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こちら、聲質研究部?  作者: 緋和皐月
第1章
8/45

寿命縮めず歩けた少年?

「ってさー、なんで締めたの、扉ー?」


 ばんっ、と勢いよく扉が開きました。


「わひゃー、かっわい〜、ほんとに男? 男の娘じゃないのん?」


 扉を開けた張本人が、くねくねと体をよじらせました。


「前々から思っていたのだけども……小日向先輩、貴方はホモなのかな?」

「違うよ?! なんでホモ疑惑かけられてんのかねぇ、俺は?!」


 ……ホモでは無かったのですか、そうですか。


「では、先ほどの会話は……いいえ、何でも無いです、死んできます」

「説明するから死ぬのは待ってくれないかなぁ、見学者くん?!」


 じゃあ……


「実家に帰らせて頂きます?」

「それ違う! 何かが絶対に違うよ!」


 俺が、妻にフラれた旦那みたいになるじゃん?!……と叫び、山谷先輩、と呼ばれていた方は、ドアを開けました。


「まぁ兎に角、入りなよ。そしたら分かるからさ?」

「私は君たちの……アレは見たく無いよ」

「だから! 違うって言ってんじゃんよ、有徳!?」


 部室と思われるその部屋に、僕は足を踏み入れました。


「失礼します……」

「あっ待って!止まってくださいっ!」

「……へ」


 ぴた、と片足を空中停止。

 ……これ、意外とキツイのですけど……ああ、分かりました、これは学校に来た罰ですね、やはり僕は登校するなと言うことですね、ごめんなさい、明日から来ません。


 僕に片足空中停止を命じた方は、僕の足元にあった黒い紐を、しゅるるる、と巻いて仕舞いました。


「ふぅ……すみません、もう良いですよ。このコード、踏まれると千切れる恐れがあったもので」


 眼鏡を掛けた、如何にも秀才という感じの男子生徒さんが、僕に頭を下げました。


「……僕、土下座と、そこの窓から飛び降りるのと、どちらを実践すれば良いでしょうか」

「いや、しなくて良いから! というかしないで、そんなこと!」


 ……だって、頭下げられても……まだ下げられたままですし……。


「……ふぇ」

「鷹野くーん! 見学者くん泣きそうになってるから! そういう意地悪しないの! さっさと頭上げて?!」


 やっと、その人は頭を上げました。


「すみません、泣かせるつもりは…………ありました」

「あったのかよ?! 鬼畜だなお前!」

「だって、こんなに可愛いんですよ? 泣かせたくなりませんか?!」

「やめろよドS!」


 はぁ、と有徳さんが溜息つきました。


「この2人が、この部の先輩だよ」

「その溜息、すげぇ気になるなぁ、ウクルン……わーわーっごめんごめんっ! ふざけたって! イケメンなお顔が台無しだよっ」


 慌てる先輩……ほんとに、先輩、ですよね?


「えーこほん。……俺は小日向(こひなた)栗兎(りつと)、聲質研究部の創造者であり、部長だよ☆」

「オレは鷹野涼介(たかの りょうすけ)です。一応、副部長ですよ」

 

 ……部長さんに、副部長さんですか……。


「僕は、雨野柳です」

「ふーむ、じゃあアマノンだな、うん。我ながら、ニックネーム付けんの神ってるわー」

「ダッッッサイですけどね」

「いーじゃん別に?! お前にニックネーム付けてねーしさ!」


 ……なんだか、愉快な先輩ですね。


「叔父であるお兄さんが大人気作家のくせに、ネーミングセンスとかゼロですからねぇ、こいつ」

「充にーさんはマイペースな天才なの! いーもん! いっっつも褒めて貰ってるもん! 充にーさんの小説買った時は、サインも書いてくれるもん!」

「完全なる身内贔屓ですよねぇそれ?!」


 有徳さんが、また溜息をつきました。


「先輩。聲質研究部のこと、説明しなくて良いんですか?」

「あっそだね。誤解も解かなきゃだよねぇ!」

「なんの誤解を招いたんですか、お前は?」

「鷹野って誰にでも敬語使うくせに、ところどころタメ口だよね!」


 ……仲良いですね、この先輩たち。



《余談》

小日向先輩の従兄弟である、大人気作家。

読んでいる最中に、

「あ、緋和皐月の本命作品の主人公のことか」

……と分かった方には、抽選で作者からの熱いラブレターを差し上げま……え? 要らない?

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