あれ?なんで砂時計出てくんの?
「えっ・・・じゃないわよ、過去に行きたいか行きたくないか、どちらかよ。」
少女は、俺の拍子抜けした返事にイラついているようで、まともな返事を催促してきた。
「まぁ、行きたくないなら、君もこの男と同じ用に処分するけどね。あなた、運が悪いの。ううん、最下層の人間なのね、こんなところに遭遇するなんて普通の子は避けていくもの無意識のうちに。」
なぜ、俺が運悪くこんな事件に巻き込まれるのか、そして過去に行くとか意味不明な少女が人を殺しているのか。
状況が飲み込めない、でもここで俺が少女の誘いを断ってしまったら、俺は目の前で血まみれで倒れている男の様になるということだけは、本能的に理解できる。
「さ、最下層って言うのはお、置いといて俺も過去に行きたい。やり直したいことがあるんだ。」
過去に行けるなら過去に行きたい、30分前でいい。
この状況から逃げれるなら、夏休み最初のイベントなんていらない。
いくらでも遊ぶ時間があるんだから。だからもう助けてください。
「あら、飲み込みが早いのね。君の置かれいてる状況を理解できてるじゃない。よく出来ました。じゃあ早速、過去に行きましょ。」
そういって少女は、ワンピースにあるポケットから小さな砂時計を取り出し、反対に向け砂時計の砂が流れ落ち始めた。
それと共に俺の意識は遠のいていく。
「君は、最下層の人間だからこれは必然的なの。だからこの運命からは逃れられない。これから少し、私達の尻拭いに付き合ってもらうわ。俊介・・・。」
この言葉を最後に、俺の意識は途切れた。
彼女が、今日最後に口にした言葉。
この意味を知り、理解するのはもうちょっと過去になるなんて思ってもいなかった。