味方は身内でここもいた
「それでは、腹式呼吸の練習、いえ、先ずは雨野さんにお教え致しませう!」
「鷹野、巫山戯なくていいから」
「えぇ〜〜?」
「……今日、この後もう1回でも巫山戯たら、 “この前のあれ” 、流してやる」
「それだけはご勘弁ください!」
…… “この前のあれ” って、なんのことでしょうか。
「あれぇ、柳きゅん、『この前のあれってなんのこと?』って感じの顔してるぅ」
「そんな顔してましたか、僕?!」
「ああ確かに、していたよ」
「有徳さんまで?!」
どういう顔ですか、『この前のあれってなんのこと?』って感じの顔って?!
「 “この前のあれ” そうそれは、鷹野の黒歴史ノート!」
「ご勘弁を、って言いましたよオレ!」
「あれを声高らかに読み上げてやる!」
「おやめになって!」
あ、こういうのを何と呼ぶか、知ってます。
「夫婦漫才ですね」
「うん、そだねぇ♪」
ところでぇ、とミミィさんが無邪気に笑います。
「腹式呼吸ってぇ、なんだったっけぇ?」
……? え、腹式呼吸って、『ナンダッケ?』?
「えっミミィさん……?」
「な、なに言ってんの、ミミィン?!」
「まさか、まさかの記憶喪失ですか! うわーい!」
……あれ、鷹野先輩は、なぜ嬉しそうなんでしょう?
と、くすくす、と有徳さんが笑いました。
「それじゃあミミィと柳くんのために、明日は部活時間を全部使って、腹式呼吸と胸呼吸の説明をしようか」
有徳さん……! 貴方は今日も、イケメンです!
……ミミィさんの『なんだっけ』は、もしかすると、わざとだったのかも?
とも思いましたが……そんなまさか、ですよね。僕のくせに自意識過剰でした、ごめんなさい!
「ちょちょちょっ、アマノン、ストォォップ!」
「はっ?! また壁に引き寄せられました!」
「えっ引き寄せられてたの?!」




