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40話 チーム・アルドラゴ結成




「ふぅ……やっと一人だ~~」


 俺はぼふっとベッドへダイブした。

 あー気持ちいい。布団文化万歳! ビバ布団! なんか以前も同じ事思った気がする。


『一人じゃありません。私も居ますよ』

『ぼくも居るよー』


 すっかり弟君も会話に参加するようになったな。まあ、なかなかノリが良くて親しみやすい性格の子で良かった。

 話した感じ、カリムっぽく感じたが、当然アイツよりも分別がついている。子供っぽいキャラだけど、中身は人工知能だもんな。


『そ、それで……ケイ』


 アルカが俺の胸にあるリミットタイマーより外れて、いきなりうにょうにょと実体化した。

 海とか空を連想させる鮮やかな青色の髪。それが、腰まで伸びている。

 着込んでいるのは俺と色違いのアーマードスーツだが、女性用なのか出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。立派なモデル体型である。


『ど、どうでしょうか……』


 なんか、照れくさそうに言い出した。不思議と、顔が赤いような気もする。

 何がどうなんだ? これって、どう返せばいいの?


 ……数秒程考え込んだが、今更アルカ相手に取りつくろっても仕方が無いか。本音で話しましょう。


「えーっと、人間になれるようになったんだ」


 俺の第一声にちょっとだけがっかりした様子だったが、すぐに持ち直した。


『人間というか、人の形に変身できるようになりました。結構、苦労したんですよ』

「って事は、人間じゃないのか」

『あくまで見た目は人間のように見えるだけですね。この身体は水によって構成されています』

「……なるほど。だから、あんなスライムみたいな姿に……」


 カオスドラゴンの魔石を取に行った時のアメーバ状の姿を思い出す。

 それにしても、人型になったアルカか……。今までアルカとはほぼ声のみの交流だったせいか、実体として目の前に居るというのは、なんだか落ち着かない。これも慣れなのかな。


「まあ、見た目は可愛いからいっか」


 ぼそりと言った言葉なんだが、ピタリとアルカの動きが止まる。


『か、可愛い……ですか? ケイから見て、私の外見は可愛いのですか?』

「うん。見た目は凄い美人だと思うけど」


 顔立ちは、黙っていると凛々しい……という感じ。でも、喋るとアルカの性格なのか、やんわりとした印象を受ける。

 ただ、何処となくCGで作られた人間っぽくも見えるけどな。肌に血が通っている訳じゃないから、仕方ないかもだが。CGキャラをよりリアルにするとこんなこんな感じなのかと思う。ただ、ゲームキャラのコスプレとかとははっきり違う。これがアルカなんだという存在感みたいなものがどっしりしているのだ。

 まあ、獣人とかが居る世界なんだ。はっきり非人間的って訳でもないし、紛れてもそこまで浮く事は無いだろう。

 ……と思う。


「あれ?」


 ふっと見たら、いつの間にかアルカがいつものビー玉に戻っていた。


『い、いえ。ちちち……ちょっとばかり身体の維持に不都合が出ましたものですから、いい…一時的に元に戻りましたです』

『お姉ちゃん、なんかバグっているよ』


 う~ん大丈夫だろうか。

 そーいや、前にもたまにこんな事があったけな。

 まぁ、いいや。


「ところでアルカ。その変身ってどのくらい持つんだ?」

『へへへ…変身ですか? ……今でしたら半日程度は持つかと』

「ふむ、半日か……」


 それぐらい持てば十分か。


「その人型になれるってのは、弟君にも可能なのか?」

『あ、はい。出来ますよ。そのうち教えるつもりでした』

『えーっ!! 本当!?』


 なんか嬉しそうな声が弟君より聞こえる。バイザー越しだけども。

 という事は、これで計三人か。本当ならもう一人欲しい所だけど、今はこれでいいか。


「そんじゃお前ら! これからの予定を発表する!!

 これからお前たち二人には、俺と同じくハンターになってもらいます」


『『え?』』


 さすが姉弟綺麗にハモった。

 そのリアクションも想定内だぜ。


「こういう事になった以上、これから厄介な事に巻き込まれていく筈だ。このまま、新米ハンターのまま……という訳にもいかん。

 だから、これからは半端に力を隠さないで、いっそ開き直って力を発揮し、ハンターとしてのレベルを上げていこうと思っている」


 はっきり言えば、Aランクハンターを目指すと言っているのだ。

 そこまでのレベルになれば、下手にちょっかい出してくる奴も居なくなる……というか、減る筈。

 そして、大物の魔獣の情報だって入る筈だ。


『ですが、カオスドラゴンを撃破したおかげで、大量の魔力は手に入りましたよ。さすがに樹の国……とまでは行きませんが、この国を脱出出来るだけのエネルギーは得る事が出来ました。そこまで、ハンターにこだわる必要もないのでは?』


 うむ、それはごもっとも。

 むしろ、厄介事に関わる事が分かっているのなら、さっさとこの国から出た方が良い筈なんだ。

 なんだけど……。


「俺も最初はてっとり早くエネルギーを溜めて、とっとと樹の国へ行こうと思っていたんだけどな。あのカオスドラゴンと戦って色々と思い知ったというか、この世界の事を少し舐めていたんだ」


