3章 一つの夜を越して
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あの日の翌日。俺はとてつもなく体調不良であった。
理由は夢。
夢で何回もあの残虐な光景が浮かびあがり、その度に目を覚ました。
おかげで寝不足だ。これでは勧誘活動もままになるか不安だ。
部室に来るまでに高崎に何か言われた気がしたが、あまり覚えていない。多分この間と同様、冷やかし交じりの応援だったと推測している。
「おはよう。」
以前に柿本に時間帯でツッコみをしたが、よくよく考えるとあれほど万能なあいさつはないな。
「旭、どうしたんだその顔? 隈出てるぞ。」
小原が俺に聞いてきた。
「少し・・・・・・寝てなくてな。」
「かなりお疲れさんのようだねー。」
「あぁ、体もだるいし、かなり眠い。」
俺は部室で座らずに立ったままでいた。今座ると確実にここで寝そうだ。
「そっか・・・・・・部長、今日は帰った方がいいよー。」
「そうだな、お前がいなくてもしっかりやっとくから今日は休めよ。」
2人の言葉の優しさが昨日のせいか、心にじんみりと来る。
「すまん。今日は帰るわ。」
俺は2人の意見に感謝し、帰り道についた。
家に帰るにはどうしてもあの公園を通らなければいけない。
今から24時間前までは何も思わなかったはずの場所。しかし、今では忌み嫌うな場所になりつつある。
俺は公園に目を送った。
そこには昨日と同じように子供たちが遊んでいた。ただ、あの子は輪から外れている。
あれが、どうやら無気力状態らしい。
俺は昨日のあの世界でのやりとりを思い出した。