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こちら、聲質研究部?  作者: 緋和皐月
第4章
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練習するのはいつになるのか

「ぜ、全国って、どういうことですか?」

「Lコンだよ」


 ……えるこん?

 えるえるえる、こんこんこん……こんこん、というからには狐でしょうか。

 える、……Lサイズの、狐?


「Lサイズの狐じゃ無いよ、柳くん」

「ななな、なんで分かったんですか、有徳さんんっ」

「んー……なんとなく、かな?」


 きらん、と白い歯が夕暮れの光を跳ね返します。

 い……イケメンです!


「地球は有徳さんがいるから、回っているのかもしれません」

「残念、柳くん。地球が回っているのは、自転のおかげだよ」


 それからね、と有徳さんが微笑みます。


「LコンはLHK放送杯コンテストの略で、中高生が参加する、放送関係のコンテストのことだよ」

「放送コンテスト、ですか?」

「そう。通称Lコン。朗読とか、アナウンス、まぁいろいろあるんだよ。その中でも朗読は、少しレベルが高くてね」


 世の中には、そんなコンテストまであるんですか……。


「本当のアナウンサーが聞いて、点をつけたりコメントしたり、本格的なんだよ」

「それと、全国狙うって、どういう関係があるんですか?」

「んー……」


 有徳さんは困ったように、ちらりと小日向先輩を見ました。


「うぉっほん、アマノン」

「はい、なんでしょう」

「アマノンね、声良いんだ」

「え? ……あ」


 正式に入部する時の、佐野姉妹の検査のことでしょうか。

 ……あれはつまり、僕は、声だけの人間という……


「声だけの存在でごめんなさ」

「ストォォップ!」

「わふっ! あっありがとうございます小日向先輩、また頭を負傷してご迷惑おかけするところでしたっ!」

「迷惑は別に気にしないけど、それよりもアマノンの頭の傷が心配だよ!?」


 全く全くアマノンは、と小日向先輩が溜息ついて、ぴらっとチラシを僕の目の前まで持ち上げます。


「Lコンには、朗読部門ってのがある。それは朗読するコンテストで、少しレベルが高め。アマノンはこれに参加すること。これは絶対命令、つまり部長命令です」


 この規定の中から朗読するやつ選んでちょ、と小日向先輩が紙を机の上に置きました。

 ……え今、小日向先輩、なんと仰りました?


「アマノン、Lコン朗読部門出場決定。本番の日は、予定空けといてね。まだあと1ヶ月もあるけど」


 な、なんだか。

 僕は、大変なことに巻き込まれてます?


「いや、巻き込まれてるんじゃなくて、仕組まれたんだよ」


 こそっ、と囁く有徳さんのイケメンボイスは、残念ながら、軽いショックを受けている僕の耳には届きませんでした。

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