 どうせ、俺にはすんごいアイテムがある。

 いざとなれば、本気を出して、どうにか切り抜けられるだろう。

 そう思っていたのは事実だ。


「俺は、もっと力をつけたい。いくらあのカオスドラゴンがこの世界でも上位の存在だとしても、俺は手も足も出なかった。

 アルカ達が来なかったら、確実に死んでいた。その自覚はある。……尤も、これは今に限った事じゃないけどな」


 アルカが居なければ死んでいたなんて、今更の事だ。

 この世界で生きていくためには、俺にはこいつ等が必要なんだ。

 それは、これからも一緒だ。


「だから、俺と一緒に二人も戦ってくれないか。今後はアルカの魔法も必要になってくるし、俺たちでパーティーを組めば、人目を気にすることなく力を使える。俺たちの力目当てにパーティーに勧誘してこようとする奴等も居なくなるはずだ」


『ぼ、ぼくも戦うの?』


 何処か怯えを感じさせる言葉で弟君が言った。


「う……嫌か。それなら仕方ない。この話は聞かなかったことに……」


『やるやるやるやるやる!! そ、そういうのって憧れてたの!! お姉ちゃん、ぼくも人間になれるんだよね!!』

『ええ。私たちには人格のモデルなった存在が居ます。その方のデータが残っている筈ですので、貴方も人間の姿になれる筈ですよ』

『うわーい! やったぁー!! 艦長ぼくやります!!』

「そ、そうか……」


 こ、ここまで食いついてくれるとは思わなかった。嬉しくもあり、申し訳なくもある。


『というかケイ、私たちの意思を確認する必要なんてありませんよ。ケイは私達の持ち主なんです。その方の決定に逆らう筈ありません。……忠告や苦言くらいはしますけど』


 最後の言葉に、俺は思わず笑みがこぼれた。

 そういや、アルカはいちいち文句は言ったりするけども、はっきりと反対だけはした事は無かったな。


『持ち主だって話だけどな。お前たちにこうして意思がある以上、俺はその意思を無視して強制的にどうこうさせようなんて思わないからな。だから、嫌な事は嫌だって、はっきり言ってほしいんだ。むしろ、これからはそうしてほしい』


 あぁ……なんか自分が何でこんな事を言い出したのか、なんとなく分かってきた。

 この世界に来て、俺はアルカの存在に救われた。

 実際、楽しかったし心強かった。アルカの事は、当然友達だと思っているし、相棒だと思っている。

 でも、ブローガさん達や他のハンター達を見て、俺も仲間が欲しくなったんだ。言いたい事を言い合い、互いに背中を預けられる、信頼できる仲間が。


『私はハンターになる事を拒みません。むしろ、こうしてしっかりとケイの力になれるチャンスが来たんです。これからは魔法の技術も磨いて、戦闘に関しても貢献できるように頑張ります!』

『ぼくもやるやる! 自分の身体で戦ったりするって、夢だったんだ!! ようし、さぁお姉ちゃん、人型になる方法教えてちょ!!』


 あぁ……なんか、人が一人増えた事でやりにくくになるかなとか思ったけど、この子となら上手くやっていけそうだな。

 それに、にぎやかになるのもなんか良いもんだ。


『ええ、でもその前にケイにやってもらう事があります』

「え……俺に?」

『はい。ケイには、私の弟に“名前”をつけてもらいます』

「名前……ああ、そうか」


 今のまま弟君って訳にもいかんか。

 それに、確かアルカ達の正式名称って日本語……っていうか声帯の関係ではっきりとした言葉に出来ないんだっけ。


『名前って、お姉ちゃんみたいにアルカっての? おお! ぼくの名前をつけてくれるの!? 艦長スゲー!!』

「名前を付ける前に、艦長ってのは止めろ。大体、今はアルドラゴに乗ってないんだし。そうだな、俺の事は……」


 とは言え、年下っぽい雰囲気のヤツにケイと呼び捨てにされるのはどうかな。

 ケイ兄ちゃん……カリムを思い出す。


「パーティーのリーダーをやる訳だから、リーダーでいいか。俺の事はリーダーと呼ぶように」

『アイアイさー! リーダー!!』


 う~んノリがいい。

 さて、名前はどうするかな。


 あ、その前に……


「パーティー……いや、チームの名前も決めた。俺たちは、チーム・アルドラゴだ!!」


『ふふ。確かに、アルドラゴの艦長とそれに搭載されているAIのチームですからね』

『ねー……ぼくの名前はー?』

「お前はまず、人型になれるようになってからだ。それから雰囲気を見て決める」

「えー!」

『さ、頑張りましょう!』


 不安な事は山ほどあるけれど、こいつ等とならなんとかやっていけそうだな。

 俺も、いつまでも守られているばかりの艦長じゃ駄目だ。俺が、こいつ等を守ってやれるようにならないと。

 俺の、大事な仲間なんだからな。




 これにて第2章部分、新人ハンター編終了。

 新しい仲間も増え、チームとしての活動も出来るようになりました。

 色々と段階を踏んで、ケイ達も強く……そして広く活躍していく予定でいます。

 今後は、他の上級ハンター、王族関係者、敵対組織……。色々と、絡んでくる存在も増えていきます。

 ただ、来週からは今までみたいに1日~2日間隔で投稿できるかどうか分からないのですが。何せ、木曜日に遂にアレが……。まぁ、頑張ります。

 それでは、これからもアルドラゴをよろしくお願いします。 

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