file3 第1の刺客は○○
最近ノリにノッてる気がします。
「うーん、『チート研究部』ねぇ……」
「はい!『我が校の素晴らしき才能を持った生徒達を迷惑にならない限り特集し、他生徒に知ってもらうと共にみんなで力を共有するために精進する』……良いモットーだと思いませんか?」
俺が紅に監禁された日の放課後。
現在俺と紅は、本校2階の職員室に来ていた。
遅刻したことについては、友達が適当に説明していてくれたらしい。後でお礼を言わなくてはならない。
ここにいる目的としては、もちろん紅が考案した『チート研究部』の創部を認可してもらうためである。
この学校は近くに手頃な高校がない性で全校生徒1500人超えというマンモス高校なため、1つの部に部員が集中し過ぎないためにも創部の条件はとてもゆるいものであった。
それは『2人以上の部員(部長含む)と、部室棟に空きがあれば邪なものでない限り創部を認める。尚、顧問は原則として担任が務める』というものだった。部長を含めて2人とは、少々少なすぎる気がする。
紅の調べによるとまだ部室棟には空きがあるらしいので、あとは部員が1人足りないだけだったらしい。
しばらくして、紅に渡された創部届に死んだ魚のような目を通した我らが担任、猪塚陽大は創部届からこちらに目を移すとこう言った。
「うん、いいんじゃないの?」
「決めるの早すぎだろ!?」
あまりにも早い承認に、思わず担任にツッコんでしまった。
しかし当の本人はしれっとした顔で教員用の椅子からこちらを見つめている。
すると不意に袖を引っ張る感覚がした。振り向くと、そこには紅のニタリ顔があった。
確かに紅は可愛いとは思うが、まるでときめかないということは俺は本気でロリコンなのかもしれないな……
「上手くいっただろ?私がこの人に頼んだのは担任というのもあるが、この人も立派な『チート』を持ってるからなのだ」
「本当か?それはどういう……?」
「『チート』級にテキトーという固有能力が」
「あー……なるほど、納得」
確かにここまでテキトーな人はそういないだろう。
しばらく2人でこそこそ話していたら、猪塚先生その他教師達に変な目で見られたのでここら辺で自重することにする。
幸い猪塚先生は深くは追求して来なかった。いや、只めんどくさいだけかもしれない。
「まぁ一応筋は通っているし、俺はなるべく生徒達のことは自由にさせてあげたいし。だって1度きりの高校生活だもんな~」
「……なんかこの人凄い良い人っぽいんですけど……?」
「俺はいつでも良い人だぞ?例えば………まぁ何でも良いや」
「「本当にテキトーだな……」」
あまりのテキトーっぷりに思わず紅とハモってしまった。
「失礼しました……これで俺もチー研の仲間入りか…」
「もっと喜べ!今ならもれなく私もついてくるんだから!」
「俺はついてったんじゃなくて引きずり込まれたの!あとお前はついてこなくても良い!」
そうだ、こいつの性でこれから先どれだけ引きずり回されるかわかったものじゃない。今すぐこんな部活辞めたいが、辞めたら紅は『岸谷勇吏はロリコンなんですよ?知ってましたー?』とか言って俺を精神的に殺しに来るだろう。それだけは何としてでも避けたい……
「あ、そうそう。『入ったからもういいだろ、俺は辞めるからな』は無しね。そんなことしたら『岸谷勇吏はロリコンなんですよ?知ってましたー?』てみんなに言うからね」
「お前は俺の心の中を読むんじゃない!」
そういう理由で。
俺が望んだ今までののどかで平和な暮らしは。
………もう少し後になるようだ。畜生!
「……ってうわぁ!?」
△▼△▼△▼△
放課後の私は、廊下を歩いていた。
大丈夫。この後のピアノレッスンにはまだ時間があるし、少し位なら校内をぶらぶらしても大丈夫だろう。
1階の更衣室で女の子とちょっとした会話を済ませ、階段で2階へと上がる。
途中すれちがった新入生男子がなんだか凄い表情で固まっていたが、まぁ気にしないでもいいだろう。
2階の踊り場に到着。そのまま職員室の方に向かって校内散策開始……
「……きゃあ!」
「……ってうわぁ!?す、すいません!」
曲がり角で男の子とぶつかってしまった。見ない顔だからまだ1年生だと……ん?
なんだかこの子、なんだかーーーーー
やっと物語、つまり『チート』の研究が始まりそうです。
フラグ立て下手ですんません……
こんなもので皆さんが楽しめたのなら幸いです。