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アカシック  作者: 九条穹
白き誘い編
15/20

部室での一時━人生転落ゲーム

「部長。今日は勧誘お休みだよ~。休みだよ~。やす・・・・・・」

入るなり、柿本が迫る。

「だ~、寄るな。そしてエコーすんな。」

「ひどいよ。私の気遣いを無下にするなんて。」

「おぅおぅ。柿本を泣かせたな旭。」

小原が話に加勢する。柿本の味方なら割って入るな。

「せっかく、アホ小原と一緒に部長を気遣ったのに・・・・・・。」

「アレ? 今俺柿本の味方やったのに、何コノアツカイ?」

「仕方ないだろ。小原なんだから。」

「説明になってねーーー!」

叫ぶ小原を後にして、柿本に尋ねる。

「んで、気遣いって何の話なの。」

「・・・・・・ぐすっ。」

“これは明らかに嘘泣きだ”

そう確信しても俺がやるべきことは一つしかない。

「お菓子奢るよ。」

「・・・・・・ぐすっ、ハッ!」

この娘はお菓子のためなら何でもやるなぁ。

「で、話は?」

「その前にお菓子は?」

質問を質問で返すな。

「話したらな。」

「えっと、最近部長寝不足だよね。目に隈出てるし。だからね、今日は久々に部活動をやろうってことにしたの。」

「ちなみに発案俺な。」

 叫び終わったのか、小原がケロッとして戻ってくる。

 「でも後3日しかないぞ。」

 後3日で廃部、それは全員知っているはずだ。

 「いいんだよ。ここ数日やっても成功しないなら、今日も骨折り損になるだけだから。」

 小原はそう言ってロッカーからボードゲームを取り出す。

 「そんなとこだよ♪ 部活やろ。廃部前の活動が勧誘だけってのは嫌だから思い出作ろうよ。」

 柿本は菓子棚から菓子を両手一杯に抱えてきた。

 確かに、廃部前の思い出が勧誘なのは嫌だ。最後くらいは部長の権限が使いたかったが、仕方ないことなのか。

 春休み以前までの生活に俺も惹かれ、本来の部活動を始めた。


 「え~っと。7だから。1・2・3・・・・・・7。え~~! 何この“サラ金に追われる。5マス戻って人生を悔いる”って!」

 「柿本、お前はマシだ。俺なんか“軌道に乗った会社がM&Aされ、株主総会で平まで降格に追い込まれる。職業カード没収”だぞ。俺の社長業が・・・・・・。」

 「お前ら悲惨すぎんな。んじゃ俺の番。・・・・・・っと9か。こりゃ1番は俺のもんだな。9は~、何々“悟りを開くために俗物世界から身を引き、新に人生をやり直す。はじめまで戻って財産を没収。”・・・・・・。」

 小原の時が止まった。

 「あんじゃこりゃ~~~~~。」

 「これ毎回とっても鬱になるゲームだね。」

 今3人でやっているのは人生転落ゲーム甘口版だ。

 この手のゲームは中辛版と激辛版もある。これ以上の鬱展開マスは俺には想像できない。

 後、人生転落ゲームはなかなかあがれないゲームとしても有名で後半の○マス戻るはかなり遠くまで戻される。

 「次は私ね。え~と、2だから・・・・・・“叔父貴っぽい人を匿う。礼金50万$を貰う”。叔父さん裕福だね。」

 「いや、それどうみてもく・・・・・・。」

 「小原、何も言わなくていい。」

 俺は小原を止めた。柿本は知らなくていい世界だ。


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