002:君との出会い
寂しかった。
私は寂しかったんだ。
自分の心が。
自分の存在が。
ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
私の前には死体があった。
軍装をした機械の死体。
私と同じ可哀想なアンドロイドの。
ああ...なんて醜い力なんだろ。
私は科学者の一番の力作で、どのアンドロイドよりも異能が強かった。
だからこんなに沢山殺してしまったんだ。
「違う...私のこの歪んだ心のせい...。」
いつの間にか声に出ていた。
「これ...みんな君がやったの?」
突然声をかけられた。
後ろを振り向くと少年がいた。
「そうですよ...貴方もアンドロイドなの?」
「そっか...酷い有り様だ。君の心は、本当は純粋なのに。」
「えっ?」
「あっ僕もアンドロイドだよ。製造番号は008だ。」
「そう。私は製造番号063よ。」
「そっか。」
「私が怖くないの?」
「何でさ?」
「いいえ...それじゃあ。」
「待って...。」
「何ですか。」
「いや...逃げたくない?この世界から、この生活から。」
「できるものならね。」
「君ならできる。」
「他のアンドロイドより優秀なんだろ?」
「....」
「....」
目が覚めた。
目の前を見るとやっぱり牢屋だった。
昨日の008の言葉が頭から離れない。
そして今日も戦場へ向かうのだ。
「一番隊、前へ!!」
第四警察隊の幹部の声が響く。
今日はビルの中で戦う。
このビルは私たちの国が対抗している国の司令部らしい。
今日の戦闘メンバーは割りと多かった。
「063...」
後ろから声がした。
振り向くと昨日の少年がいた。