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267話 代理戦争決着




 ゴルディクス帝国と竜王国の戦争勃発。

 俺たちは正直関係ないんだから、そのままゲートが開いた時を見計らって逃げ出すのが一番なんだよな。

 この国のために戦う義理なんて無いんだし。




 ……とは、問屋が卸さない。


 俺は見てしまったのだ。


 この国で生活するヒト族を含めた他の種族たちを。


 屈託のない笑顔で、往来を駆け回る子供たちの姿を。


 ここで何もしないという選択肢を選べば、遅かれ早かれ、彼らが戦火に焼かれることになる。


 ……それはダメだろう。




「……ルミナさん」


 俺は今から卑怯な事をする。

 心苦しいが、今は割り切るしかない。


「へ? は、はい?」


「君の任務は分かる。自分の国、仕えている者の為に動くのは当たり前のことだ。だけど、俺はキミの良心に訴える。

 君が今、その扉を開ければ巨大な戦いのきっかけになってしまう。

 そうなれば、戦場となるのはこの国だ。

 この国には、竜族以外の戦う力のない他の種族だって存在している。

 その人たちを戦火に晒す事はキミの本意では無いだろう」


「そ、それは……」


 短い期間ではあるが、彼女の人となりについてはある程度分かったつもりだ。

 決して、その聖女という異名のような慈愛の化身ほどではないものの、いたずらに命を奪うような残酷な精神の持ち主ではない。

 いたって普通の感性を持った女の子だと俺は判断している。


 尤も、彼女だってゴルディクス帝国の一員だ。十聖者に名を連ねているのならば、他人を犠牲にした戦法だってする覚悟くらいあるだろう。

 だが、多くの人間が犠牲になる戦いのきっかけが、自分であるとしたらどうだろうか。

 卑怯ではあるが、その心の隙を突かせてもらった。


「で、でも、あたしは……」


「そこで提案だ」


 チラリとロゼにも視線を送る。


「今、下の階層である男とある男の戦いが行われている。方や、竜神の代理人と方や、強硬派の代表にして此処の責任者たる男。

 この勝者次第でそのゲートを開くか否か、決めてほしい」


「……ふぅん。ところでもし、竜神の代理人が勝った場合、どうすればいいのかな?」


 ロゼの言葉に俺は用意していた言葉を伝える。


「それが問題なんだ。いくら俺でもゲートを開くのを止めてくれとまでは言えない。強硬派はこの国の半分とは言え、敵にするには大きすぎるからな。

 だから、少しだけ待ってほしい。俺が止めたいのは、この国に暮らしている竜族以外の人たちをオルソに魂を移させて戦わせることだ。

 それを止めさせるだけの時間が欲しい」


 俺に出来る事は、ヴァイレルたち穏健派と呼ばれる九頭竜に、この事実を伝えてオルソの実用を止めさせることぐらいだ。

 これでもし、ヴァイレルたちが自分たちが管理している領民たちが戦闘の道具になる事を受け入れているのだとしたら、悲しいかな詰んでいる。


「さてお二方、どうしますか?」


 これで二人の了承が得られず、バトル開始なのだとしたら、俺はすぐさま回れ右をして仲間たちの元へと急ぐ。

 そしてヴァイレルの領地へと戻り、彼を説得するつもりだ。

 これで竜王国が完全に真っ二つに分かれて内戦に向かうかも分らんが、そこは外敵が迫っている事から、一致団結してもらうほかない。それが終わってから、ゆっくり話し合いでもしてもらおう。

 というか、今の俺にはそれしか出来ない。


「ボクはいいよー。んー……割と良い勝負しているね。でも、決着がつくのはあと数分って所かな」


 と、ロゼは了承してくれた。

 どうも、離れた場所の戦いも感知できるらしい。


「あ、あたしも……あと数分で済むのなら……」


 おずおずとルミナも答えてくれる。

 彼女の場合は、ただ決断を先延ばしにしただけだ。

 決着がつけば、おのずと決めなければならないだろう。

 戦うか否か……を。




◆◆◆




 一方その頃、穏健派と強硬派の代表となり果ててしまった二人……ラザムとゴートの二人は、自分たちのいる階層そのものを半壊させながら、激闘を続けていた。


「おのれ……どこまでも食らいつく……」


「人間の頃から、とにかくしぶといのだけが売りでなぁ……」


 折れたらしい角より、赤い血が溢れ出ている。

 額を伝って滴る血を拭いながら、ラザムは答えていた。


 戦い始めてから、10分と少し。

 

