腹も気にして部活をすれば
それから、1週間後。
「あら、ご飯食べないの?」
母さんが、どこか寂しそうに言いました。
今日は、絶食の日なのですが……うう。
「……持ってって、食べます」
「ああ! 朝食、部活の皆さんと頂くのね? そういうことかぁ。もうもう、そういうのは早く言って頂戴よぅ」
なんだか嬉しげな顔をする母さんです。
引きこもっていた時も、ご飯は食べていたのですが……なんなんでしょう、この違いは……?
やはり、不登校だということで、母さんによほど迷惑をかけていたのでしょうか。
「……母さん」
「なぁに?」
「ありがとう」
「うん? どういたしまして。……んもう、何よぅ急に?」
はい、お弁当に詰めてあげたわよ、と母さんが笑顔で弁当を渡してきます。
今日は重箱では無いようです。良かったです……。
「……いってきます」
「いってらっしゃい」
だんだん、この挨拶が習慣化してきている気がします。
なんだか不思議な感じです。
「あーっ、おっはよぉ、柳きゅん♪」
「おはよう、柳くん。今日は顔色が良いね。何かあったのかい?」
ミミィさんの女子オーラと、有徳さんのイケメンオーラが対比して、なんだか神々しいです。
その前に佇む僕は、さしずめ下僕……いいえそれ以下ですね、下民です。
ああそうか、だからこのお2人は、
「神様でしたか……!」
「なになにぃ、ミミィの可愛さが神級ぅ? ありがとぉ♡」
「君のポジティブ思考は時に羨ましくなるなぁ、ミミィ……」
どよーっ、とした顔をしながら、有徳さんが額を押さえました。
「頭、痛いんですか、有徳さん」
「いや、別に心配してもらうほどじゃないから、大丈夫だよ……」
色々あって……色々あって。
緊急的な部活がありました。
「諸君……恐るるべき事態が起こるぞ」
緊急的に集められた部員と仮入部員である僕の前で、小日向先輩が青い顔をして、言いました。
「ヤツが……来る」
……ヤツ?
はっまさかそれは、おやつのことですか。
あえて “お” を付けないスタイルが流行ってるとか、それをすると格好良いとか、そういう訳なのでしょうか。
「さすが小日向先輩、しゃれおつですね」
「……え、そお? マジで? カックィー? アントニオ超えちゃう?」
「あんこトリオより格好良いです」
「やだぁん、嬉しいこと言ってくれちゃうんだから! しっかたねーなっ、小日向先輩からの愛のキッス、あ・げ・る☆」
「それは丁重にお断りします」
「笑顔でサラッと言っちゃうアマノンが酷いぜイェー!」
もう、俺の純情弄ばれた……と、胸を両手で隠すような仕草をする小日向先輩の隣で、有徳さんが、キリリと姿勢を正しました。
「良いかい、柳くん。これから化け物が来るから、どうしてもお腹が空いたら、ご飯は早めに食べとくんだよ」
「え? はい」
……化け物ってなんなんでしょうか。
どうやらこれは、聞いてはいけないことのようでした。
まぁ、この流れからすると、じきに分かる気がします。




