでも無い! ただの女の子大好きなモテ男だぁ!」
「モテるどころか無視されているレベルなのでしょう、貴方」
「……真実を言うなよバッキャロー!」
涙目になって叫ぶ小日向先輩。
なんだか、小動物が思い浮かびます。
「先輩」
「……わかってるよ? わかってるってば。そんな目で見ないでよ、ウクルン……すんまそん、真面目にやりまっス」
小日向先輩は、ふーっ、と息を吐きました。
「まずは、部の説明をしよっか。……アマノンは、声について、知ってることあったりするん?」
「声……ですか?」
「そそそ。なんでも良いよ。とある国の歌手は歌う前に必ずオリーブ油を飲んでる、とか、喉には蜂蜜が良いらしいとかさ」
声についてなら、なんでも……。
そうですね、それなら、アニメの声優さんの、昼ドラ並みのドロドロした裏事情とか、ネットの歌い手さんの恋愛話とか、そんなのですかね……。
「……とある声優さんは、ファンの人と繋がりを持ちすぎて、声優界から追放されたらしいですね」
「そういう怖い話じゃなくてねぇ?!」
あっ、喉についてでしたね。
「風邪をひくと、喉が痛くなります」
「あー、うん。風邪によるけど、痛くなる時あるよねー」
うんうん、と小日向先輩が頷きました。
「聲質研究部……略して聲研は、その名の通り、声の質について研究する部のことっす」
例えば、と小日向先輩が前置きしました。
「そうだな……声の質を高める為に、声が起きるのは起きてから何時間後なのか、というのを調べて、実証実験したりとか、するよね〜」
「そうですね。あと、声量上げる練習法として、どんな方法が効果的なのかとか、かな?」
「まぁ、幸い部員は5人いますので、実験しやすいのですよ。人数足りなければ、ボランティアを釣るのです」
……釣るんですか。募るのでは無く。釣るんですか。はぁ、そうですか。
「『鷹野涼介が淹れる、美味し〜い、お茶…………と、高級茶菓子詰め合わせ』を差し上げるだけで、皆様ボランティアに立候補してくださいますので」
「茶菓子詰め合わせに釣られる人が多くてね」
……コストかかり過ぎてませんか、それ。
「ま、そんな感じの部を作ったのが、この俺☆」
そういえば、創造者だって言ってましたね。
「うふー、小日向くんは凄いのだよーっ、崇めて良いよ?」
「相手が何も仰っておられないのに、何をほざいているのですか、貴方」
有徳さんが、肩をすくめて僕に視線を寄越しました。
「こんな部だけど、活動内容は真面目だから。どうかな? 仮入部だけでも、してみないかい?」
……どうやら勧誘されているようです。
聲質研究部、ですか……少し、興味はあります。
ですが、なぜ僕のようなスクールカースト最底辺野郎を誘ってくれるのでしょう……ハッまさかこれは罠ですか?
……そんな訳ありませんよね、この爽やか系イケメンに限って、そんなことしませんよね……。
「仮入部、だけなら、お邪魔しても良いですか」
「仮と言わずに、正社員ならぬ正部員でもオーケーだよヘイヤーハイヤー!」
こうして僕は、聲質研究部に仮入部することになったのでした。
……僕は明日も学校に来れるでしょうか。
一応一区切り着いた……はず。
それもあり、7月5日の更新を休ませて頂きます。すみません。




