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こちら、聲質研究部?  作者: 緋和皐月
第3章
26/45

味方は身内で何処もいた

 翌日の放課後。


「さーてと。ミキ先生に教えてもらった滑舌練習法は、各自家出してくるとして、取り敢えずは、次の放送大会のこと考えよーかね」


 小日向先輩が、ふあー、と欠伸をしながら言いました。

 ……今思ったのですが、この聲研って結構ゆるいですよね。僕、新入部員なのに顧問の先生とか見たこと無いですし。

 まあ、だからこんな本引きこもり不登校児の僕も入れたんでしょうけど……はっ、なんて失礼なことを?!


「ごめんなさいっ」

「よーしアマノン、君は明日からヘルメットをつけて来ようか! 部活中は外しちゃダメって部長命令っ!」

「なんでですか?」


 聲研って、そんな、頭を守らねばいけないほど危険な部活でしたっけ。


「君が唐突に頭を壁にぶつけて、いつも額から血を流してるからだよっ!?」


 ささー、と有徳さんが僕の額を消毒し、ガーゼを当ててくれました。


「先輩、さすがにそれは言い過ぎですよ」


 僕の額にガーゼを当てながら、有徳さんが微笑みました。


 こつん。


「もうこんなことしたら、ダメだよ?」


 有徳さんの額が、有徳さんの手とガーゼ越しに、僕の額に『こつん』しました?!

 近距離だと有徳さんのイケメン度が半端なくて、鼻血が出そうですっ。


「今度から、箱ティッシュ持ってきます……」

「……柳くん、風邪でも引いたのかい?」


 いいえ、貴方のイケメン度が高すぎるのが問題です。

 今度からは、もう少し普通の距離を保つよう、ご協力お願い致します。


「いや、そんなことは良いのですよ」

「風邪引いてるのは良くないと思うよ?!」

「僕、腹式呼吸の仕方が分からないんです」


 声質向上のためには、腹式呼吸が欠かせない、みたいなことを何処かで聞いたのですが、僕は分からないんです。

 そもそも、腹式呼吸ってなんですか?


「腹式呼吸って、どんな風にするんですか?」


「「「「「……」」」」


「……あの……ええと、皆さん?」


 皆さんが、だんまりになってしまいました。

 僕、知らないうちに粗相をしてしまったでしょうか……。


「ごめんなさ」

「ストォォップ! アマノン、ストォォップ!」


 ハッ、また壁に頭を打ち付けるところでした。


「皆、アマノンの話の文脈が珍しく繋がったことに少し動揺してただけだから! アマノンは悪くないんだよっ!」


 ふー、と小日向先輩が溜息ついて、ニパッと笑いました。


「この際だし、皆で腹式呼吸で鍛えよっか!」


 鍛える、あー、鍛えるんですか〜〜。



 ……って、何をですか?!

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