県大会、上に向かうか、下にて聞くか?
とうとう、当日となりました。
家でも練習をしてきた僕は、早めに会場へと向かいました。
まだ9時なのに、会場内にはもうすでに、いろんな学校の制服を着た人が、いっぱい居て、ざっと見るだけで50人は超えていそうです。
「柳くん。おはよう」
「あっ有徳さん、おはようございます」
「……緊張してるかい?」
「あ……はい、緊張して、……なぜだか気持ちが高ぶってます」
昔から緊張すると、鼻血が出そうになる体質なんです。
「緊張しすぎるのは、いけないからな……そうだ、飴でも舐めるかい?」
「え、いや、別に良いです」
「果物の喉飴と、チョコレートキャンディがあるんだけども。要らない、かい?」
「……じゃあ、喉飴を1つください」
……とか、有徳さんと話しているうちに、9時半になったようです。
『皆様おはようございます! さて、始まりました、第43杯、LHK放送杯コンテスト、通称Lコンでございます』
マイク越しに、はきはきとした女性の声が聞こえてきました。
『本日、審査いたしますのは、荻野会長。LHK放送局から山野アナウンサー。……』
審査員の方々のお名前が次々に挙げられていきます。
……というか、放送局から本当のアナウンサーさんいらっしゃってるのですね。すごいです、本格的です。
「なにか忘れているようだけども、柳くん、これは全国に続くんだよ?」
「はっ」
そうでした、そういえばこれは遊びじゃ無くて、全国大会につながるやつでした。
とか言っている間に、
『それでは、まずはマイクテストを行います。お1人様、1回に限り、練習に来ても良いですよ』
……ど、どういうことでしょうか?
「柳きゅん、おっはよぉ。練習しにいかないのぉ? 余裕だねぇ♡」
「え、えと、どういうこと、ですか?」
「読みに行けるんだよぉ。だからぁ、例えば『朗読部門、東ヶ丘高校』とかって言いに行けるのぉ。そしたら、あの側にいるお姉さんに、なにかアドバイス頂けるわけぇ」
お、おおお。そういうシステムですか。
「早く行かないと終わっちゃうよぉ?」
「ふわっ?!」
それは行かねばなりませんっ!
長蛇の列に思い切って並びますと、さささ〜と順番がきました。
マイクの前の椅子に座り、マイクに向かって。
「えと……朗読部門、東ヶ丘高校」
そして、ぱっと立ち退きました。
「もう少し、声量があっても良いかもしれませんね」
さっき挨拶をしてらっしゃった綺麗なお姉さんが、にこにこ笑って、そう仰いました。
「あ、えと、どうも……」
社会カースト最底辺のクズ野郎である僕には、眩しすぎる笑顔です……。
Lコン。こんなにも人が多い中、僕は、県大会を目指すことができるでしょうか……。




