リタと小竜と新人隊員
「おはよう、みんな」
朝焼けが海に反射し、キラキラと眩い午前6時
ひときわ明るく元気な声が厩舎に響く
キュルルゥー
少女の声に答えるように不思議な生き物たちが一斉に起き上がる
鋭い牙、立派な翼、長い尻尾をもつ彼らは小竜と呼ばれる生物だ
かつては巨大で恐ろしいドラゴンであったが、力が衰退し小型化して現代の姿になった
今では国の為に人間と共に働いてくれる善きパートナーとなっている
そんな小竜の世話係として仕事をしているのは16歳の少女リタ
彼女の父は小竜に騎乗する国境警備隊の隊長でリタは幼い頃から小竜と共に過ごしていた
小竜は気難しい性格の者が多く世話が難しいと言われいるがリタにとってはお手のものだ
慣れた手つきで小竜に触れ、検温や目視で体調チェックをしていく
その間、他の世話係が餌の準備をする
「リタちゃん、配合はこれでいい?」
小竜はその日の体調に合わせて与える餌の配合を変えている
とても繊細で扱いが難しい生き物なのだ
朝の世話が一段落すると休憩をとる
とにかく体力が必要で大変な仕事だ
「そういえば今日、新人隊員が来る日だっけ?」
世話係の一人、23歳のローズがポツリと言った
そう、今日は国境警備隊として働く新人が初めて小竜に騎乗する日である
「まだ若い坊やだって聞いたぞ」
ぶっきらぼうにベテラン世話係のダンテが答える
国境警備隊とはその名の通り国境付近にて不法入国や密輸などの犯罪の抑止力となるべく警備を担っている集団だ
新人隊員は半年間の厳しい研修と訓練を経てから初めて小竜に騎乗する事ができる
休憩が終わると警備隊が厩舎にやって来た
隊員たちはそれぞれ騎乗する小竜が決まっている
まずは自分のパートナーである小竜のブラッシングをしてコミュニケーションをとる
今日もよろしくと挨拶をしてから騎乗して持ち場へと向かうのだ
このコミュニケーションを大事にしなければ小竜は機嫌を損ねて乗せてはくれない
馬銜をかけ隊員たちはパートナーの小竜と厩舎を後にする
そのまま飛行場に誘導し飛び立っていく
“みんな気を付けて“
リタは心の中でそう見送る
小竜の飛び立つ姿は何度見ても美しいものだ
それから少し遅れて噂の新人がやって来た




