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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

GB 三毛猫ホームズの騎士道

GBのマイナーゲームをやってみた感想文です。

このゲームを一言で言うなら『よく纏まっている』といったところでしょうか。

所謂『推理アドベンチャーゲーム』ですが、ハードがGBというだけあってシステムが子ども向けで、選択に間違いが無い仕様になっていて、要は選択肢を一通り全部押せば次の場面に進めるといった仕様になっています。メイン画面の中をアイコンで指す仕様でもありますが、『その場所』を指すまで無反応で、ピタッと指せたら何らかのメッセージが出る仕様なので、分からなくてもアイコンを動かしながらAボタンを連打していれば『当たり』ます。

このように非常に易しい仕様なのでサクサクと話が進み、初見で大して推理などしなくても一時間くらいで話が最後まで『進んでしまう』でしょう。本格的な推理アドベンチャーは苦手という人や、始めてやってみるという人には良いと思います。

でも、GBで、こんな簡単な仕様で誰でもちょこっと気軽に遊べるようにしたゲームなのに、ストーリーは激重なので少し注意が必要かも。まあ、当時だから許されたのでしょうけど、今後、配信で再販とかは無理だと思います。

ストーリーは完全にネタバレを含み、以下のようになりますが、このゲームは入手も内容も簡単ですし、もしこれからやってみたいと思うのであれば、ストーリーのネタバレは読まない方が良いです。一応、赤川次郎原作の推理物ですので最後まで犯人が誰だか分からないままプレイした方が絶対面白いので。

まず、オープニングは1988年。

『永江ひでや』という超金持ちの老紳士と若妻『ともみ』が、新居としてドイツの田舎町にあった古城を買って、とりあえずその城を始めて見に来たところから始まります。

城門をくぐって中庭まで来たところで、邸宅になる建物に入る鍵を車の中に忘れてきたと言って、ひでや は門の前に停めてあった車まで戻ります。ともみ は ひでや を待つ間も城の様子に興味津々で、あちこち眺めていると庭の端にあった礼拝堂の入り口の扉が開いているのが見え、気になって近くまで行って、開いている扉から礼拝堂の中へと入って行きました。更に、礼拝堂に入ると祭壇の横の隠し扉が急に開いたので、気になってその扉の中に入ってみると、そこには『鉄の処女』が蓋が開いた状態置いてありました。それを見て怖くなった ともみ は急いでその部屋から出ようとしますが、背後から何者かに押されて鉄の処女に入ってしまい、その蓋が閉じられてしまった。というところでタイトル画面となります。

ゲームは、この『ともみ殺し』の犯人を捜す推理アドベンチャーとなります。

ここから全ネタバレとなります。

その事件から3年が経って、未だに犯人が捕まっていない1991年。ここからゲーム本編が始まります。

まず、ゲームスタート時点で、日本から呼ばれた『片山よしたろう』という刑事と、その妹の『はるみ』(主人公:この二人を切り替えて操作する)、よしたろう の部下の『いしづ』という3人が登場。(よしたろう のペット猫『ホームズ』もいますが。)

そして、先の事件で妻を失い、主人公達を呼び寄せた『かずや』と、執事の『かじもと』が、まず登場します。

かずや は、今回どうしても犯人を捕まえたくて、3年前の『あの日』にドイツにいて犯行が可能だった人物、『心当たりのある』人物6人も城(自宅)に呼び集めていて、よしたろう にその中から犯人の特定を頼むというところからゲームスタートとなります。

容疑者6人、まず一人目は、ひでや の兄『かずや』。元来、この永江家というのは昔からの資産家一族で、現在、永江グループを運営しているのは兄の かずや、弟 ひでや は昔からの仕事もしないで家の金で悠々と遊んで暮らしている放蕩者とのこと。しかし、かずや も金持ちで一見人の良さそうなオジさんキャラですが、後々『さすが社長』といった感じのアウトな面が次々に出てきます。二人目は、かずや の妻『ありえ』。派手な中年女で、かずや の後妻。三人目は、かずや の息子でホストみたいな感じの男『しんや』。しんや は、かずや の前妻との子。

