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こちら、聲質研究部?  作者: 緋和皐月
第2章
13/45

腹も気にして部活をすれば

 それから、1週間後。


「あら、ご飯食べないの?」


 母さんが、どこか寂しそうに言いました。

 今日は、絶食の日なのですが……うう。


「……持ってって、食べます」

「ああ! 朝食、部活の皆さんと頂くのね? そういうことかぁ。もうもう、そういうのは早く言って頂戴よぅ」


 なんだか嬉しげな顔をする母さんです。

 引きこもっていた時も、ご飯は食べていたのですが……なんなんでしょう、この違いは……?

 やはり、不登校だということで、母さんによほど迷惑をかけていたのでしょうか。


「……母さん」

「なぁに?」

「ありがとう」

「うん? どういたしまして。……んもう、何よぅ急に?」


 はい、お弁当に詰めてあげたわよ、と母さんが笑顔で弁当を渡してきます。

 今日は重箱では無いようです。良かったです……。


「……いってきます」

「いってらっしゃい」


 だんだん、この挨拶が習慣化してきている気がします。

 なんだか不思議な感じです。



「あーっ、おっはよぉ、柳きゅん♪」

「おはよう、柳くん。今日は顔色が良いね。何かあったのかい?」


 ミミィさんの女子オーラと、有徳さんのイケメンオーラが対比して、なんだか神々しいです。

 その前に佇む僕は、さしずめ下僕……いいえそれ以下ですね、下民です。

 ああそうか、だからこのお2人は、


「神様でしたか……!」

「なになにぃ、ミミィの可愛さが神級ぅ? ありがとぉ♡」

「君のポジティブ思考は時に羨ましくなるなぁ、ミミィ……」


 どよーっ、とした顔をしながら、有徳さんが額を押さえました。


「頭、痛いんですか、有徳さん」

「いや、別に心配してもらうほどじゃないから、大丈夫だよ……」



 色々あって……色々あって。

 緊急的な部活がありました。


「諸君……恐るるべき事態が起こるぞ」


 緊急的に集められた部員と仮入部員である僕の前で、小日向先輩が青い顔をして、言いました。


ヤツ(、、)が……来る」



 ……ヤツ?

 はっまさかそれは、おやつのことですか。

 あえて “お” を付けないスタイルが流行ってるとか、それをすると格好良いとか、そういう訳なのでしょうか。


「さすが小日向先輩、しゃれおつ(、、、、、)ですね」

「……え、そお? マジで? カックィー? アントニオ超えちゃう?」

「あんこトリオより格好良いです」

「やだぁん、嬉しいこと言ってくれちゃうんだから! しっかたねーなっ、小日向先輩からの愛のキッス、あ・げ・る☆」

「それは丁重にお断りします」

「笑顔でサラッと言っちゃうアマノンが酷いぜイェー!」


 もう、俺の純情弄ばれた……と、胸を両手で隠すような仕草をする小日向先輩の隣で、有徳さんが、キリリと姿勢を正しました。


「良いかい、柳くん。これから化け物が来るから、どうしてもお腹が空いたら、ご飯は早めに食べとくんだよ」

「え? はい」


 ……化け物ってなんなんでしょうか。

 どうやらこれは、聞いてはいけないことのようでした。

 まぁ、この流れからすると、じきに分かる気がします。



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