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8匹の悪魔たちとレストランの店員  作者: えのはら ロイナ
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小さい男の子

「あ!!しまった!!あああぁぁぁ、ダメダメそれ壊さないで!!・・・・・っだあああああああああ、どうだ!?だめ!?・・・だめならこっちから攻めに行ってやるぅぅぅぅ!?」

「パリーン!!!FINISH!!! 」

 テレビ画面から試合終了の声がクリスタルの割れる音に遅れて聞こえてくる。

「YOU LOSE...」

 画面に「あなたの負け」と英語で書かれた文字が現れた。

「え?なんで?私ちゃんとクリスタル壊したはずなのに...!!リプレイ見てみよ」

 リプレイを見てみると相手が私より先に私のクリスタルを叩き割っていた。

「まじかよ...このキャラほんとつえーな...勝てないわ。さーてとっ!!なんか食べないとなあ。えっとー、今何時だ?」

 そう、このゲームは簡単に言うと自分のクリスタルをすべて壊される前に相手を倒さないといけない。それか相手のクリスタルをすべて叩き割るかのどちらかをすればいいというシンプルなゲームだ。スマホを手に取りホームボタンを押す。そして時刻は夜中の2時過ぎだ。最近私はゲームに夢中になってて、それを今日も朝8時に起きてそのゲームをやっていた。気づいたら夕方の6時までやっていて、昼ご飯も食べていない。でもこういうのはよくあること。次の日が休日だったら必ずと言っていいほどこうなる。家には誰もいないからやりたいことやり放題!!つまり私は一人暮らしをしている。しかし不思議なことに10時間もゲームをやっていて、よくおなかものども乾かない。夢中になりすぎてるのかな?少しは控えないと体調を崩してしまうな。きをつけないと。

「そういえば、なにも冷蔵庫になかったな...コンビニ行ってくるかあ」

 一人暮らしの女がこんな夜中にコンビニに行くなど、そうそうないと思う。・・・ニート生活しているみたいだな。まあ実際私はニート生活などしていない。きちんと就職をしている。あ、私は緑西りょくざい 千沙斗ちさと20代前半でバイキングレストランで働いている。ここに就いてほんとによかったと思う。みんな優しいし、困ったときはお互い助け合ってるし、飲み会などのお誘いもしてくれ、何よりも職場の全体の雰囲気がとても良い。だから今の職場が大好き。これでクビにされたらどこへ就職したらいいんだろうと考える。どこも考えられない。それほどいまの職業がすき。そういえば、来年は弟が高校受験の年だっけな?コンビニへいくついでに忘れる前に神社にお参りしに行こう。それにしても寒い。今は12月の中旬でしかも夜中ときたら凍え死んでしまうくらいの寒さだ。今日に限ってなぜか風がつよいし、本当に気が薄れてきてその場に倒れこんでしまうんじゃないかと思っている。それでも弟のために神社へと足を運び、そして数分経ち神社の階段下に着いた。階段をのぼり鐘を鳴らしに行く。だがそこに誰かが座っている。ゆっくり歩きながら見たところその人は男の子という事と周りには誰もいない、つまり男の子一人だけいるという事、中学生でも高校生でも大学生でもない、つまり小学生なんじゃいかなという事しかわからなかった。寒いからさっさとお参りして帰ろうとおもったがそういうわけにもいかない。とりあえずお参りする前にこの子を家に帰らせないと。こんな寒い夜中だし、しかも一人となると危ない。夜中じゃなくても一人は危ないけどね。その子の隣へ行き

「こんばんは。どうしてそんなこんなところにいるの?早くお家に帰りな。」

「ぼく・・・一人がいいんだ」

 男の子が頭を伏せて座り込んでいる。そして手になにかを持って力強く握りしめている。でも、なんでこんなところで一人でいるんだろ?それを聞かないと。

「ここの神社、落ち着くんだ。また迎えにきてくれるのを待つんだよ」

 この神社のあたりは木ばかりで、神社の建物はボロボロで夜になると幽霊でも出てきてしまうんじゃないかと思うくらい不気味。昼間は全然そんな雰囲気ではなく、春になると高校受験が受かるようにと祈ってくる若者も少なくないし、恋愛についても祈ってくる。憧れの人と付き合えるようにだとか、クラス一緒になれますようにとか、こっちを振り向いてくれますようにとか、ましてや誰々と誰々が別れますようにと最悪なことを祈りにくる奴もいる。まあ今はこんなことはどうでもいい。それより、男の子は落ち着くと言った。誰かが迎えに来てくれると言った。

「一人がいいのに、迎えに来てくれるのを待つの?というか、またってどういう事?いつもここにぼくはきてるの?」

 この子矛盾してるな。なにがしたいんだか、しかも今冬だよ?夜中だよ?よく神社に一人でこれたよね。・・・もしかして

「ぼく、家出してきたの?」

「は?なに言ってんの、おばさん」

「え?」

 ちょっと待って。おばさんって・・・私まだ20代前半だよ!?しつれいじゃない!?あ、私23歳です☆それより手の中に何かあるよなあ。なにをそんなに必死ににぎってるんだろう。もしかして、誰かの形見・・・?