「本来の姿で戦えていれば、貴様など……」


 ギリ……と牙を噛みしめるゴートを見て、ラザムは挑発するように言葉を放つ。


「だったらやってみろよ! その代わり、大事に育てたオルなんちゃらがどうなっても知らねぇぜ!」


 正直言って、戦闘力で言えばラザムはゴートよりも僅かに劣っていた。それがここまで拮抗しているのは、ゴート自身が強敵と戦う事が無くなって長い年月が経っている事、そしてこのサイズで戦う事に慣れていないためだった。

 竜族の真の力は、やはり本来のドラゴンとしての姿で発揮される。

 人間の姿というものは、この建物内部を歩き回る事に適していた為と、研究者たちと話をするために都合が良かったからだ。

 だが、だからといってこの研究所内部で真の姿を現すには、リスクが大きすぎた。

 この研究所には、数百体のオルソがその身に魂を宿す時を待っている。今、巨大なドラゴンの姿を現せば、研究所は間違いなく崩壊してしまう。

 ならば、最初から戦場を研究所の外にすれば良かったのだが、それをしなかった原因はラザムを舐めていた為だ。

 現状でも、力の差は確かにある。

 それでも、よもやここまで食らいついてくるとは予想外だった。


 そこはゴートとて、認めざるを得ない。

 ただ、そうであったとしても、自身の勝利は揺るがないと確信は出来た。


「ふん。貴様とてその竜の身体を使いこなせているとは言い難いな」


「あんだと?」


「何故、()()()を使わない?」


「………」


 痛いところを突きやがる。

 ラザムは表情に出さずにギロリと睨みつける。


 ブレス……竜の吐息と呼ばれる、竜族最強の技。

 それは吐息なんて生易しいものではなく、体内に溜め込んだ魔力を純粋な破壊エネルギーに変換し、口腔より放出する光波熱線である。

 だが、ラザムは使えなかった。

 体内に魔力エネルギーを溜める事は出来る。

 魔力エネルギーを破壊エネルギーに変換する事も出来る。


 出来ないのは、口から放射する事だ。

 現在のラザムの肉体は半分を竜族のものに変えているが、ブレスを使うにはその肉体の強化が追い付いていなかった。

 ……要は、内臓まで竜族のものにはなっていなかったのである。


 ラザムの反応を見て予想が的中したゴートは、クフフと笑みを浮かべた。


「所詮、ヒト族の魔術師では手や空中に魔力放出するためのフィールドを簡易的に作り出すのが限界。

 良いか、これが本来の魔法というやつだ」


 ゴートの口が耳元まで裂け大きく開く。

 そして、その喉の奥が真っ赤に染まり、巨大な炎の塊を吐き出したのだ。


「ぬおっ!?」


 ラザムはそれを咄嗟に避けると、背後にあった医療カプセルを破壊してしまう。当然その中には、幼体ではあるがオルソの肉体があった。


「おいおい本気かよ。そんなもん使ったら、大事なオルソちゃんが死んじまうぜ」


「致し方なしと諦めることにした。所詮、この階層に研究中なのは幼体ばかりだからな。犠牲も最小限で済む」


 開き直りやがった。

 ラザムは舌打ちして辺りを見回した。

 盾として使えないのであれば、この立ち並んだオルソのカプセルは、障害物にしかならない。


「言っておくが、これは貴様らで言うところの低級の火球魔法だ。残念だが、これ以下の火球は使えんのでな」


 それでも、並の魔術師が使う上級魔法並の大きさと威力はあるだろう。


 ゴートの先程の言葉は正しく、これがエヴォレリアに伝わった本来の魔法の姿ではあった。

 体内で精製したエネルギーを、口腔より発射する。

 だが、他の種族では竜族と同じ真似が出来なかった為、エネルギーを放出するためのフィールドを作り出し、それを発射口として使用しているのだ。


 しかもゴートは炎をつかさどる竜。

 その気になればもっと強力な炎だって作り出せるはずだ。


「さて……いつまで避け続ける体力があるかな?」


 再びゴートの口より火球が発射された。


 周りの被害……少なくとも、この階層の被害を気にしなくなったゴートによって、ラザムは次第に追い詰められていく。

 今使われている火球が最低レベルである為、溜めも魔力消費もほとんど無い。よって、近づくための手段がラザムには無かった。


(―――仕方ねぇッ!)