四人目は、かずや の姪(? この時点で ひでや の子?となるおかしな自己紹介をしますが、後々いろいろと分かってくる)『けいこ』。

五人目は、かずや の秘書をしている『きたむら』。6人目は永江グループがドイツで経営している会社の女性社員だという『あさか』。

事件の時にドイツにいたのはこの6人ということで、この6人が召集されています。

とりあえず、容疑がかかって集められたこの6人の中から犯人を見つけ出す訳ですが、初日の深夜に庭にある見張り塔の上から歌声が聞こえてきて、気になった主人公の はるみ が、塔の見張り台が同じ高さで見える城の三階のバルコニーまで行ってみると、いきなり鉄仮面の騎士が剣を構えて斬りかかってきます。この時、よしたろう が飼っている三毛猫のホームズが騎士に飛びかかって助けてくれて、よしたろう と いしづ が駆け付けた時には既に仮面の騎士もいなくなっています。そして翌朝、居間に全員集合してみると ひでや がいなくなっていて、かずや が「ひでや が全員を殺す気でみんなをここに集めたんじゃないか?」と言い出した事でみんな不安になり、電話も(当時なので携帯電話も)無かった事から、近くの町まで助けを求めに きたむら がトラックで城を出るも、城門の前にある『通ると落ちるように細工された橋』ごと堀に転落して死亡してしまいます。そんな二日目が過ぎ、翌朝になると今度は背中に包丁が刺さって死んでいる ありえ の死体が廊下に転がっていて、執事の かじもと もいなくなっています。

ここから徐々にそれぞれの関係性など語られ始めます。

まず、しんや の話によると、きたむら と ありえ は浮気の関係にあった。しんや にとって ありえ は実の母ではないため、きたむら との関係についてもそれほど気にしておらず、要はどちらも他人であるため、きたむら が死んでも ありえ が殺されてもそれほど動揺していないとのこと。しかし、後に しんや の寝室に ありえ のイヤリングが落ちていた事で しんや が疑われますが、実は現在、ありえ は しんや と愛人関係にあり、この夜も しんや の部屋でやりまくっていたと証言し、そこに愛は無かったとしても互いになんの不満もなく日々の肉体的慰安となっている相手を、しかもこんな状況下でいきなり殺す理由は無いだろうと言います。しんや は「義理の母子なんだから問題ないだろう」と、実の父である かずや に言い放ちますが、かずや は納得した様子で、妻である ありえ が殺された事にもあまり悲しんでいる様子も見せません。

すると かずや も、昔は相当遊んでいたと語りだし、昔、既に しんや がいた頃に、行きずりのホステスを妊娠させてしまった事があり、そのホステスに手切れ金やら口止め料やら相当な額を払った事があるのだという。しかも、そんなやりとりの全てが当時の妻にバレてしまい、清楚で真面目だけが取り柄だった前妻はショックで精神を病んで現在もスイスの精神病院に入ったきり回復の見込みもないとのこと。

そんな状況が嫌になった かずや は当時、家に仕えていたメイド達をボコボコにしたりして憂さを晴らすような本当のクズだったそうで、メイド達はみんな逃げ出してしまったそうです。しかし、かずや にボコられて辞めたメイドの中に、このまま黙って引き下がらない女がいて、その女に『病気の妻と離婚して私と結婚するか、名門企業社長のスキャンダルを世間にバラされるか、どっちか選べ』と脅されて、名家存続のため再婚した元メイドというのが ありえ であり、かずや は ありえ に全く愛情など無く、ありえ も莫大な財産を手に入れて好き放題気の向くままに男を食っているだけとなっていたため、そんな ありえ が刺殺されても誰もあまり関心が無いといった感じなのでした。

更にこの時、かずや がホステスに妊ませた子というのが「私です」と独白する けいこ 。けいこ は、そんな出生から永江家からは『無き者』とされ、母親からも倦厭されてきましたが、唯一、ひでや だけは けいこ を捜し出し、まるで自分の娘のように愛情を持って成長を見守ってくれていたのだという。また、後に明かされるのですが、かずや は始めから けいこ が『あの時の』自分の子であると気が付いていたとのこと。

序盤で、大体こんな感じの相関図が語られます。

消えた かじもと も殺されてしまったのか、それとも かじもと が犯人なのか分からないまま、とりあえず城内を捜していると、ホームズが庭にある井戸の中に飛び込みます。そこで愛猫救出のため はるみ が井戸の中に降りて行くと井戸の底には隠し通路があって、その隠し通路を進んでいくと、あの『入口の無い見張り塔』へと繋がっていました。そして、その見張り塔の3階フロアで かじもと が頭を斧で真っ二つに割られて死んでいます。

