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アカシック  作者: 九条穹
白き誘い編
18/20

男の友情

たぶんこれが一番の失敗 

確実に改変するわな


「ふぅー。危ねぇ。」

俺が連れてこられたのは近くの商店街だった。

「ったく、あいつの友達は禄でもないもん渡してくんな。」

「あれはそんなに危ないのか?」

訳がわからず俺は聞いてみた。

「まぁな。」

「へー。で、俺はどこに行く予定になっているんだ?」

「ん? あぁ、ここだよ、ここ。」

そう言って立ち止まったのはゲームセンターだった。

「ここで何するんだよ。」

「決まってんだろ、ゲームだよ。」

「それならさっきまでやってただろ、人生転落ゲーム。」

「あんなものはやってないし、存在しない!」

小原が鬱そうな顔をして叫ぶ。

「お前がトイレに行った後、俺が何回初めまで飛ばされたかわかるか?」

「いや、見てないから知らんよ。」

「3回だぞ、3回。しかも初めに戻るだけならまだしも、全て出家マスだぞ、おい!」

「そういや出家マスは財産すらも没収だったな。」

「そーだよ! もうあれは一生やらねぇからな。」

小原よ・・・・・・お前はそういうキャラなんだよ。

「・・・・・・何考えてんだよ?」

「いや、特に・・・・・・」

「てことで、ボードじゃないゲームやるんだよ。」

「だったら柿本も誘ってやればよかったじゃないか?」

「あいつには聞いてほしくないから、場所を変えたんだよ。」

 「それならここじゃなくてもいいだろ。」

 「いいんだよ。とりあえずあのゲームの鬱憤を晴らしたい。」

 そう言って小原と俺は中に入った。

 

 「さぁ~て、何から始めようか。」

 「時間的に1個か2個しか付き合わんぞ。」

 「おまえは優等生だなぁ。」

 「うるせぇ。」

 「怒んなって。んじゃぁ・・・・・・」

 小原が壁伝いに一周した。やるゲームでも吟味しているのだろう。

 「決めたぜ。これにすっか。」

 戻ってきた小原はゲーセンの隅にあったエアホッケーを指差した。

 「あれか。お前得意なのか?」

 「得意かは知らんけど、来たら毎回やってはいるな。」

 「時間もないし、さっさと始めるか?」

 「当たり前だろ! 何しにここまで来たんだよ。」

 お互いの持ち場に移動して、対面する。

「えっとお金を入れるところは・・・・・・」

 「いいよ、いいよ俺が出すから。付き合ってもらってる訳だし。」

 そう言って小原は投入口に2枚硬貨を入れた。

 「んじゃ旭。俺の憂さ晴らしになってくれよ。」

 「いつものように負けるオチになるぞ、きっと。」

 「そう言ってられんのも今の内だぜ・・・・・・おしっ!」

 軽口を叩いている間に小原が俺のゴールにホッケーを入れた。

 「おら、どうした、どうしたさっきまでの威勢はよぉ。」

 こいつに負けると少なくても明日いっぱい威張るから負けたくはない。

 「まだ始まったばかりだろ。威張んな。」

 「へぇへぇ。」

 そしてホッケーの打ち合いが始まる。

 やはり毎回やってるだけあって小原はかなりの実力だ。

 「ところで・・・・・・ふっ、話って何だよ。」

 「よいしょぉぉ。あぁその話ねぇ!」

 「話聞くために連れてきたんだろ。」

 「そうだったな。ホイ、でもそれは終わってからにしてくんね。」

 「それじゃぁやる意味ないだろ。」

 「まぁそうだけど。てか、お前そんなに話ててもいいのか!」

 「げっ。」

 またしてもポイントが小原に入る。

 「確かにこれは話は後のがいいな。」

 「だろっ。」

 俺たちの打ち合いがまた始まった。


 「いやぁ、旭も奮闘したけど、やっぱ俺の実力には敵わなかったかぁ。」

 「うるせぇ。」

 結果は4分で13:7.かなり押されていた。

 「ところでそろそろ本題に入れよ。」

 「そうだった、そうだった。いやぁ勝っちゃったから忘れてたわ。」

 やはり明日、他のゲームで黙らせることにしよう。

 「お前はもしこの部がなくなったらどうすんよ?」

 小原のいつになく真剣な声がゲーセンの騒がしい音に混ざり聞こえた。

 「なくなったらって、今それを出す時期か?」

 「なんでも備えあれば憂いなしだろ?」

 「そうだけど・・・・・・」

 小原が真剣なのも久しぶりに見た気がした。いつもは幸薄いキャラをしているのに。

 「最近、柿本が頑張ってるのはわかるだろ?」

 「あぁ、俺もそれは知ってる。」

 普段は何かと菓子キャラなのだが、ここ1週間の働きは3人の中では一番働いているだろう。 

 「あいつが今日お前が来る前に言ってたんだよ。」

 「なんて?」

 「“もうこれで集まれなくなるのかな”ってよ。」

 小原が少し間を置いて再び話す。

「菓子のことじゃないんだぞ。おかしいだろ!」

「確かにそうだな。」

俺には柿本がそこまで考えていたことを今知った。

「あれだろ。今まで俺もお前も、一応努力はしました! で、それでもできなかったら残念でした。で済ますだろ?」

「・・・・・・・・・・・・」

確かに俺もこの部活がなくなることに感慨深くなることはなかった。

なくなってもあの時と同じように集まって過ごせる、そう思っていた。

「俺らは同じ男だから、いつでもつるめるけど、あいつはどうだ? やれると思うか?」

俺は小原の言いたいことが今わかった。

「つまり、今の内に他の部活を考えて、最悪の場合には3人でその部に入ろうってことだろ。」

「そんなもんだな。でも俺も後2日頑張るからな。」

「過去のお前に説教しろよ、まず。」

「うっ・・・・・・痛いところをついてくるな。」

時間はいつのまにか高校生の立ち入り時間外になりつつある。

「このことは柿本には内緒な。」

そう言って俺と小原はゲーセン前で別れた。


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