 覚悟を決め、ラザムは逃げるのを止めた。


「うおぉぉぉぉっ!」


 数発食らっても構わんという事で、ラザムはゴートに向けて突進した。


「破れかぶれの特効か。見苦しいぞ」


 見苦しかろうがなんだろうが、もう打てる手はこれしかないのだ。

 腕で頭部はガードしたものの、一発は右太ももに、一発は腹部に、更に一発はガードをしていた腕に命中する。


(くそ……ダメか……)


 そして、そのまま、バタリと倒れ伏したのだった。


 そうやって倒れ伏したまま動けずにいるラザムに向かって、ゴートは一歩、一歩と近づいていく。


「所詮、ヒト族風情が竜神の力を手にしてところで、ここまでが限界。いや、むしろよくやったというところだ」


 そう言って、ラザムの胸部にダンッと足を踏み下ろす。


「ぐあぁぁぁっ!」


 肋骨がバキバキと折れる音が響き、絶叫が喉から(ほとばし)った。


「ただのヒト族に我等竜族を象徴する角は必要なかろう」


 続いて、ラザムの側頭部から突き出ている角めがけて足を踏み下ろす。

 一度では折れず、二度、三度と踏み下ろすことで完全に折砕いたのだった。


「この程度の者を伴侶として選ぶなど、やはりファティマ様……貴女は竜神として相応しくない」


 それは、ラザムに対してではなく、ラザムと魂で繋がっている筈のファティマに対しての物言いだったのだろう。

 だが、その言葉に対してファティマからの返答はなかった。


「へッ……。それで、自分が竜神になってやるって思ったのかよ……。でも、俺を殺したところで竜神の継承は出来ねぇぞ」


 ラザムを殺せば、ただ竜神の後継者の地位が空席になるだけ。

 ただそれだけの事だし、実際に何度となく命を狙われた事は昔からあった。そのたびに逃げるなり、返り討ちにするなりしてやったが。

 尤も、竜族たちも本気でラザムを潰すつもりはなかったのだと思う。そうすれば、ファティマの怒りを買い、関係性も修復不可能になってしまう。

 だから、暗黙の了解でラザムに手を出す者はいなくなっていった。


 それでも、この状況においてゴートがラザムを殺さない理由もない。

 既に、ファティマとの関係性は破綻しているのだから。


「残念だが、我は竜神になる気はなく、なる必要もない。

 むしろ、より相応しい者を私は見つけたのだ」


「ああん? ファティマより相応しい者だと?」


 その時、ゴートの目を見たラザムは思わず我が目を疑った。

 なんと、その瞳には涙が溢れていたのだ。


「あの御方に出逢った途端、我は魂が震えるのを感じた。

 素晴らしい……あれこそ我が求めていた至上の存在だ。あの御方に出逢う為に、我はこの永き時を生きてきたのだ……」


 そんな独白を、ラザムは地に伏した体勢のまま茫然と聞いていた。


「……何言ってやがる、てめぇ……。てめぇは、ずっと前から、ファティマが神になるよりも前からずっと、忠誠を捧げてきたんじゃ無かったんじゃねぇのかよ」


 すると、涙を流していた瞳がキッと怒りに彩られる。


「忠誠だと? 違う! 断じて違う! 我がこの炎を捧げたのは、あのような小娘ではない!」


 彼が忠誠を誓ったのは、先代の竜神……ファティマの父親だ。

 なし崩しにファティマが竜神の座を継承したが、その座に座りたいと思ったことは一度たりともない。

 これでもし、ファティマが竜王国を出奔せずにきちんと国内を治めていたとしたら、彼もそのまま忠誠を誓う事が出来たかもしれない。

 だが、彼女は竜王国を見捨てた。

 竜神としての義務として必要最低限に接するが、民のこと、まつりのこと……その全てをこちらに丸投げしたのだ。

 ゴートは自問した。

 自分たちは何のための存在なのだ。

 命を捧げる主君は存在せず、かといって自分が頂点の存在という訳でもない。


 そんな中、彼女に出逢ったのだ。


「……なるほど。それがあの異世界の竜神様って訳か」


 そう。

 ゴートの言う至高の存在とは、ロゼの事だった。


 出逢った途端、ゴートは己がこれまで築き上げてきた、自尊心アイデンティティというものがバラバラと崩れ去っていくのを感じた。


 存在としての格が違う。

 文字通り、住む世界が違うのだ。


 王だ……神だ……という話ではない。

 彼女こそ、自分が求めていた……失ったと思っていた君主ロードなのだ。


 全てを捧げよう。

 そして、相応しいものを彼女に献上しよう。


 それが、この世界の全てだ。

 竜王国などという小さな世界ではない。

 エヴォレリアという世界全てを捧げるのだ。


 自分は、その為の尖兵であればそれでいい。


 気がつけば、ゴートは全てを吐き出していた。


 どこまでが意図して話していた内容かは分からない。

 それとも、冥途の土産として話したつもりだったのかもしれない。


 だが、その言葉の内容を聞き、ラザムはようやくこのゴートという男が理解できたような気がした。

 