とりあえず、かじもと が鉄仮面の正体じゃないとなると、城の中に残っているさっき全員集合した中に犯人がいるということになるので非常に危ないということで、急いで塔の中に全員呼び集めますが、残っている『かずや』『しんや』『けいこ』『あさか』、全員揃うのは結構不気味。

その後、とりあえずこの塔の中を一度隅々まで探索してみようと よしたろう、はるみ、いしづ の三人で塔の五階にある見張り台まで登ってみると、そこには蓄音機が置いてあり、動かしてみると はるみ があの夜に聴いた『夏の名残りのバラ』が流れ、その音につられて しんや が登ってきます。『夏の名残りのバラ』は かずや の前妻が好きだった曲で、精神を病んでしまった今でもこの曲だけは口ずさんでいるとのことで、犯人はこの曲を流して かずや を誘き寄せようとしたんじゃないかと よしたろう は推理しますが、しんや の話によると かずや は耳が遠いのでこのくらいの音(声)には気が付かないだろうとのこと。しんや は、犯人の目論見は失敗だったなと言い、自分はもう少しここに残ってこの曲を聴いていたいので、みんなは捜査を続けるなり下で待機しているなり好きにしろと言って一人見張り台に残り、主人公達は皆の待つ2階へと降りて行きました。

しかしそこで、よしたろう はあることに気が付きます。もし犯人が、かずや が耳が遠いということを見越した上で、あえて小さい音で『夏の名残のバラ』を流して『誰か』を誘引したのだとしたら、犯人の狙いは かずや ではなく しんや なのではないかと。

そんなわけで しんや を一人にしては危ないということで、皆と一緒の場所にいるよう呼びに行こうとしますが、けいこ が「私が行ってきます」と言います。とりあえず今、見張り台からここまで降りてきた間に『犯人はいなかった』ので大丈夫だろうと けいこ を一人で見張り台まで行かせますが、そのあとすぐに けいこ の悲鳴が聞こえてきます。

その声を聞いて よしたろう 達が見張り台まで登ると、しんや は胸を矢で射抜かれて死んでいます。

けいこ の話によると、見張り台まで登って来た時点で しんや は既に胸に矢が刺さって倒れていたとのこと。

見張り台の窓にはガラスなどが嵌められていないただの木枠だったため、その時 はるみ は咄嗟に「向かいのバルコニーから矢を放ったのよ。犯人はまだ近くにいるはず。」と言ってしまいます。

よしたろう と いしづ が急いで城のバルコニーに向かおう階段を降りると、下の階でみんなと待機していた あさか が「偶然見つけた」と言って、城の2階に続く隠し通路の扉を開けて待っています。その隠し通路を通って速攻でバルコニーに辿り着いた よしたろう と いしづ でしたが、そこに犯人はおらず、しかも外は凄い嵐になっていて、とてもそこから塔の窓に矢を放つ事なんて出来そうにない状況でした。『それじゃあ、あの矢は一体誰が何処から?』という話になり、よしたろう と いしづ は城内を探索し始めます。でも、なんの手掛かりも見つからず、行き詰まったプレイヤーに残った最後の選択肢、『プレイヤー切替』で はるみ に切替えると話が進みます。

塔に残っていた はるみ は帰りの遅い二人を心配して「ちょっと見てくる」と言って よしたろう と いしづ の後を追います。はるみ も城内を歩き回りますが『ゲーム的に』何故か二人とは遭遇せず、結局一番怪しい礼拝堂へと入っていきます。そして、はるみ も何者かに押されて鉄の処女に入れられて、蓋を閉じられてしまいます。

ここで視点が強制で よしたろう と いしづ に戻り、二人は何も手掛かりが見つからないのでとりあえず塔に戻ると、はるみ が二人を捜して城に行ったと聞かされます。よしたろう と いしづ は慌てて城に引き返し はるみ を捜しますが見つからず、結局二人も一番怪しい礼拝堂へと辿り着き、礼拝堂の奥で蓋の閉じた鉄の処女を見つけて、いしづ がその蓋をこじ開けます。 するとそこには全身串刺しになって血だらけになった はるみ がいて、それを見た よしたろう が気絶。しかし、それは幻で、気を取り直して はるみ 捜しを再開。とりあえず塔へ戻りますが、さっきまでみんながいたフロアには誰もいなくなっています。よしたろう と いしづ は、はるみ とみんなを捜して、とりあえず見張り台へと登って行きますが、見張り台まで登るといきなり鉄仮面の騎士が剣を振りかざして襲ってきます。しかし、今回は武闘派の いしづ が奮闘してステゴロで騎士を撃破。その仮面を剥ぎ取ると、そこに現れたのは転落事故で死んだはずの きたむら でした。

