表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アカシック  作者: 九条穹
白き誘い編
17/20

事後処理

「5で・・・・・・終わったーーー!」

俺が帰ってきて30分後に小原が駒をあがりまで進めた。俺も既にあがっているのに。本当に運命力が低い。

「お疲れ様、小原。」

そう言って、柿本が飲み物を差し出す。

後10分で最終下校時間になる。

「俺はもうこのゲームは金輪際やらないと誓う。」

小原は疲れて椅子にグッタリしている。

「小原がやると時間かかるから、小原とはもうこのゲームやらないって誓う♪」

「それって俺直接関係なくね? 運命力はき鍛えれねーっつーの。」

皆、言ってることややっていることに空元気さを感じているはずだ。

「後木曜日と金曜日のみ。なんとかしないとね。」

 柿本が菓子の袋をゴミ箱に捨てている。

 「大丈夫だって。何とかなるって。な、旭。」

 部内を活気つけるためか、小原はいつも以上に煽り口調で話す。

 後2日。俺は前部長のように部を存続できるのだろうか。 

「部長、後2日一緒に頑張ろうね♪」

「後2日じゃねーだろ。後1人集めて、これからもだろ?」

「あっそっか、そうだよね。」

去年、ここの部活に入った時は“他の部にすれば”、と何回も後悔していた。この学校は原則として1つの部活動にしか入れないからだ。

でも今、俺たちは部の存続のために必死になっている。去年の俺が見たら確実に今の俺のやっていることを邪魔するだろう。

「小原、柿本。明日も頑張ろうな。必ず部を存続させるぞ!」

「何を突然言ってんだよ。」

「いいだろ。これでも一応部長なんだから。」

「部長の威厳は大事だよね。でもアホ原は勧誘をかなりサボってたよね。」

柿本は小原にジト目で見て言った。

「サボってねーつの。毎日いただろ?」

「確かに毎日木陰で突っ立ってたよな。」

「アホ原、それはいてもいなくても変わらないからいないようなもんだよ。」

「ってか“アホ原”ってなんだよ。なんか酷くない?この扱い。」

「それがお前の立ち位置だ。諦めろ。」

「部長の言うとおり。やーいアホ原。」

軽口を叩けるのも後2日。悔いの残らないように、そしてこの仲間と離れないようにしたい。俺はそう思った。


「旭、今日俺に付き合ってくれねぇか?」

小原が俺に話しかけてきた。

「どこに行くんだ?」

「んなもん言ったら面白くねぇだろ。」

「はぁ。別にいいけど。それなら柿本も誘うか。」

俺は椅子に座る柿本に目をやった。

しかしそこにいたのは柿本ではないが、柿本だった。

柿本の目がお菓子の時の目とは違う目をしていた。

 「小原が部長を口説いてる・・・・・・。もしかして!」

 「いや、俺にそんな趣味ねぇから。」

 「俺もだ。」

 しかし柿本は話を聞いていないように話す。

 「これは・・・・・・小原があっち系の人で部長もその趣味に片足踏んでいるのかな?」

 「だからちげーっての。」

 小原が何を言ってもわかってくれないようだ。

 「わかったよ。そんな小原にはこれあげるよ。」

 そう言って柿本は使用されていないロッカーから物を探し始めた。

 「おい、旭も何か言って、こいつの暴走止めろよ。」

 小原の声が焦りの色を出している。流石に小原だけならそっとしておくが、俺も関わるなら話は別だ。

「柿本、何探してんだ? というか何勘違いしているんだ?」

柿本はそれを無視してものを探している。

「・・・・・・ん、あった、あったよ♪」

柿本が探していたのは青の作業服だった。

「んでこれをどうすんの、柿本さんよ。」

「えっとね、私の友達が“あの2人が一緒に出掛けるならこれを渡してね”って言ってたから。私も何でこれを渡さないといけないかは聞いてないけど、必須アイテムらしいよ。」

嫌な予感がする。わからないけど。

「んで、そのお友達は他になんか言っただろ?」

小原がドン引きな顔をしている。

「んー。あっそういえばその服をどっちが着るのかが楽しみって言ってたよ。」

「旭、無視して行くぞ。」

小原が俺を引っ張る。

「この服持っていかないの?」

「それじゃ着るかはわからないけど借りとくよ。」

俺はそう言ってその服を貰おうとした。

「そんなん貰うな!」

小原の顔が真剣になる。

「えー、持ってってくれないの?」

「えっと、それは俺ら3人のもんじゃないから、そう易々と貰えないんだよ。」

柿本の目が潤んできたからか、小原がフォローする。

「そうだよね。いくら許可されても他人のをまた他人に渡すのはよくないよね。」

「そういうことだ。んじゃまた明日。旭行くぞ。」

「あっ、ああ。」

そう柿本に言い残し、小原と俺は部室を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