 これまで、ラザムはこの男に対して恐怖心というものを感じていた。

 一度半殺しにされたからというだけではない。

 確かに強かった。だが、不思議とその暴力からは強固な信念というものが感じ取られなかった。

 ただ、気にくわない者が目についたから暴れているだけの野生の生物……まるで、そんな印象を受けていた。


 それが実際は……ただ仕えるべき主を見失っていただけ。向けるべき牙の対象が存在しなかったために、ただ敵を欲していただけの迷い竜に過ぎないのだと知ることができた。


 だったら……別に怖くはない。

 

「……まあ、ファティマに(アイツ)も落ち度はあったよな。これが終わったらよ、アイツもきちんと自分の国をその目で見ろって説得するよ」


 これまではファティマだけの言い分を聞き、彼女の味方になったつもりでいた。

 確かに、孤立していたファティマに味方は必要だった。

 それと同時に、叱ってやる存在も必要だったのではと今では思う。


「何?」


「それでもよ。自分の嫁さん馬鹿にされて、俺だってちったぁ頭に来てるんだぜ?」


 ラザムは、ガシッとゴートの足を掴んだ。炎で焼かれ、頃焦げになった左腕でしがみつく。


「貴様……何をする?」


「確かに、俺には竜族みたいなブレスを放てる器官は存在しない。無理やり使おうとしたら、頭ごと吹き飛んじまうからな。

 だったらよぉ……」


 唯一無事だった右腕を……ゴートに向けて突き出す。


「こいつはレイジの奴の戦いっぷりを見て思いついたんだ。

 要は……体の別のところを発射器官にしちまえば……俺にもブレスが使えるだろ!」


 ラザムの右腕が、ぐにょりと形を変える。

 その形はまるで―――


「まさか、腕を竜の頭部に―――!?」


 ラザムの右腕そのものが竜の頭部へと変化したのだった。これは、レイジの使うガントレット型砲撃武装ハードバスターから発想を得たものだ。

 竜族のように口腔部からブレスを撃つことは不可能。ならば、それ以外の部位……つまり腕からブレスを撃てるようにすれば良いのではないかと考えたものだった。

 だが、発想は得たものの、実際に試すのはこれが初めて。

 そして、恐らくではあるが撃ってしまえば、こちらもただでは済むまい。

 やがて、その決意を現すように、腕に発現させた竜頭部の口腔部が光で白く染まっていく……。


「くらいやがれ!!」


 光が、その右腕より発射された。

 ほぼゼロ距離で放たれたブレスをまともに受けたゴートの身体はなんとか原型は留めたものの、研究所の壁を砕きながら吹き飛んでいく。

 やがて、一筋の光と共に研究所の外まで飛び出し、大地へと打ち付けられる結果となった。


 対してラザムであるが……。

 ブレスの威力に右腕は耐えきれず、肩口から先は無くなっていた。


「いちち……。やっぱりこうなったか。でも、勝ちは勝ちだ……」


 傷口は完全に焼け焦げているから、失血死の心配はない。

 それだけ確認すると、ラザムは背中から床の上にバタンと倒れたのだった。

 戦意が消えた事を現すように、自身の姿もドラゴニュート状態から、元の人間へと戻っていく。


「おら、やったぞ」


 やがて絞り出すようにその言葉を吐くと、その口から自身のものではない声が紡がれた。


「ああ、見ていたぞ。流石は、我が夫だ」


 その言葉に満足し、ラザムは疲れた体を癒すかのように目を閉じた。


 かつての雪辱戦……炎竜卿ゴートとの闘いの結末は、ヒト族の魔術師……ラザムの勝利となった。




 当初はアルドラゴクルー以外のメンバーの戦闘シーンは、あっさりとダイジェストで終わらせるワンピース形式を取ろうと思っており、実際今回の戦闘シーンは比較的あっさり終わらせるつもりでした。

 それが、筆が乗ってほぼ一話分使っての戦闘シーン……。

 ラザム自身も冒頭に出番があるだけのNPCのつもりだったのに……いつの間にかこの章の準主役みたいな立ち位置になっちまった。

 さて、次回からはまた今回のメインキャラの一人、ロゼの活躍が始まります。

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