「とにかくおばさん邪魔。おばさんがここにいたら迎えに来てくれないじゃん」

「そうは言われても誰が迎えに来るの?お母さん?お父さん?ここでずっと待っていたら風邪ひくよ?しかも寒いし。」

「もう早くどっかへいってよ!!!!!!邪魔だって言ってるじゃん!!!!!!!」

 ずっと顔を伏せて座り込んでいた男の子が叫んだと同時に立ち上がり、初めてお互いの顔を見れた。その時に目が合った。それはとてもきれいな目、見ているとどこか落ち着く感じがした。でもその目の色が人間じゃありえない色。きいろの目。金色の目と言ってもいいかもしれない。

「・・・ぼくの、その目って・・・」

「っ・・・・!!」

 男の子は慌てるようにまた顔を伏せて座り込んだ。私は一瞬だけ怖いと感じてしまった。だってこの子はすぐに人間じゃないと思った。だって

「ね、ねえ、ぼくのその背中の羽とあたまに角が」

「しまった・・・」

 そう、小さな背中に目の色には似合わない灰色の羽、鋭い小さなつのがはえていた。

 この子は悪魔・・・なの?え、待って。そもそもこの世の中に悪魔って存在しないよな?でも今目の前にいるのは悪魔だ。絶対に悪魔だ。だってそんな雰囲気しか漂ってないよ?この男の子。誰がどうみても悪魔なんじゃないかと思うだろう。でもなんで私は逃げないの?悪魔って思ってるのに。というかこの子の名前ってなんだっけ?聞いてなっかたな

「それより、名前はなんていうの?」

「おばさん、これみて怖くないの?」

「別に怖くないよ?それより名前は?なんていうの?」

「変な人だね。みんなこれ見たら怖がって逃げるか、ぼくを殺しに来るのに」

「大丈夫だよ!!私はそんなことしないから安心して!それより名前は?ずっと「ぼく」って呼ばれたくないでしょ?だから教えてよ」

「ナズキナ」

「ナズキナ君かあ、変わった名前してるね、でもいいと思うよ」

 正直この子の名前を付けた人のネーミングセンスを疑った。ナズキナって・・・

「おい。ナズ、来てやったぞ。ってだれだその女?」

「あらー、ガールフレンド?でもそんな女より私の方が断然美人ね。あっははははははは」

「相変わらず、お前の笑い声は耳が壊れそうだしゃ。鼓膜がやぶれるだしゃ」

「うるさいわね。あんたのその語尾どうにかしなさいよ。顔はいいのにもったいないわよ?」

「お前らうるさいぞ。丸焼きにすっぞ」

『はい。すいません・・・』

 誰なのこの三人組。ナズキナ君の友達?それにしても体がごっつい人に、さっき私のことを侮辱した、び、美人さんと、確かに顔はいいのに語尾がもったいないイケメンな人は、ナズキナ君と違って大人だ。もしかしてこの人たちがさっき言ってた迎えに来てくれる人?とても友達には見えないし、カツアゲされてるんじゃないかと思ってしまう。

「そこの小娘。なにをじろじろ見てるんだしゃ。それよりお前はナズのなんだしゃ」

「あ、いや、そのー」

「このおばさん、俺を殺そうとした」

「ちょっとまって!!殺そうだなんてしてないじゃん!!むしろ心配してたのに!!」

 さっき、俺って言ったよね。さっきまでぼくって言ってたのになんで?いやいや、そんなことよりなんでウソつくの!?殺そうなんてこれっぽっちもおもってないのに、そんな仕草も言葉もかけてないはずだよね!?あと、誰かからの視線がめっちゃいたいんだけどー・・・

「そこのブス女、私のダーリンに手をだすなんて。最低ね。だからブスなのよ」

 やっぱりこの人か。そもそもこの美人さん、人にむかってブスブスって言い過ぎじゃありませんかね?あなたのその性格がブスだろうが。

「ナズを殺そうとした?それはただじゃおかねーぞ。おい、連れてくぞ」

『はい!!』

 イケメンな人と美人さんが私を捕まえに来る。逃げないと、殺されちゃうかもしれない、でも足が動かない。どうして、動いて私の足!!おねがい!!まだ死にたくないよ!!誰か助けて・・・やだ、だれかお願い・・・誰でもいいから・・・。そう願っていたら私はいつのまにか二人につかまっていた。もうだめだと思った。頭の中で両親、兄弟、友達、職場の人たちを頭に浮かべ、いままでありがとうと心の中で思い続けた。

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