きたむら は「アイツの計画に協力するのが自分にも一番利がある。だからやった。かじもと にも話したら最初はノリノリでやってくれたけど、途中からビビって抜けようとしたから口止めのために殺した。はるみ は勘が良さそうで、真相を暴かれるんじゃないかと思ったから殺した」と言いました。きたむら の「はるみ を殺した」という言葉を聞いた いしづ が我を忘れて きたむら に殴りかかり、きたむら は殴られて吹っ飛び、見張り台の窓から転落して死亡します。

ここで一旦、『犯人死亡。一件落着。』といった感じで画面が暗転して、翌朝に切り替わります。

翌朝、城内の居間には最初に行方不明になった ひでや がいます。さらに はるみ もいます。

ひでや は最初の晩に かじもと に拉致られて鉄の処女にかけられたとのこと。はるみ も きたむら に押されて鉄の処女にかけられていました。さらにそこに あさか が出てきて、あさか は、実は ひでや の妻の ともみ で、今回の捜査に潜入して自分を殺そうとした犯人を見出そうとしていたと言います。

ここで、何故『ともみ』『ひでや』『はるみ』という鉄の処女にかけられた3人が生きているのかという話が入ります。

実際にそうなのかどうか分かりませんが、このゲーム内の説明によると鉄の処女という処刑道具は中世の時代に教会によって開発された物であり、世間一般的に見ると最も残酷な方法で確実に人を殺すための処刑道具に見える。しかし、実際には蓋と連動して内部の床板が開き、中の人は床下に落ちて助かるという仕掛けがしてあって、罪人に死の恐怖を味わせて改心させるための道具だとのこと。しかしまた、そんな仕掛けがあって入った人が助かると知られてしまっては罪人に恐怖を与えられないため、その仕掛けを知っている人はごく一部。今回の犯行を行った きたむら でさえ、みんな殺したつもりで鉄の処女を使っていたのだろうとのこと。この仕掛けを知っていたのは最初に鉄の処女にかけられて『助かった』 ともみ=あさか で、後に今回、鉄の処女にかけられて助かった ひでや も当然知っていて無事。昨日落ちてきた はるみ も保護した上で、犯人には『みんな死んだ』と思わせるために姿を見せずに、犯人がなんの目的でみんなを殺そうとしているのか様子を見ていたと言います。

ここで、いしづ が真犯人である きたむら を『抹殺』したことで、『真犯人が判明して良かった良かった』というムードになるにですが、よしたろう の「ちょっとまて」が入り、クライマックスになります。きたむら が言っていた『アイツ』とは誰か? という話です。

最初に ありえ を刺殺して、ひでや を拉致って鉄の処女にかけたのは『かじもと』。その かじもと を斧で打ち殺したのは『きたむら』。しかし、昨夜の暴風雨の中、塔の窓辺に立つ しんや をバルコニーから矢で射抜くなんて芸当は きたむら には不可能。

『では、誰が?』というのが最後の選択肢になります。

別にここでいくら間違っても『もう一度よく考えてみよう』というメッセージが出るだけで普通にゲームは進むので緊迫感とかは無いです。

まあ、それほど考えなくても しんや を矢で刺殺したのは『けいこ』で、この一連の事件の黒幕も『けいこ』と判明し、ここから けいこ の自供が始まります。

けいこ は ひでや に保護されて成長するうちに、ひでや に対して愛の感情を抱くようになっていました。しかしそんな中、ひでや は ともみ と結婚し、ドイツに移住しようとしていました。その際には、けいこ は既に成人していましたし、日本に一人残される事になります。血縁なのでどうしようもないとはいえ、愛する人を他の女に取られ、しかもその二人で遠く離れた地に行ってしまう事がどうしても許せなかった けいこ。 けいこ は、ひでや と ともみ が新居を見にドイツに来た(ゲーム冒頭)の時に、こっそりと先回りして城に来ていて、この際になんとか隙を狙って けいこ を暗殺しようと考えていました。その際、けいこ は偶然、城の礼拝堂の奥に鉄の処女があるのを発見。ともみ をそこに誘引するような仕掛け(礼拝堂の戸を開けておいたり)をしておいて、見事に計画通り ともみ を鉄の処女にかけたのでした。

