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こちら、聲質研究部?  作者: 緋和皐月
第4章
35/45

練習するのは来月までか?

 有徳さんにズバリと言われた、僕の読み方でダメなところを直すため、今日は特訓です。……この練習って、いつまで続くんでしょう? 本番まで、でしょうか。

 できることなら、抉られた心の傷に薬を塗りたい。


「まず、1つ目の改良案を考えようか」


 え〜と、1つ目のダメなところは……。僕は、有徳さんのお言葉を思い出します。


『句読点がハッキリしてない。句点が来るはずのところは、最後の言葉がきちんと切られていないから繋がっているように聞こえるし、読点と思われる間の沈黙が長すぎる』


 ……グハァッ!


「急に吐血?! 柳くん、どうしたんだい……というか、まずは病院に行こうか?」


 慌てる有徳さん……イケメンは慌ててもイケメンです……。


「雨にも負けず、風にも負けず……」

「『丈夫な体になりたい』のかい? でも確か、それを書いた作者は病気で亡くなったと記憶してるんだけども……柳くん、生きてくれ」


 大真面目なイケメンの顔が目の前に……ああ美しい、神様ですね。


「僕は死んだのでしょうか……」

「生きてるよ」

「そうですか……ここは天国ですか天使様……」

「生きよう、柳くん!」


 お巫山戯は、残念ながらここまでです。時間が無いからね、と有徳さんに謝られてしまいました。

 ……時間があったら、有徳さんも僕なんかとのお巫山戯に付き合ってくれるのでしょうか。


「まず、改良案。句点の部分では、1度口を閉じて、読点はあまり気にしないようにしよう」

「は、はいっ」

「読んでご覧」


 有徳さんの優しい笑顔に、少し心の傷が小さくなった気がして、僕は昨日と同じ原稿を読みました。

 句点では口を閉じ、読点はあまり気にしない。


「うん、良い感じだと思うよ」


 褒められました。……なんだな嬉しいです。


「それじゃあ、2つ目に移ろう」


 2つ目の、有徳さんのお言葉は……


『文末の言葉を読むとき、言葉がしぼむように消えている。これじゃあ、読み手は聞き取りづらい』


 ぐふぅっ!

 ……傷はまだ、深かったようです……。


「この改良点は……音をきちんと発声することかな。あと、1つ目の改良案も同時に気をつけるともっと良くなるよ」


 おお……さすがイケメン。さすが聲研の部員様です。教えるのが上手いので分かりやすいです。

 そして3つ目は……


『読み方が、お店の館内放送みたいになってる。迷子のお知らせじゃ無くて、これは朗読だから、気をつけよう』


 ゴホッ、ゴホゴホゴホッ!

 か、か、風邪かもしれません、僕。


「……いいえ、迷子なのは僕でした」

「ん? 柳くんが迷子になっても、私が見つけてあげるから気にしなくても良いさ」


 ああ……イケメン有徳さんは格好良いです。


「惚れます……」

「うん、ありがとう。それで、3つ目だけど、これは、流れるように読めば良いんだよ」


 流れるように、ですか。


「ほら、ニュースを読んだり、番組を進めるアナウンサーの声をよ〜く聞いてご覧?」


 アナウンサーの声?


「そうしたら、上から下に落ちるように、最初の音よりも末尾の音のほうが低くなるように言っている、ということが分かるからね」


 上から下に、だんだん低くですか。

 明日の朝は、ニュースを、いつもより入念に拝聴しようと思います。……いや、今すぐ帰ったら、夕方のニュースを見ることができますね!


 と、そうと決まれば。


「今日はお先に失礼します!」

「え? うん、わかった」


 部に来て素早く帰宅した僕は、先輩たちが部活に顔を出した時、すでに自宅のテレビの前にスタンバイしていました。



3つ目の、改良案をわかりやすくするため、矢印で例えてみました。

挿絵(By みてみん)

★はデパートなどでよくある館内放送パターン。

☆はアナウンスや朗読などをするときの読み方。

「いや、そう言われてもわっかんねーし」という方は、試しに、おはようございます、と自分の声を録音し、その声の発音に、よくよく気をつけながら聞くと、★または☆、どちらかの読み方になっていることが分かると思います。


……あ! 従姉妹ちゃんの話、できなかった!

次回します(←なぜに?)

まだ学生の従姉妹ちゃんの話。この、こち聲に深く関係……するやもしれない存在です。

してないように見えて(実際こち聲しかして無い)、たまに取材してるのよ緋和は。


ま、次話と共にあとがきも、お楽しみに!

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