寿命縮めず歩けた少年?
「ってさー、なんで締めたの、扉ー?」
ばんっ、と勢いよく扉が開きました。
「わひゃー、かっわい〜、ほんとに男? 男の娘じゃないのん?」
扉を開けた張本人が、くねくねと体をよじらせました。
「前々から思っていたのだけども……小日向先輩、貴方はホモなのかな?」
「違うよ?! なんでホモ疑惑かけられてんのかねぇ、俺は?!」
……ホモでは無かったのですか、そうですか。
「では、先ほどの会話は……いいえ、何でも無いです、死んできます」
「説明するから死ぬのは待ってくれないかなぁ、見学者くん?!」
じゃあ……
「実家に帰らせて頂きます?」
「それ違う! 何かが絶対に違うよ!」
俺が、妻にフラれた旦那みたいになるじゃん?!……と叫び、山谷先輩、と呼ばれていた方は、ドアを開けました。
「まぁ兎に角、入りなよ。そしたら分かるからさ?」
「私は君たちの……アレは見たく無いよ」
「だから! 違うって言ってんじゃんよ、有徳!?」
部室と思われるその部屋に、僕は足を踏み入れました。
「失礼します……」
「あっ待って!止まってくださいっ!」
「……へ」
ぴた、と片足を空中停止。
……これ、意外とキツイのですけど……ああ、分かりました、これは学校に来た罰ですね、やはり僕は登校するなと言うことですね、ごめんなさい、明日から来ません。
僕に片足空中停止を命じた方は、僕の足元にあった黒い紐を、しゅるるる、と巻いて仕舞いました。
「ふぅ……すみません、もう良いですよ。このコード、踏まれると千切れる恐れがあったもので」
眼鏡を掛けた、如何にも秀才という感じの男子生徒さんが、僕に頭を下げました。
「……僕、土下座と、そこの窓から飛び降りるのと、どちらを実践すれば良いでしょうか」
「いや、しなくて良いから! というかしないで、そんなこと!」
……だって、頭下げられても……まだ下げられたままですし……。
「……ふぇ」
「鷹野くーん! 見学者くん泣きそうになってるから! そういう意地悪しないの! さっさと頭上げて?!」
やっと、その人は頭を上げました。
「すみません、泣かせるつもりは…………ありました」
「あったのかよ?! 鬼畜だなお前!」
「だって、こんなに可愛いんですよ? 泣かせたくなりませんか?!」
「やめろよドS!」
はぁ、と有徳さんが溜息つきました。
「この2人が、この部の先輩だよ」
「その溜息、すげぇ気になるなぁ、ウクルン……わーわーっごめんごめんっ! ふざけたって! イケメンなお顔が台無しだよっ」
慌てる先輩……ほんとに、先輩、ですよね?
「えーこほん。……俺は小日向栗兎、聲質研究部の創造者であり、部長だよ☆」
「オレは鷹野涼介です。一応、副部長ですよ」
……部長さんに、副部長さんですか……。
「僕は、雨野柳です」
「ふーむ、じゃあアマノンだな、うん。我ながら、ニックネーム付けんの神ってるわー」
「ダッッッサイですけどね」
「いーじゃん別に?! お前にニックネーム付けてねーしさ!」
……なんだか、愉快な先輩ですね。
「叔父であるお兄さんが大人気作家のくせに、ネーミングセンスとかゼロですからねぇ、こいつ」
「充にーさんはマイペースな天才なの! いーもん! いっっつも褒めて貰ってるもん! 充にーさんの小説買った時は、サインも書いてくれるもん!」
「完全なる身内贔屓ですよねぇそれ?!」
有徳さんが、また溜息をつきました。
「先輩。聲質研究部のこと、説明しなくて良いんですか?」
「あっそだね。誤解も解かなきゃだよねぇ!」
「なんの誤解を招いたんですか、お前は?」
「鷹野って誰にでも敬語使うくせに、ところどころタメ口だよね!」
……仲良いですね、この先輩たち。
《余談》
小日向先輩の従兄弟である、大人気作家。
読んでいる最中に、
「あ、緋和皐月の本命作品の主人公のことか」
……と分かった方には、抽選で作者からの熱いラブレターを差し上げま……え? 要らない?




