マサキ君の願い!
それから何日も経たないで、マサキ君は観音様に、どうか私を魔法使いにしてくださいと祈りながら床についた。
マサキ君が眠りに入ったとたん、そこは自分の部屋ではなく、目の前には蓮の華が咲いており、隣では観音様が顎を机に乗せた腕の手首に掛けながら、ゆったりと池の蓮を眺めていた。
観音様は顔を蓮池に向けながらこう尋ねた。
魔法使いになりたいというのがそちの願いか?
はい!一つづつの願いを叶えるより、すべての願いを叶えられるような魔法使いになりたいのです。
なるほど、賢いな
その願い、叶えられないことはないが、しかし、その願いを叶えるには多くの修練が必要で、願いが叶う頃にはもう死んでいるかも知れないぞ
… (少し間が空く)
大丈夫です。私は幼い頃に遊びの途中、高いところから落ちて、頭を強く打って一週間ほど意識がない時があったそうです。
それから母や兄や姉から少し他の子とは違うおかしな子ななったと聞いています。
私もそれから、すべてのいきものが必ず迎えるであろう死というものはあまり怖くなくなった気がします。
(また、魔法使いになれば死をも魔法で乗り越えられるかも知れないし…)
そうか…、ならば教えてやろう魔法使いになる法門を…
だが、この法門を会得するには、かなりの修練が必要である。本来は、すべての人がすでに持っているものなので、己がそれを持っていることに気づきさえよいものであるが…
どうする!この法門に挑戦する勇気はあるか?
お師匠様、何故そのように念を押すのですか?
お話しでは、「すべての人がすでに持っているものに気づきさえよいものである」とのことなので、そう難しそうに思えないのですが…?
甘いな…!生半可な知識は持たない方がよい!知らぬが仏と言う言葉もある
(本当は観音様はこの法門の教えを請うものが出てきたことをうれしく思っていました。それは特に人々へ伝えたかったことだったからです。しかし、この法門は、一度種を植えたら、成長し、華を咲かせ、実を結び、刈り取るまで、長い年月を経ねばなりません。ですから念押しをしたのです。)
大丈夫ですよ師匠。お願いします。どうか私にその法門を教えてください。よろしくお願いします。
分かった。では教えよう。この法門の名を「一念三千」と呼ぶ。
師匠、「いちねん さんぜん」ですか?
そうだ
…いちねん さんぜん…、師匠、これってどういう意味ですか?
この世のありとあらゆるものすべて、己の心が作り出しているという教えだ…!
これを修練すれば、この世のありとあらゆるものすべてを、己の心の思いのままに操ることができよう!
…
(続く「仮:一念三千とは」)