しかし、ともみ が死んでも ひでや は日本に戻らず(実際には ともみ が死んでいなかったため)、その事で、けいこ は ひでや の ともみ に対する愛の深さを知り、ともみ を殺してしまった事、愛する ひでや を悲しませてしまった事を深く後悔するとともに、ひでや が日本にいなくなってしまった事でハンパない『一人ぼっち感』を感じて、それに堪えきれずに『頼れる身寄りが欲しい』と強烈に思うようになったとの事。そこで けいこ は、かずや に『実の娘であると認知してもらって、実子として永江家に籍を入れてもらいたい』と思うようになります。そして、とりあえず かずや の秘書である きたむら にコンタクトをとって、かずや に話をとり繋いで貰いたいと相談したのでした。すると、きたむら の話を聞いた かずや は喜んで けいこ を迎え入れると言い、早々に準備も整えていたのですが、ここでその話を仲介して知ってしまった きたむら の心に『悪の華』が咲き始めます。

きたむら は、一見真面目そうに振る舞っていますが実は野心家で、いずれ永江グループのトップの座に立ちたいと思ってここまで登り詰めていた人物でした。そんな中、現在のトップである かずや の『実子となる娘』が現れたとなると、後にグループの資産を『相続』するのはホストみたいなバカ長男より、仕事の出来る長女の婿になる可能性のほうが高い。要は、かずや の長女となった けいこ と結婚して永江家に婿養子として入籍すれば、自分が次期社長になるのはほぼ間違いないと考え、けいこ の永江家入籍に全面協力していたのでした。

しかし きたむら は、もし全部計画通りになったとしても かずや の遺産を相続するにあたり、現時点での かずや の妻である ありえ と 長男である しんや 、そして弟である ひでや に遺産の大部分を持っていかれてしまうという事を悔やんでいました。浪費癖がある男狂いの中年女とホスト風情のナメた男、コイツらさえいなければ。と思っていた時に、けいこ が自責の念から『ともみ殺し』を きたむら に自供します。その際、きたむら は けいこ に自首しろとは言わず、逆に『どうやって殺したのか』を けいこ から聞き出し、ひでや を鉄の処女で、残る ありえ と しんや はいつどうやって殺そうか?と考えていた中で、今回の全員集合が絶好の機会になったとのこと。

きたむら は けいこ に「結婚しよう」「永江の金は全部俺たち夫婦のものだ」と、今まで けいこ には無縁だった甘い言葉で けいこ を誘惑し、きたむら の言葉を妄信した けいこ は しんや を殺します。かじもと も きたむら に金と『次期総裁』の名で釣られ、ありえを殺し、ひでや を鉄の処女にかけますが、途中で逃げ出し きたむら に殺されました。

と、これが事件の全容として けいこ と よしたろう によって語られますが、ここまで語られた時点で けいこ が包丁を持って、自分の首を切って自殺しようとします。それを かずや が止めて「罪を償ったら私の娘になりなさい。私はいつまでも待っています。」と言って、エンディングとなります。エンディングの途中、ひでや が居間に置いてあった衛星携帯をとって「そろそろ地元の警察呼んでこの城から出ませんか?」と言い、みんなで「えぇー? 携帯あったの?」って言うオチ付きです。

まあ、なんとなくハッピーエンドな感じになっていますが、違くないですか?

黒幕は けいこ で、実行犯は きたむら だったと分かったのは良いんですが、きたむら は新米刑事の いしづ にぶん殴られて殺されてますよね? いしづ も結構罪重いと思うのですが全くお咎め無しでみんな『良かった良かった』で終わってしまった。

うーん、いろいろと闇の深いところがあるゲームだと思いました。

あと、このゲームに使われているBGMは全てバッハの曲なので、全て『神曲』としか言いようがないのは当然です。GBだとたまにそんなのがあるんです。ゲーム内容はどうしようもないようなソフトでも、例えば『SD ルパン三世』など全曲 大野雄二 作曲なのでBGMだけはゲーム音楽史上最高クラスだったりと。この『三毛猫ホームズ』もBGMは最高でしょう。バッハはズルい。

よく纏まった話だと思いました。

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