表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら、聲質研究部?  作者: 緋和皐月
第2章
15/45

腹を力んで部活をしたら

「それでは皆さん。準備はよろしいなの?」


 皆さんは、愛李さんの言葉に頷きます。

 目隠しした女子高生に向かって、揃って頷く数人……側から見ると、結構ヤバイ感じがします。

 ……僕のくせに、なに偉そうにヤバイとか思ってるんでしょう。


「ヤバくてキモいのは僕なのです」

「るっぱりゃ?! ちょっ、アマノン今度はどうした?!」

「……痛いです」

「そりゃ壁に思いっきり頭ぶつけたら痛いだろーよ!」


 じぃぃん、とおでこが痛みます……。

 と、ミミィさんが救急箱を持って来て、手早く消毒し、ガーゼを貼ってくれました。


「もぉ、ぶつけちゃダメだよぉ?」

「……善処します」


 僕だって、ドMさんみたいな性癖は持ち合わせていないので、痛いことしたいとは思いません。


「ただ、突発的に体が動いてしまうだけなのです」

「……うん、話が全然わかんないけど、取り敢えずアマノンが落ち着いたみたいで良かったよ……」


 溜息をつく小日向先輩に、僕はちょっと首を傾げました。


「ところで話は変わりますが、朝から何も食べていないので、僕は空腹で気持ち悪いんですが……皆さんは大丈夫なんですか?」

「えっマジで?! なんで?! お昼だけ絶食タイムだよって言ったよね、俺?!」


 ……あの、えと、ごめんなさい、小日向先輩。

 絶食、というワード以外、聞いてません。


「これは完全に説明不足な、テメェの責任なのですよ、リツくん」

「俺?! てか、鷹野って急に口が悪くなるよねぇ!」

「朝から何も食べてないと、お腹気持ち悪くて吐いちゃいそうになるなの。おべんと、持って来たなの?」


 愛李さんの言葉に、僕は頷きました。


「じゃあ柳さまは、おべんと食べながら、見学なの」


 愛李さんのセリフが終わった直後、ぽん、と僕の右肩に、手が置かれました。

 それは、白く逞しく、形の整った綺麗な手。

 つまり、有徳さんの左手でした。


「机椅子は用意したから、そこで食べながら見学すると良いよ」


 有徳さんが促す方へ目を向けると、白い机と椅子が、ちょこんと揃っていました。


「1人で寂しいならぁ、ミミィも隣でモグモグしてあげるよぉ♪」

「いえ、ミミィさんの御手を煩わせるわけにはいきませんっ」

「そぉ?」


 有り難く椅子に座り、弁当を机に広げます。

 ……母さん、これ、ちょっと量が多いかもしれません。

 ああ、朝食用と、昼用の弁当、2つがこの量ですか……。


 と、弁当を前に、呆然としていた僕ですが、何やら空気が変わったことがわかりました。

 ……いつ変わったのでしょう。気づけませんでした。


「それでは、発声練習、ショートボイスからなの。Repeat after me! あッ、いッ、うッ、えッ、おッ」


 愛李さんの後を、皆さんは、同じように、短く切りながら、「あいうえお」と繰り返しました。


「ほいはい、次は、ロングボイスいくよーん? せーので、はいっ」


 今度は小日向先輩の言葉を合図に、皆さんの「あいうえお」が超長く発声されます。

 それを、五十音全て繰り返されました。

 ……なんだか、何かの宗教のようで恐怖を感じる光景です。


「……よし。そんくらいで良っかなっと。……どーする? 五十音のあめんぼ、行く?」

「飛ばしましょう。さっさと収録(、、)に入るべきです」


 ……収録、とは?

 僕は弁当を食べながら、これから何をするのかと、頰を引きつらせていました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