file8 魅惑のデート回! 前編
今日はいつもより書き始める時間帯が遅かったが、何だかんだで書き終わりました。
最近はホントに調子がいいなぁ!(フラグ)
目的のショッピングモールは、駅から歩いて5分の手頃な位置にあった。駅を出てから右手にすぐ見えたので特に迷うこともない。
中に入り、安くてセンスのいい店を二人で探した。幸いここはセンスのいい店が3~4軒もあったので、それらを中心に店をぶらぶらした。
「あ、これは最近流行りのドルマン系のパーカーだぁ!秋まで使えて可愛いし便利なんだよねぇ!おぉ、こっちはサルエルパンツ!カジュアルー!」
俺にはファッション用語はよくわからなかったが、愛川先輩はとても楽しそうに買い物をしていた。ちなみに先輩情報だと、ドルマンとは脇の下の生地が広くだぼだぼの服で、サルエルは股下がだぼだぼのパンツだそうだ。今年はだぼだぼの衣類が流行っているらしい。だぼだぼがゲシュタルト崩壊する今日この頃。
「どうかな勇吏君?赤と黄色のワンピどっちが似合うと思う?私的には……」
こんなに楽しそうに喋っている先輩を初めて見た。
みんなが魅了されるという天使の笑顔が俺だけに向けられているこの事実に、俺自身頭がクラクラしてくる。
この笑顔は壊してはならない。直感がそう言っていた。
「どっちもいいですよ。……買ってあげましょうか?」
「えっ!?だってそれだと勇吏君が………」
「今日はデートなんですから、少しくらいは男らしくありたいもんですよ。それとも迷惑ですか?」
紅の10分講義の時、「きっと愛川先輩は押しに弱い!ガンガンいけっ!きっともっと笑顔に……てあれ?なんで私、先輩の幸せ考えてんだろ?まぁいいか!」と吠えていたのを思い出す。
「……ホントに?ありがとー!勇吏君惚れ惚れする!」
「ちょっと先輩!抱きつかないで下さいよ!」
主に周りの視線が痛いからやめてほしいが、先輩の甘い匂いに包まれる感覚は、悪くなかった。
△▼△▼△▼△
「どれにしましょうか?」
「うーん、迷うなぁ……カルボナーラもいいけどこっちのバジルの方も気になるし………」
昼時なので俺たちは、ショッピングモールの中に入っているイタリア料理店に来ていた。思ったより早く、愛川先輩のお腹がくぅ、となったので店はすいていた。
「じゃあこの2つ、どっちも頼んで半分ずつにするのはどうですか?」
「シェア?いいね!ありがとう勇吏君!すいませーん!」
元気に店員を呼び出す先輩。ちゃっかりたくさん食べるところも、男子のハートを掴む技なのかもしれない。
「えへへ、やっぱり食べ物の我慢は駄目だよね~」
「ですよね。たくさん食べて健康でなんぼですから」
「勇吏君はたくさん食べる方が好き?じゃあいっぱい食べるよ!少しでも勇吏君の理想に近づけるように頑張るからね!」
「えっ?あぁまぁ、よろしくお願いします?」
「疑問系禁止ぃ!あ、来たよ!」
店員が注文した2皿を運んでくる。
すると、早速フォークでカルボナーラをクルクルしたあと、
「はい、あーん!」
「っ!!」
俺の口に向かってあーんをしてきた。
当然あーんをされたことは初めてなので、最初は戸惑ってしまう。だが頑張って俺の口まで運んでくれた(?)このパスタ、無駄にするほど俺は非情じゃない。
「早く早く、冷めちゃうよ?あーん……」
「あ、あーん……」
「うふふ♪勇吏君にあーんしちゃった!」
言われるがままに口を開け、食べさせられる俺。
初めてあーんで食べたカルボナーラの味はまろやかで、少しだけ。少しだけ、甘かったような気がした。
△▼△▼△▼△
「午後はどうします?映画やゲーセンでも行きます?」
「賛成!映画も見たいのがあるし、プリクラも撮ってみたいなぁ!それが終わったら自然公園とかに行って……」
「まぁ、午後は丸々いっぱい時間使えるんですから。ゆっくり行きましょう、ゆっくり」
「じゃあまだ見たい映画まで時間があるから、プリクラ行こうよプリクラ!」
「いいですよ。でも学校のみんなに見せびらかすのは止めてくださいね。特に俺が信堂先輩辺りに殺されそうなんで……」
「どして?」
この人は、信堂先輩のことを何もわかっていなかった。あの殺気を直にくらったのは俺だけだが、愛川先輩も薄々感じてきてもいい頃だ。先輩は、人を疑うことを知らない人間なのだろう。
「まぁいいや、行こう!早く会計済ませちゃおう!」
それを合図に俺たちは店を出た。
午後もきっと、何だかんだで楽しいデートが待っていることだろう。しばらくは他のことを忘れ、こちらに集中したいと思う。
感想、そして評価。欲しいですな……(上目使い)
こんなもので皆さんが楽しめたのなら幸いです。